Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

読書記録

小説「人魚の眠る家」:娘を“生かす”ためならば

「人魚の眠る家」:東野圭吾 (あらすじ) 「娘の小学校受験が終わったら離婚する」。 そう約束していた播磨和昌と薫子に、突然の悲報が届く。 娘がプールで溺れた―。病院で彼らを待っていたのは、”おそらく脳死”という残酷な現実。一旦は受け入れた2人だっ…

小説「劫尽童女」:まるでマーベル映画の世界観

「劫尽童女」:恩田陸 (あらすじ) 父・伊勢崎博士の手で容易ならぬ超能力を与えられた少女・遥。彼ら親子は、属していた秘密組織「ZOO」から逃亡していた。そして、7年を経て、組織の追っ手により、再び戦いの中へ身を投じることに。 激闘で父を失った遥…

小説「脳男」:タイトルのインパクトとは裏腹に

「脳男」:首藤瓜於 (あらすじ) 連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。 逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。 男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが…。 (感想) 生田斗…

小説「新参者」:ミステリーだけどほっこり

「新参者」:東野圭吾 (あらすじ) 日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。 着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。 手がかりをくれるのは、江戸情緒残る街に暮らす普通の人々。 「事件で傷ついた人がいるなら、救い…

小説「陸王」:伝統 vs 新境地

「陸王」:池井戸潤 (あらすじ) 埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。 日々、資金繰りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のために、ある新規事業を思いつく。 それは伝統の技術を駆使したランニングシューズの開発だった。世界的スポ…

小説「沈黙のパレード」:祝!9年ぶりの映画化

「沈黙のパレード」:東野圭吾 (あらすじ) 突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。 だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの…

小説「紙の月」:非日常が当たり前になる怖さ

「紙の月」:角田光代 (あらすじ) ただ好きで、ただ会いたいだけだった。 わかば銀行の支店から一億円が横領された。 容疑者は梅澤梨花、四十一歳。二十五歳で結婚し、専業主婦になったが、子供ができず銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約…

小説「ポイズンドーター・ホーリーマザー」:毒を以て毒を制す

「ポイズンドーター・ホーリーマザー」:湊かなえ (あらすじ) 女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。 だが理穂とメールで連絡を取るうちに、思…

小説「エリザベート 愛と死の輪舞」:東宝版との微妙な違いを楽しむ

「エリザベート 愛と死の輪舞」:(原作)ミヒャエル・クンツェ(著)小池修一郎 (あらすじ) 19世紀、公爵家令嬢エリザベート。その美しさゆえに、黄泉の帝王トートは彼女の命を奪いかけたが、「生きたお前に愛されたい」と翻心、彼女を現世に還した。 運…

小説「スマホを落としただけなのに」:神器が凶器に変わるとき

「スマホを落としただけなのに」:志駕晃 (あらすじ) 麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。 麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める…

小説「総理にされた男」:エンタメと勉強の融合

「総理にされた男」:中山七里 (あらすじ) 「しばらく総理の替え玉をやってくれ」 総理そっくりの容姿に目をつけられ、俺は官房長官に引っさらわれた。意識不明の総理の代理だというが、政治知識なんて俺はかけらも持っていない。 突如総理にされた売れな…

小説「世にも奇妙な君物語」:ドラマから小説へ!?

「世にも奇妙な君物語」:朝井リョウ (あらすじ) 異様な世界観。複数の伏線。先の読めない展開。 想像を超えた結末と、それに続く恐怖。もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。 待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。…

小説「白ゆき姫殺人事件」:毒の主成分は人の悪意

「白ゆき姫殺人事件」:湊かなえ (あらすじ) 化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者・赤星は、独自に調査を進める。 人々への聞き込み調査の結果、浮かび上がってきたのは行方不明になっ…

小説「死神の精度」:雨の季節にぴったりな小説

「死神の精度」:伊坂幸太郎 (あらすじ) CDショップに入り浸り、名字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない。そんな人が身近に現れたら、死神かもしれません。 一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断を下し…

小説「レ・ミゼラブル」(上・下):人生で初めてさじを投げかけた小説

「レ・ミゼラブル」:ヴィクトル・ユゴー (あらすじ・上巻) 貧しいジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪で監獄に送り込まれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。 しかし、ある司教に出会ったことで変わった彼は、まったく違う人生…

小説「ゴールデンスランバー」:なんでもないようなことが幸せだったと思う

「ゴールデンスランバー」:伊坂幸太郎 (あらすじ) 衆人環視の中、首相が爆破された。そして犯人は俺だと報道されている。 なぜだ?何が起こっているんだ。俺はやっていない―。 首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も…

小説「虚ろな十字架」:正解がわからない

「虚ろな十字架」:東野圭吾 (あらすじ) 中原道正・小夜子夫妻は、一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。 数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被…

小説「夜明けの街で」:読まず嫌いはいかんなぁ

「夜明けの街で」:東野圭吾 (あらすじ) 不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる。 建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に落ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱え…

小説「民王」:ドラマが原作の面白さを上回ってしまったレアケース

「民王」:池井戸潤 (あらすじ) 「お前ら、そんな仕事して恥ずかしいと思わないのか!目を覚ましやがれ!」漢字が読めない政治家、酔っ払い大臣、揚げ足取りのマスコミ、バカ大学生が入り乱れ、巨大な陰謀をめぐる痛快劇の幕が切って落とされた。 総理の父…

小説「プリンセス・トヨトミ」:豊臣家のプリンセスを守れ

「プリンセス・トヨトミ」:万城目学 (あらすじ) このことは誰も知らない――。 四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官3人と、大阪下町育ちの少年少女だった。 秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する…!? (感想) …

小説「マリアビートル」:生きるか死ぬか in 新幹線

「マリアビートル」:伊坂幸太郎 (あらすじ) 幼い息子の仇討ちを企てる、酒浸りの元殺し屋「木村」。 優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。 闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。 とにかく運が悪く、気弱…

エッセイ集「杏のふむふむ」:かわいいが詰まった文章

「杏のふむふむ」:杏 (概要) 女優・杏が、これまでの人生を、人との出会いをテーマに振り返って描いたエッセイ集。 (感想) 堺雅人さんのエッセイ集が面白かったので、他にも役者さんのエッセイで面白そうなのないかな~と思って購入した、杏さんのエッ…

小説「終末のフール」:3年後に滅亡する世界でどう生きる?

「終末のフール」:伊坂幸太郎 (あらすじ) 8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから 5年が過ぎた頃。 当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。…

小説「ジョーカー・ゲーム」:もう一度映像化希望

「ジョーカー・ゲーム」:柳広司 (あらすじ) 結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校"D機関”。 「死ぬな、殺すな、とらわれるな」、この戒律を若き精鋭たちに叩きこみ、軍隊組織の信条を真っ向から否定する”D機関”の存在は、当然猛反発…

小説「容疑者Xの献身」:その愛は「正解」か

「容疑者Xの献身」:東野圭吾 (あらすじ) 天才数学者でありながら、不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に密かに想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。 だが皮肉…

小説「グラスホッパー」:殺し屋たちの遊戯

「グラスホッパー」:伊坂幸太郎 (あらすじ) 元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。 一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も …

小説「ZOO 2」:続・乙一版「世にも奇妙な物語」

「ZOO 2」:乙一 (あらすじ) 乙一の傑作短編集その2。6編収録。 (感想) 1作目と同じく、短編ごとに簡単な感想を。あらすじは省略。 <血液を探せ!> ブラックコメディ…? 主人公のおじいちゃん、読んでいるかぎりかなりの流血っぷりなんですが、周り…

小説「ZOO 1」:乙一版「世にも奇妙な物語」

「ZOO 1」:乙一 (あらすじ) 乙一の傑作短編集より、映画化された5編を収録。 (感想) 短編ごとに簡単な感想を。あらすじは書くと大変なので省略してます。 <カザリとヨーコ> 陰鬱としたお話ですが、ヨーコのキャラクターがとても好きで。実の母親にず…

小説「とんび」:電車の中で読んじゃダメなやつ

「とんび」:重松清 (あらすじ) 昭和37年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族3人の幸せを噛みしめる日々。 しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう。アキラへの愛あま…

小説「ラプラスの魔女」:映画化を前提にした描写?

「ラプラスの魔女」:東野圭吾 (あらすじ) ある地方の温泉地で硫化水素中毒による死亡事故が発生した。 地球化学の研究者・青江が警察の依頼で事故現場に赴くと、若い女の姿があった。彼女はひとりの青年の行方を追っているようだった。 2か月後、遠く離…