Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.7.30 ミュージカル「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」ソワレ公演:最前列から観た"Rouge"な世界

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MR!2024年公演、開幕から1ヶ月以上経ってやっとMy初日でした。

 

節操のないヲタクなので、開幕直後に観たら確実にチケット買い足しちゃうだろうなぁと思い、「今年のMR!は2回だけ」という初志貫徹を守るべくこの日まで我慢しました。

 

そんな我慢が功を奏したのか(?)なんとこの回はXA列下手側の席!夢にまで見た帝国劇場最前列でした…!


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大体の作品はオケピがあってXA〜XC列はつぶされてるので、観る作品によっては本当の最前列って座れないですし、加えてMR!はかなり珍しい【劇場内の撮影OK】な作品ということで、自席からの眺めを撮ったり舞台を背景に自撮りもできて、すごくいい思い出になりました。

 

MR!、やっぱりめっちゃ楽しかったなー!究極のエンターテイメント作品ですよね。再演はしばらくなさそうですが、絶対定期的に上演してほしいです。あの象さんと風車を眠らせておくのはもったいない…。

 

もともと日本版MR!はかなり芝居の要素が強いらしく、海外の(特にBW版)MR!をみると全然印象が違うらしいのですが(あちらは「泣ける」とかはほぼ無いようです)、今年の日本版は輪をかけて芝居要素強めなMR!になってた気がしました。間近で観たからってこともあると思いますが、1人1人のお芝居が本当に細かったです。


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以下キャスト別感想です。

 

本当に申し訳ないのですが、中河内サンティアゴと藤森ニニに関しては「ダンスがすげぇ」以外の感想が思い当たらず、この2人以外のプリンシパルキャストの感想を残しておきます。


【サティーン:平原綾香さん】
・初演の井上クリスチャンとの回でもそうだったんですが、私は平原さんの芝居にとても弱いみたいです…。今回もそのあまりの迫真のお芝居にめちゃくちゃ泣かされました。

 

特にグッときたのは、公爵に脅されてクリスチャンを無理やり振るシーン。平原サティーンの『一世一代』の嘘の芝居は、わかってても本当にクリスチャンのことを嫌いになってしまったかのように見えました。嘘なのに本気にしか見えなくて、でもクリスチャンの姿が自分の視界から消えた瞬間に表情が苦しそうに歪んで、瞳に涙が溜まっていくのが肉眼でもわかって、辛い気持ちがダイレクトに伝わってきました。

 

その後ちょっと場面は飛ぶんですが、♪Crazy Rolling♪のジドラーとの会話後のサティーンのソロパート。本当に目の前で平原サティーンが歌ってたんですが、苦しそうに鏡を見つめながら血走って潤んだ瞳で必死に歌っていて…。きっともうサティーンの寿命はとっくに尽きてるはずなのに、クリスチャンへの愛だけで命をなんとか燃やしている、そんな姿を目の当たりにしたらこちらの涙も止まらなくなってしまいました。

 

・初演で気づいてなかっただけかもしれませんが、病魔が徐々にサティーンの身体をむしばんでいく過程が、いたるシーンでなんとなく感じられてるのが「今年の芝居細かくなってるなぁ」と思った理由の一つでした。

 

みんなで芝居の稽古をしているシーンや、公爵とのデートのシーンで、ときどき胸や首元に手を当てて苦しそうな表情をしていて、なんとか発作が出ないように我慢してるんだろうな…という様子が、特に2幕のいろんなシーンで見てとれました。

 

・1幕の華やかなディーバっぷりは相変わらず素敵でしたが、例えば「象の部屋」に一人でいるシーンでは、いい意味で年齢相応のくたびれた雰囲気も醸し出していて、サティーンのセリフにある通り、公爵という貰い手を逃したら彼女はこのまま歌えなくなって踊れなくなって静かにフェードアウトしていくんだろう、というオーラを感じられたのも、ある意味しんどかったです。

 

・♪Chandelier♪で緑の妖精に扮した平原サティーン、色素薄目なカラコンをつけてることもあって、緑の照明を反射した瞳が本当に「この世の者ではない」オーラを醸し出していました。これも舞台に近いからこそ見えたんだろうなぁ。

 

・カーテンコールでは、甲斐さんがキスをぶん投げるのをマネして、舞台の前方まで走って客席に向かってキスをぶん投げたら、上から「MOULIN ROUGE」の電飾が下りてきたので慌てて逃げててかわいかったですw

 

【クリスチャン:甲斐翔真さん】
・初演のプレビュー公演ではとにかく突っ走る!で、公演期間終盤ではその勢いがしっかり(いい意味で)調整できていた甲斐クリスチャン。

 

今回は、特に2幕はわかりやすく狂気に落ちるというよりも、青白い炎が静かに燃えてる感じで、お芝居の面でより成長を感じました。狂気に堕ちる=ときどきニヤっと笑う、という初演の芝居も好きなんですが、今回の、表情にはわかりやすく出ないけれど目から光が失われているのも良かったです(良かったです?)

 

・1幕は、ひょっとしたら初演よりもわかりやすくサティーンに恋してたかも?サティーンと初めてのキスを交わした後、サティーンが自分の勘違いに気づくんですが、クリスチャンに向かって「あんた誰!?」って聞いたら、「人って、芝居なのにこんなにも『好き好き大好き』って顔ができるんか」ってくらいのデレデレの極致みたいな表情で、「ぼく?ぼくはクリスチャン♡」って答えてて笑いましたwあの強烈なデレデレ顔、一生忘れない気がします。笑

 

・♪Elephant Love Medley♪では、平原サティーンの仕草や表情を、甲斐クリスチャンがマネする流れがあったんですが、平原サティーンが歌いながら手でハートマークを作って投げキスをしたら、甲斐クリスチャンがそれをそのまんま(自分が歌うパートなのに)強引にマネしてて、平原サティーンが歌いながら思わず吹き出してましたw


・クリスチャン堪能席だったので、細かく楽しめて最高でした。

 

まずは冒頭、クリスチャンが舞台上手側からゆっくりとこちらに歩いてくる場面。もはや舞台袖から歩いてくる姿から見えてました。甲斐クリスチャンが登場して歓声があがって湧きあがる会場に、思わずちょっと口角上がっちゃってるのも見えましたし、目の前で立ち止まって少し間を取ってからスッと「MOULIN ROUGE」の電飾看板を持ち上げる一連の流れも死角なしで見えました。

 

2幕冒頭は、いわゆる「初恋シート」付近に座ってたので、多分XC列あたりの人に「(あなたの初恋は)どうだった?」とにこやかに聞いてるのも目の前で見られました。

 

その後の♪Backstage Romance♪、ダンサーさんたちのかっこいいダンスを間近で堪能するぞ!って思ってたのに、甲斐クリスチャンがずーーーっと目の前(=舞台下手袖)に立って楽しそうにしてたので、結局ダンサーさん全然見られなかったですw

 

♪TOXIC♪をでかい声でノリノリで歌ってたり、指2本で自分の目を指して誰かに「見てるよ」みたいなジェスチャーしてるなと思って彼の視線の先を見たら、平原サティーンが舞台上手の端っこに立ってて「舞台の端と端でいちゃこらすな!!!!!!!!!!」って私の中のノブさんが叫んでました(突然の千鳥)

 

・もし私に絵心があったら絶対絵に書き起こしてるんですが、♪El Tango de Roxanne♪で公爵の回想セリフがリフレインする部分、虚ろな目をした甲斐クリスチャンが舞台下手側に歩いて来て、大サビ直前で半身だけターンして客席に背を向けるんですが、その瞬間のロングコートの裾のはためき方が「ロングコートのはためかせ方のお手本」みたいな、本当に美しいはためき方で私はなぜかそこに異様なほど感動していました(謎)あのほんの1秒程度の光景、あまりに美しかったので生涯忘れないと思います。

 

ちなみに♪Crazy Rolling♪冒頭の甲斐クリスチャン、最前列からは姿が1ミクロンも見えず、♪覚えてる…覚えてる…♪って声が虚無の向こう側から聞こえてきてちょっとおもしろかったですw

 

・公爵が選んだ「馬鹿げた服」を着たサティーンを見る甲斐クリスチャンの芝居が細かかったのも印象的でした。

 

ティーンのことは見ていたいのに、公爵が「彼女は私のもの」と主張するような服を彼女が着ているのは見たくない、とサティーンの方に視線を向けるけどたまらず目をそらす…そのうちにどんどんとフラストレーションが溜まっていって、芝居と現実があやふやになっていく流れがわかりやすかったです。

 

・♪El Tango de Roxanne♪、歌唱キーは低いままでちょっと残念だな~と思ってましたが、去年2回観て2回とも遭遇しなかったOPT UPバージョンを聴けたので私大優勝でした(♪あーいしてーーる↑↑↑↑↑↑↑)

 

【ハロルド・ジドラー:橋本さとしさん】
・去年は4回中1回しか橋本ジドラーを観ることができず、個人的には橋本ジドラー派だったので、今年は2回とも橋本ジドラー回を選びました。

 

もーーーうやっぱり最高に素敵!わりと自由人なので、多分ちょいちょいセリフとか間違えてるっぽいんですが…。笑

 

コミカルとシリアスの演じ方のメリハリがとても利いてて、本当にハマり役だと思います。あとやっぱり歌うめぇ(って思ってたら「ラブ・ネバー・ダイ」のファントム役に選ばれてたので、そりゃ歌うまいわけだなと思うなど)


・橋本ジドラー\ケツをだせー!/

お尻をぷりっと突き出す甲斐クリスチャン

橋本ジドラー\いらっしゃいませー!/


毎回律儀に変えてるんだろうな…w


・劇中劇のセリフをロートレックに相談するシーン、ロートレックに「どっちでもいい」みたいなこと言われてほっぺぷく~~ってしてた橋本ジドラーかわいすぎません?


・橋本ジドラー、サティーンに公爵とやり直してこいって言葉では伝えてるのに、言ってるときの表情があまりにもつらそうで…。本当はそんなこと言いたくないのにって顔してました…。


・ジドラーの台詞、「サティーン、口紅もう少し…」が「サティーン、ルージュもう少し…」に変わってました。タイトルと英語に合わせたのかな?(英語だとbit more rouge,yes?ってセリフだったような)あとルージュの方が響きがおしゃれですね(?)

 

【トゥルーズ・ロートレック:上川一哉さん】
・上川ロートレックは初演とあんまり印象が変わらなかったです。サティーンとクリスチャンを見つめる目が寂しげなのがいいよなぁ。

 

【デューク公爵:Kさん】
・K公爵は、初演だと器の小さな成金みたいな印象だったんですが(ひどすぎる)、今回は「あ、この人もしかしたらクリスチャンと同じく貧乏青年からのし上がった人なのかな」と思えました。なんか泥臭さを感じるというか…今は洗練されてるんですが、なんか苦労してそうなオーラも感じました。実は結構無理して「お金持ち」を演じてそうだったな…。