Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

小説「エリザベート 愛と死の輪舞」:東宝版との微妙な違いを楽しむ

 「エリザベート 愛と死の輪舞」:(原作)ミヒャエル・クンツェ(著)小池修一郎

 

(あらすじ)

19世紀、公爵家令嬢エリザベート。その美しさゆえに、黄泉の帝王トートは彼女の命を奪いかけたが、「生きたお前に愛されたい」と翻心、彼女を現世に還した。

運命の歯車は回り、エリザベートオーストリアハプスブルク皇帝フランツ・ヨーゼフの后となる。

 

(感想)

この小説は【宝塚版】の小説のため、東宝版との描写の違いや、出来事の順番が入れ替わっており、ときどき「?」となりましたが、また別のバージョンとして楽しめました。

 

びっくりだったのは、フランツを誘惑する美女・マデレーネが、おそらくトート閣下が化けた姿だったこと。これ、宝塚だからできることですよね…(東宝版では想像できないし、あんまり想像したくないかも…。笑)

 

私が知っているバージョンとは異なりましたが、セリフ(歌詞)はほぼ同じなため、1行読み進めるたびに脳内で誰かしらが歌い出すという、前代未聞の読書体験をしました。笑

 

あまり読書をした、という気分ではなく、ミュージカルを1本観た感じでした。

 

舞台で観ているだけではわからなかった部分や、自分の脳内で補完しながら観ていた部分を、文字でしっかり読むことができたので、内容をじっくり楽しむのであれば、この小説は読んだ方が良いかもしれません。

 

ただこの小説のラスト、つまり宝塚版のラストは、本当にこの通りやっているのであればあまりにも美しすぎるのと、さすがにフランツがかわいそうなので、トートですら救われない東宝版ラストが、個人的には好みでした。

 

エリザベート」観たいなぁ。