Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

小説「ゴールデンスランバー」:なんでもないようなことが幸せだったと思う

 「ゴールデンスランバー」:伊坂幸太郎

 

(あらすじ)

衆人環視の中、首相が爆破された。そして犯人は俺だと報道されている。

なぜだ?何が起こっているんだ。俺はやっていない―。

首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さない追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く先に見え隠れする謎の人物たち。

運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。

 

(感想)

600ページ超えとはいえ、読むのにかなり時間かかってしまいました…。昔は「ハリーポッター」シリーズを丸1日で読破する子供だったのにな…(遠い目)

 

伊坂さんの作品は、これまでいくつか読んできて、「私今伊坂幸太郎の小説読んでるわ~」って気持ちにさせられます。今まで読んだ作家さんの中で、1番個性が強い気がします。

 

例えば作風の個性であれば、乙一さんとかの方が上かと思いますが、文章の書き方とか文体なのか、表現の仕方なのか、世界観なのか…とにかく私の中には「伊坂作品を読んでいるときの気持ち」というのが存在しています。地面から2センチくらい浮いている、ふわっとした感覚です。

 

さて「ゴールデンスランバー」ですが、評判通り非常に面白い作品でした!

まさか「痴漢は死ね」と「たいへんよくできました」という文で泣くとは思わなかったけど。笑

あと放置された車に「俺は犯人じゃない」ってメモを残したら「わかってる」って返事が来るシーンとか、めっちゃグッときました…。

 

構成と伏線の張り方がすごくよくできていて、主人公にまつわるちょっとしたエピソードや、彼の行動が周囲に与える影響が、物語の大事な部分につながっていたり。

 

何もなくなったって、生きていれば、命さえあればまた何度でもやり直しがきくよね!って終わり方が結構好きです。

 

堺雅人さん主演の映画版もぜひ見てみたいです!