Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2022.10.3 舞台「アルキメデスの大戦」ソワレ公演:

2019年の映画版が面白かったので、舞台版はどんな風になってるのかなと気になって観劇しました。

 

同時期に上演されていたミュージカル作品が、とりわけ華やか&人気作品多めだったので、やや埋もれ気味なのがちょっと悲しかったかも…。


f:id:der_letzte_tanz:20240125190446j:image

 

以下、簡単な感想メモです。

 

・元々漫画原作ですが、今回の舞台版は映画版をもとに脚本が作られてるようでした。ということで、映画版しか見たことがない私としては入りやすかったです。

 

さすがに映画版冒頭にあった、戦艦大和の沈没シーンはやらなかったけれど(代わりに通信で沈没を知るシーンが入ってました)、雰囲気はわりと映画版そのままな印象でした。

 

・映画版の終わり方だと、ちょっと希望がない終わり方でしたが(沈むことが確定してる戦艦大和を、櫂が涙ながらに見送るシーンで終わってたような…)、舞台版は戦艦大和が沈没した後のシーンも付け加えられていました。平山が自ら命を絶ってしまったのは「ええ!?」でしたが、田中が「生きている私たちができることは記憶すること、忘れないことです!」と、櫂と共に戦争の記憶を忘れないよう誓い合う(=罪を背負い合う)シーンはとても重たく、でも心に残るシーンになっていました。

 

・本来であれば、2020年に上演される予定が中止になった本作。皮肉なことに2022年に上演される方が、当時の状況をより身近かつリアルに感じられるようになってしまいました。

 

舞台だと生身の人間が目の前で演じてるわけで、そういう意味でも決して自分たちと関係ない話ではないことが伝わってきて、ちょっと怖くもなりました。実直に見える軍人だって、軍人である以上武器や戦艦を与えたら使ってみたくなるでしょうし、そうなるとまるでゲームのように人命や戦費を浪費するんだろうな…。

 

・とにかくセリフ!セリフ!!セリフ!!!なので、きちんと睡眠をとった翌日に観るべき作品でもありました。私の見る限り3人は寝てたので…。

 

そして役者さんたちもなかなか大変そうで、正直主演の鈴木拡樹さんはちょいと噛みすぎではなかろうか…と思ってしまうくらい噛み噛みでした。専門用語が多いですし人一倍セリフも多そうなので、大変なのはわかるけども…。

 

・個人的には、田中役の宮崎秋人さんのお芝居の方が好みでした。映画版の柄本佑さんの田中も好きでしたが…田中…かわいいよ田中…。

 

1幕は少しコミカルに、2幕でも芯にあるキャラクターは変えず、重々しいセリフを発してもきちんと説得力を持たせられるお芝居をされていて、宮崎さんの櫂も観てみたかったと思わせてくれました。

 

どこかで名前を見たことあるんだよな…と思ってたいたら、「銀河鉄道の夜2020」でザネリ役だった方じゃん…!達成さんとがっつり共演してたじゃん…!あのときも「この人芝居がめっちゃうまい」と思ってたらしいので(観劇ノートに書いてありました)、今後も注目したい役者さんになりました。

2022.9.26 舞台「ハリーポッターと呪いの子」マチネ公演:あの頃夢見た 魔法の世界

舞台「ハリーポッターと呪いの子」、プレビュー公演開幕から3か月経って、ようやく観ました。


f:id:der_letzte_tanz:20240125082401j:image

 

翻訳版が出版されたときは、まさか日本で上演されるとは1ミクロンも思ってなかったので、上演が発表されたときは本当にびっくりしました。そもそも映画のインパクトがあまりにも強いため、年齢を重ねたとはいえハリー、ロン、ハーマイオニーたちが、出で立ちは日本人で日本語を話す、というのが全く想像つきませんでした。観劇前は正直、期待半分・不安半分といった気持ち。

 

実際に観てみたら、全体的には「期待通り」だったかなという感じで、「うおおおおおハチャメチャに良い!」って大興奮するわけでもなく、「これはがっかりだな…」と思うこともなく、良くも悪くも予想通りでした。

 

15,000円の価値は十分にあったけど、じゃあもう1回15,000円を出して観たいかと言われると、正直微妙なところです。3時間40分の上演時間というのもちょっとなぁ…(と思いつつ、ミュージカルにもたびたびそういう作品はあるので何とも言えません)

 

当時「予習しなくてもOK!」みたいな感想もよく見かけていたんですが、個人的には予習必須じゃん…?と思っています。せめて「炎のゴブレット」で何が起こったのかを知らないと、この物語のメインパートで「?」になりそうでした。

 

冒頭から何の説明もなく、過去の出来事や人名が出てくるので、「観客がこれまでのハリーポッターの人生と、彼にまつわるすべてを知っている上で観ている」前提で話が爆速で進んでました。観劇2日前に「呪いの子」を読み直しておいて良かったです…。

 

ACTシアターを、この作品のロングラン上演用に改修したとのことで、「魔法」の再現はかなりすごかったです。それも、プロジェクションマッピングや最新機器に全て頼るのではなく、意外とアナログっぽい仕掛け。だけど本当の「魔法」みたいに見えるという絶妙さ。

 

ハリーとドラコが魔法でけんかするシーンは、一体どうなってたんだろう…。背景に黒子さんが何人もいるんだろうと思ったんですが、それにしてはその人たちの動きが全く見えない…。ハリーの身体がさかさまになったりしたときに、彼を支える手とか何かしらの機械は見えなかったんだよな…(我ながら大人っていやだなぁ…。笑)

 

あと舞台前方にちっちゃいプールがあってびっくり。確かにないと物語が成り立たないんですが、スコーピウス役の子は何度もあそこからびしょ濡れで登場しなきゃいけなくて大変そうでした。

 

1番感動した&恐怖を感じたのは、吸魂鬼(ディメンター)の再現度の高さ…!本っっっっっ当に映画で観たあのまんまの造形で出てきて、客席の上を飛んで行ったりする演出もあり、子供のころに観たらトラウマ間違いなしレベルの怖さでした。あの布のひらみとか完璧すぎる。めっちゃ怖かったです。

 

なぜか「ヴォルデモート」ではなく「ヴォルデモー」って呼んでたのが、最後まで気になりすぎて夜しか眠れなかった件。特に説明はなかったんですが、パンフレット買って読んだら解決するのかなぁ…。慣れ親しんだ固有名詞が、微妙にとはいえ突然違う風に呼ばれると「?」ってなるものですね。

 

観劇前に危惧していた「日本人キャストが日本語でハリポタキャラクターを演じる件」については、観始めたら全く違和感がありませんでした。特に映画に登場していたキャラクターたちは、映画版を1回踏んだ役作りに(私には)見えたので、とても観やすかったです。


f:id:der_letzte_tanz:20240125082442j:image

 

以下、印象的だったキャスト別の感想メモです。

 

ハリー・ポッター向井理さん】

ハリー・ポッター役の3人が発表されたとき、「これどう考えても向井さん一択では?」と思った私は、多分ダニエル・ラドクリフのハリーに囚われすぎてる(謎)

 

でも「ハリーポッター」をイメージしたときに、やせ型でちょっと神経質そうで聡明そう、というのが私の中にあるハリー+「映画版のハリーが40歳になったらどんな見た目になるか」で、向井ハリー一択でした。

 

ハリーにしてはやや背が高すぎる気もしましたが、「ダニエル・ラドクリフのハリーが40歳になったら、恐らく向井ハリーになるな」と納得できるキャスティングでした。

 

例えばダンブルドア先生の肖像画と話してるときの雰囲気は、「謎のプリンス」や「死の秘宝」あたりのハリーに似ていました。心が休まらず常にぴりぴりしてる雰囲気も、映画版のハリーっぽくて、すんなり入り込めました。

 

・ただ異様なほど早口だったのはなぜ…?他役者さんのハリーを観てないので何とも言えませんが(あと全体的に早口ではあったけど)、早口言葉か…?ってくらいの速さで話すので、聞き取るのが大変でした。声質はすごく低いわけでも高いわけでもなく、聴いてて心地よい声で素敵でした◎

 

・とにもかくにもスタイルが良すぎる。何を食べて育てばあの等身になれますか?????ただでさえ早口なセリフを取りこぼさないようこちらは頑張ってるのに、向井ハリーが登場するたび「いやスタイル良すぎん?????」が真っ先に浮かんでしまうので脳内処理に苦労しました。顔の大きさ、魔法で縮めたんだよね??????????腕と足も魔法で伸ばしたんよね???????

 

・顔の小ささゆえか、オペラグラスを使っても、私の席からだと彼の表情の細かい部分まで読み取るのは難しく…。あまり表情は変わらない印象でした。

 

でも肖像画にいるダンブルドアとの対話で涙するシーンでは、ちょっとグッときました。

 

あとクライマックスは本当に観てるだけでつらかったですし、あの光景を見て両親の断末魔を聞いた向井ハリーが、文字通り膝から崩れ落ちて泣き叫ぶ姿が目に焼きつきました。

 

【ドラコ・マルフォイ:松田慎也さん】

トム・フェルトンのドラコをイメージしてると、ややガタイが良くフォルムが四角い印象でしたが、纏ってるオーラがマルフォイ家でした(?)

 

・松田マルフォイは「普段嫌味なやつなのに、1年に1回くらいの周期でごくたまにいいやつになる」感じがたまらなく良かったです。クライマックスでスコーピウスに言った「私たちもハグしようか?」で卒倒しかけました(原因:萌え)

 

【アルバス・ポッター:藤田悠さん】

・斉藤スコーピウスがかなり「濃ゆい」味つけのキャラづくりだったので、うっかりするとかすんじゃいそうでしたが、なんとも「等身大」な役作りが上手かったです。作りこみすぎてない話し方がすっごく好み!

 

下手すると棒読みに聞こえそうな部分もあっりましたが、あの摩訶不思議な世界観にいて、彼の話し方はとても現実味がありました。

 

向井ハリーとの親子げんかと仲直りも大変素晴らしかったです。ケンカするシーンってセリフの応酬なので、2人の呼吸が合わないとおかしくなりそうですし、だからと言ってあまりにもキレイなテンポで言い合っても嘘くさいですし、観てる以上に演じるのが大変なシーンなんだろうな…。

 

【スコーピウス・マルフォイ:斉藤莉生さん】

スコーピウスかわいすぎん?????????? 

 

いや、ちょっとわちゃわちゃしすぎてときどきやや騒々しかったですが、あのコミュ障っぷりは私にも覚えがあるので(真顔)

 

・もう1人のスコーピウスくんもこんな感じの役作りなのかなぁ。斉藤スコーピウスはとにかく愛嬌たっぷりで、「こんなかわいい子をいじめるなんてホグワーツ生頭おかしいんかおいコラ」ってなるくらいかわいかったです(謎)

 

【嘆きのマートル:美山加恋さん】

・1人だけ本物混じってた(真顔)ちゃんとホグワーツの女子トイレに帰るんだよ…。

 

美山加恋ちゃん、本当にあっぱれでした。当時デルフィーのカバーキャストもやってたそうなので、そちらでも観たかったな~~~!!!!!宝井デルフィーはちょいとお姉さまでしたが、美山デルフィーはアルバス&スコーピウスと同年代っぽくなりそうなので、全然違った感じに見えそうです


f:id:der_letzte_tanz:20240125082610j:image

 

いつまで上演されるかわかりませんが、ミュージカルを優先して観てるので、余程の理由がない限りは、もう観ることはないだろうな…。でも日本版上演してくれてありがとうございます!!!!!!!!!!!

2022.9.22 ミュージカル「ヘアスプレー」ソワレ公演:ただあなたと一緒に踊りたいだけ!

本来は2020年初夏に上演予定だった「ヘアスプレー」日本初演

 

あの後、渡辺直美さんが渡米されて活動拠点を海外に移されるような発表をされていたので、もうやらないんだろうな…と思っていたところ、元々のキャストをほぼ全員集めての上演が発表されたので、嬉しいサプライズでした。

 

映画は見ようと思って結局一度も見ておらず、もちろん舞台でも観たことがなく、楽曲もいつぞやのミュージカルコンサートで咲妃さんが歌っていた♪Good morning Baltimore♪と、多分この作品の楽曲で1番有名な♪You can’t stop the beat♪くらいしか知らないという状態。正直あまり予備知識がないまま観劇してきました。


f:id:der_letzte_tanz:20240123233634j:image

 

私はてっきり「ビッグサイズな女の子が、見た目への偏見と戦ってスターの座を勝ち取る話」かと思ってたんですが、まさかの「ビッグサイズな女の子が、人種差別撤廃を訴えて奮闘する話」でした。描かれてるテーマがわりと重たくてびっくり。

 

ただし「人種差別問題」について、比較的しっかり描いているわりには全体のトーンは軽いので、そこまで深刻な話にはなってはいなかったです。とってもシンプルに「白人だろうと黒人だろうと、歌やダンスを愛する者同士が隣り合って踊れないのはおかしくない?」というノリ。かなり観やすかったですし、日本人が観るにあたってはそのくらいソフトな方が良いのかしら…とも思いました。

 

全員日本人キャストのため、白人と黒人を見た目だけで明確に分けるのは、一見なかなか至難の業な気がしましたが、歌い方・踊り方・衣装・髪の色で区別がついており、個人的にはわかりやすかったと思います。唯一メイベルさんは、黒人の設定でありながら金髪で登場してましたが、劇中の歌の中で「自分の髪の毛が真っ黒なのが嫌だった」と歌っていたような気がするので、少しでも白人に近づくために染めたんだろうな…という想像ができました。

 

クライマックスのシーンはツッコミどころ満載……というか、全編にわたってわりとツッコミどころ満載ではありますが、とにかく観てるだけで幸せになるような歌とダンスがいっぱいの作品。出演者全員の目と表情が、3階席から観てもわかるくらいきらっきらしていて、あの「観てるだけでこちらまでにこにこしてしまうラストシーン」は、「キンキーブーツ」にとても似てるなとも思いました。

 

あとはここまで全員がハマり役な作品ってなかなか珍しいのではと思えるくらい、全員が個々の色をしっかり出して活き活きと歌ったり踊ったり演じていて、キャスティングが大天才な作品でもありました。初演としては最高クオリティだと思います。

 

以下、各キャストについての感想メモです。

 

【トレイシー:渡辺直美さん】

・この時代に、歌やダンスができて、トレイシー役としてぴったりなフォルムを持ち合わせていて、キャラもぴったりハマる人として生まれてきてくれてありがとう(壮大)ていうか本当に初ミュージカルなんですか???????

 

・某音楽番組にて、上演に先立って歌を披露されていたんですが、そのときは正直「まぁ…歌はこんなものかしら…」という印象でした。が、舞台で観たら断然良かったです。本当にすごい。だってあの「音響が悪すぎて何を歌ってるか聴き取れない」悪名高きブリリアホールで、彼女の歌唱やセリフはほぼ9割聞きとれたんですよ…。

 

・とにかく登場するだけでその場がパッと華やぎますし、トレイシーのポジティブな雰囲気が自然と出てますし、セリフの声は若干作りこみすぎでしたが(洋画の吹き替えみたい)明瞭に聴こえるので全く問題なかったです。

 

歌も、完全にミュージカル歌唱ではなかったものの、どの音域にいってもそれほど危なげなく最後まで比較的安定していて、もうケチのつけようがないレベルでした。あのレベルに到達するまで、よっぽど努力されたんだろうな…。

 

・芸人としての性(さが)が時折顔をのぞかせるのも、個人的には好きですw変顔がえぐいwあとリンクのソロ曲のときの動きは、完全に芸人・渡辺直美になってましたw

 

・フォルムが本当にまんまるくてかわいかった~!私がリンクになってむぎゅむぎゅしたい…。

 

【メイベル:エリアンナさん】

歌唱力えっぐーーーーーーー最高―――――――!!!!!!!!!!!!!!!

 

・2幕のトレイシーとメイベルのやり取りと、メイベルのソロ曲で泣きそうになりました。エリアンナさんのセリフ、劇中で物語を進めるという意味だけでなく、本当に人種差別と闘ってきた人を代表しているような言い方だったので、ものすごくぐっときました。

 

【リンク:三浦宏規さん】

・クールな役から振り切れた役までできる上に、身体能力と顔面偏差値がハチャメチャ高いのは本当に強すぎます。元からかっこいい人が、人を笑わせるためにかっこつけてもそんなに面白くない場合が多い気がしますが、彼はかっこつけてる姿が本当にかっこいいんだけど、ちゃんと笑えるようなバランスを心がけていて好感度高いです。

 

・あとすごく愛嬌があるのが良き!トレイシーをリードするというよりは、隣でわちゃわちゃ楽しんでる雰囲気が感じられてほっこりしました。

 

【シーウィード:平間壮一さん】

・平間さんを舞台で拝見するのがかなり久々でした。歌唱が少々弱めなのが気になったのと、歌詞が本当に一言も聴きとれなかったのはちょっと…でしたが(いや私の聴覚のせいかもしれんし…)、ダンスのクオリティはずば抜けてました。かっこよかった!

 

・三浦さんと同じく、めちゃくちゃ愛嬌のある役者さんなので、ペニーとのやり取りがいちいちかわいかったです。2幕後半なんて、もうほぼペニーしか眼中にないやろってレベルで絡んでて、ペニーがたじたじになってるのがまたかわいかった…。ほっぺたくっつけてにこにこしてる2人を見て、私は座席で悶絶しておりました(危)

 

【ペニー:清水くるみさん】

・キャラが最高すぎるので優勝です(謎)

・動きとセリフが全部面白すぎました。あの動き(=歩き方)真似したくても多分できない絶妙さ…。

 

【ウィルバー:石川禅さん】

・ブリリアの音響に唯一大勝利していた禅さん。かわいいおじさまの役が本当によく似合いますよね…。

 

エドナ:山口祐一郎さん】

・もはや出オチな感じではあったものの、今まで観た山口さんのキャラの中では一番好きでした。エドナママかわいいよ~!

 

 

再演のときはブリリアじゃない劇場でお願いします。日生劇場とかいいと思うよ!!!!!!!(圧)

2022.9.19 舞台「血の婚礼」マチネ公演:血に呪われた人たち

木村達成さんが出演するから、というだけの理由で観に行きました、「血の婚礼」(不純な動機)

 

原作は読まず、あらすじはなんとなく把握して挑みました。舞台セットや役者さんたちのお芝居は好みでしたが、物語自体はそれほど楽しめず、一度観れば良いかなぁ…という印象でした。これまでストレートプレイはいくつか観てきましたが、ミュージカルよりもさらに好き嫌いがはっきり分かれる気がしてます。


f:id:der_letzte_tanz:20240120002757j:image

 

あまりわかったような感想は書けませんが、思ったままに箇条書きしてみました。

 

・非常に単純明快な話の流れなのに、なんだかわざと煙に巻いてる?というくらい、もや~っとした作品でした。

 

スペインを舞台にしているということで、衣装にはぱきっとした色が使われてたり、音楽にフラメンコギターが使われてたり、床には土(に見せかけたココナッツの皮)が一面に敷かれてて、カラッとした空気感を作り出していました。一見明るめな印象なんですが、そこで作り出される物語自体は実にジメっとしててずっと不穏。

 

結末も特に救いはなく、血に呪われた愚かな人たちがたどる末路、みたいなぼんやりとした終わり方でした。

 

・好みだった部分は、舞台セットが1幕と2幕でがっつり変わったこと。1幕はすべてのシーンが基本的に「建物の中」で起こるので、舞台の広さのわりにえらくこじんまりした空間が壁で囲まれており、舞台上手と下手に1枚ずつ、ドアに見立てた出入り口があるのと、窓に見立てた四角い穴が空いてるのみでした。

 

結婚式のシーンで、建物の中で人物が話してる間にも、舞台奥で(建物の外で)何が起こっているのかが、客席からわかる見せ方になってた仕掛けが面白かったです(説明がむずい)

 

幕間でお手洗いに行って戻ってきたら、壁が全部取っ払われて一面砂場に変身。そこに木に見立てた大きな柱が4本立ってるのと、舞台奥の中央が八百屋舞台になってるのみのシンプルな舞台に変わってました。普通なら隠すであろう舞台の搬出口とか道具を置く場所(?)をあえてそのままむき出しにしてたのも、何か意味があるんでしょうか。

 

・登場人物のほとんどが、衣装の上から直線的な黒いバンドみたいなのを着用していて、すごく違和感があったんですが、子ども2人と2幕のレオナルド&花嫁が着けてなかったのを見ると、「何かに縛られている人」と「何にも縛られてない人」の区別をするものなのかな…と思ったり(そんな安易なのか…?)

 

・レオナルド以外には名前がついてないのも気になりました。「花嫁」とか「花婿」は、最後まで「その人自身」の名前で呼ばれることがなかったのは何でなんだろう…?

 

・2幕の冒頭はかなり面食らったんだけど(「月」として登場した安蘭さん)、あれは戯曲通りなんですよね。とはいえ、もう少し違う見せ方があったのでは…?客席全体から「困惑」の二文字の空気が漂ってたので…。

 

・2幕でレオナルドと花嫁が、舞台奥の丘から出てくるシーンと、そのあとの殴り合ってるのか愛し合ってるのかわからない、コンテンポラリーダンスみたいな取っ組み合い(?????)は好きです。2人がスローモーションで丘から登場するんですが、体幹がめちゃくちゃ強かったり運動神経が良くないと成立しなさそうです。

 

・レオナルドと花婿の殺し合いのシーン、迫力がすごかったんですが、その前のシーンも併せて「怪我しそうで怖いな…」という印象が先に来てしまいました。座席が舞台に近かったがゆえの印象かもしれません…。

 

・膝から崩れ落ちるどころか、シャツの背中をびっしょびしょにしながら砂(=ココナッツの皮)まみれになりながら転げまわる達成さんよ…。

 

・長髪&おひげな達成さん、私はわりと好みです。色気が増し増しで素敵!しかしほんの4か月ほど前はめそめそ弱気な男子高校生を演じてたのにな…と思うと、役者さんとはなんて不思議な職業なのだろうと、妙な部分に気持ちを馳せてしまいました。

 

・結婚式で、花嫁と花婿がきゃっきゃしながら話してるのを、ものすんごい目で見つめる達成さんを目の前で拝みました(XB列)怖いんだけど超絶美しかったです。あと足が長い(定型文)

 

・白シャツありがとうございますごちそうさまでした(拝)

 

・花嫁…彼女の気持ちはわからないけど、理解はできました。頭で考えたら花婿と結婚するのは正解なんだけど、何をどうしても気持ちがレオナルドに向いちゃうんでしょうね。もういっそどっちも振れば良かったのでは(真顔)

 

早見あかりさんは、とにかくお顔がくっきりはっきり彫刻のごとき美しさで、特に横顔の美しさに惚れ惚れしました。

 

・花婿も、常識人に見えてヤバい人なのでは?オーラが終始漂ってました。

 

須賀健太さんは、見た目も雰囲気もやわらかいんですが、だからこそ「女性はこうあるべき」「家庭はこう作るべき」みたいな考えに囚われてそうでした。

 

久々にちょこっと難解なストレートプレイを観ました!

 

2022.9.2 NODA・MAP 第25回公演「Q:A Night At The Kabuki」ソワレ公演:運命にあらがった2人の物語

2019年初演の「Q:A Night At The Kabuki」。上演告知があった当時、ちょうどミュージカル「ロミオ&ジュリエット」にハマった頃だったので、こちらも気になるな~と思っていました。

 

が、その頃はまだストレートプレイをほとんど観たことがなく、そもそも出演者が豪華すぎてチケット取れないだろうな…と、勝手に思い込んでスルーしておりました。

 

この年、3年ぶりに再演が決まったとのことで、1公演だけ確保できたので行ってきました。


f:id:der_letzte_tanz:20240118231851j:image

 

全体的な感想。

 

めっちゃ面白かった

 

 

結末まで観ると「面白かった」で片づけていいものか、ちょっと迷うんですが、野田さんすごいなぁ…という感想が真っ先に出てきました。

 

ロミオとジュリエット」を源平合戦に置き換えるのも、「もしロミオとジュリエットが生き残ったとして、その後幸せに暮らせるのか…」という"IF"の話も、それぞれで語っても面白そうでしたが、それを組み合わせちゃうんだから、一体どういう思考回路ならあんな脚本が書けるんだろうと…。

 

前半はどんちゃん騒ぎで、ときどき客席を爆笑の渦に巻き込むのに、後半は一気にシリアスになって(ときどき笑いが起こるシーンはあるものの)最後にちょっと考えさせられる構成、個人的にはとても好きです。作品全体から受ける衝撃度だったら「フェイクスピア」の方が強かったですが、今後の野田地図作品も観ていきたいなと感じられる作品でした。

 

1幕は完全に「ロミオとジュリエット」で、これが意外と(?)オリジナルに忠実だったので、ミュージカル版が大好きな私としてはとても入りやすかったです。ちょうどこの年は大河ドラマで「鎌倉殿の13人」をやっていたので、源氏・平氏のいざこざの話もすんなりと頭に入ってきました。古今東西、家同士による争いは絶えなかったこと、それによって引き裂かれる人間関係があることへの揶揄なのかな…。

 

2幕は「生き残ったロミオとジュリエット」のお話。源氏・平氏ともに、それぞれの息子と娘を「死んだ人」として、世間からは2人の存在を隠すようになり、やけになった瑯壬生(ろうみお)は一兵卒として身分を隠し、名を捨てて頼朝討伐に向かう…というのが、主な話の流れ。もちろんロミオとジュリエットが生き残った話なんて知らないので、生き残った瑯壬生と愁里愛(じゅりえ)が一体どうなるのか、最後までドキドキしながら観てた。

 

劇中、瑯壬生と愁里愛が何度も「この世から戦争がなくなったら会えるよ!」というニュアンスの言葉を掛け合っていて、恐らくこれまで地球上から戦争がなくなったことがないであろう現実を想って胸が苦しくなりました。

 

あと愁里愛に「名前を捨てて!」って言われた瑯壬生が、最終的にシベリアの地で「無名戦士」として死んでいくことの皮肉。「名もなき英雄」と称えられるかもしれないけど、彼らは1人ずつ名前を持った人間なんだよなぁ…。

 

ちなみに衣装がとっても素敵でした!愁里愛の衣装が全部可愛かったです。全体的に色使いがとても好みでした。

 

以下、雑感。

キャスト別に書こうと思ったんですが、感想に偏りがでそうなので箇条書きです。

 

・とにかく一番びっくりしたのが、広瀬すずちゃんの力量でした。2019年にこの作品で初舞台を踏み、今回が2回目とのことでしたが、正直メインキャスト4人の中で一番声が通ってた気がします。

 

もちろん滑舌が甘かったり、声を張り上げすぎてキンキン響いてしまうこともときどきはありましたが、それでも彼女のお芝居は個人的にわりと衝撃的でした。

 

ありあまるエネルギーをずっと放出している感じでとにかくパワフルでした。身体がすごくよく動くので、細くて小柄でも存在感100%。若さゆえの直情的な行動に全く違和感がなく、「え、瑯壬生死んじゃったの?は?無理なんだけど私も死ぬわ」というような、瑯壬生のいない世界なんて自分にとって価値がないという愁里愛の気持ちが、よく表現できてたと思います。

 

ずっと何かに取りつかれてるようなテンションと表情だったのも好きでした。2幕は落ち着いたトーンの衣装とお芝居になったからか、一気に色気が出てたのがまた素敵で…!圧倒的にビジュアルが良いのはさておき(本っっっ当にかわいかったです)、その印象をはるかに上回るお芝居でした。他の舞台にもぜひ挑戦してみてほしいです。

 

松たか子さんは、以前から舞台で観てみたいと思ってた役者さんの1人。実際拝見すると、ビジュアルはすずちゃんほど派手ではないのですが、なぜか彼女に自然と目を向けてしまうような、引力がある役者さんの印象でした。

 

すずちゃんとの親和性も高くて、あの若き愁里愛が成長したらこうなるだろうな、という印象を全く壊さず演じられていました。

 

映像作品でも、松さんの表情でのお芝居ってそれほど大きく分かりやすいわけではないんですが、声色や喋り方で、キャラクターの心情を細かに表現するのが本当に上手だなと感じます。悲しんでる顔をしていないのに、声から悲しさや無念さ、寂しさが全部伝わってくるんですよね。

 

・女性陣2人に対して、瑯壬生役の2人は(あくまでも個人の感想ですが)ちょっとインパクトが弱かったです…。特に志尊さんはほぼ印象に残らなかった…。

 

ただあれで愁里愛と同じテンションでお芝居をしてしまうと、ただただうるさい&ツッコみ不在になりそうなので、一歩引いたお芝居というのがうまかったんだと思います。

 

上川さんはさすがベテランといった風格があり、2幕は出番も多かったですが、やはりそこまで印象に残らず。すずちゃんと松さんのインパクトがあまりにもでかすぎたんだ…。

 

・乳母のUber(笑)は野田さんご本人が演じていらっしゃいました。相変わらずセリフの3分の1は何言ってるんだかわからなかったですが、もう出てくるだけで面白いからずるいです。「山の日は一体何を祝福するの日なのか」問題に笑いましたw

 

・布の使い方がすっごくきれいな作品でもありました。とあるシーンでベッドの上を大きな白い布が何度もかぶさるんですが、女性がたった2人で上手に操っていて、その動きがあまりにもキレイだったので、役者さんそっちのけで見とれてしまいました…。

 

・元々「ボヘミアン・ラプソディ」が日本でヒットする2年前くらいに、QUEEN側から「野田さんに『オペラ座の夜』をモチーフに使った演劇作品を創ってほしい」という要望があったらしく、それがきっかけでできた作品だそうです。

 

というわけで、全編にわたってBGMがQUEENでしたが、個人的にはそんなに必要な要素とも感じられず、むしろない方が良いかなぁとさえ思ったくらい。そもそもQUEENからの打診がなかったらこの作品はなかったので、そういう意味ではないと困る要素ではあるのかもしれませんが…。

 

フレディの声が爆音で流れたかと思いきや、一気にボリュームダウンして役者さんのセリフが始まったり、セリフが終わるとまたBGMが大きくなったりと、正直演じるのに邪魔なのでは…と感じました。

 

ロミオとジュリエットはたった5日間の恋愛模様なのですが、野田さんはそれを「432,000秒の恋」と表現していて、より刹那的な印象が強まりました。舞台上にときどきカウントダウン中の秒数が映ってるのも良かったです。

 

・野田さんがこの作品を通して伝えたいことってこんなことかな?というのは断片的に拾えたものの、一度だけじゃ結構大変でした。1回観たらある程度テーマがつかめるような人間になりたいものです(切実)

 

「フェイクスピア」もそうでしたが、野田さんは「書き記された言葉」よりも「人間が実際に発した声」を大事にしてるのかなと。瑯壬生が愁里愛に充てた最後の「手紙」も、平の凡太郎(たいらのぼんたろう)を通じて声で伝達されましたし、声を通したコミュニケーションに重きを置いてるんだろうなと感じました。