「ZOO 1」:乙一
(あらすじ)
乙一の傑作短編集より、映画化された5編を収録。
(感想)
短編ごとに簡単な感想を。あらすじは書くと大変なので省略してます。
<カザリとヨーコ>
陰鬱としたお話ですが、ヨーコのキャラクターがとても好きで。実の母親にずっと虐げられて生きてきたのに、「ママが私を嫌うのは、ママと私が似ているからではないか」と、妙に冷静に分析していたり、言葉のチョイスがいちいち面白かったり。
いつも残飯しか食べられなかったため、「ハンバーグのためなら腎臓1個売ってもいいです」という言葉に、不覚にも笑っちゃいました。
話の内容的に、もっとダークになってもおかしくないんですが、彼女のキャラクターのせいか、なぜか爽やかな読後感を味わえました。ラストも希望が持てて好き。
<SEVEN ROOMS>
あまりにも不条理すぎる物語。犯人である殺人鬼の目的が一切わからないまま、1日1人順番に惨殺されていく、という情報のみで進んでいきます。
これは姉弟のお話で、結局姉が犠牲になり、弟を逃がすんですが、私だったらどうするかな…(リアルに弟がいるので考えてしまった)
多分真っ先に逃げます。弟ごめん!!!!!
<SO-far そ・ふぁー>
主人公の男の子の両親が、大げんかした挙句、お互いを死んだことにして(存在をないことにして)ひとつ屋根の下でしばらく暮らすんですが、続けているうちに男の子の目には母親しか映らなくなった…という、自業自得ファンタジー。
とはいえ、収録されている5つの短編の中だったら、もしかしたら一番「起こりうる話」かなと思いました。言霊って怖い。
<陽だまりの詩>
メンタルが弱っているときにこのお話を読むともれなく泣きます。笑
人間が死を恐れるのは、この世に好きなものや人があって、それらに別れを告げるのが悲しいからなのかもしれないな…。
<ZOO>
5回くらい読み直して、6回目でやっとこさ意味が分かりました。最初読んだときは全く意味がわからず、困惑しながら終わったような…。
気味の悪い話なんですが、なにげにハッピーエンドでした。
これすべて映画化されているということなんですが、どうなんだろう~。
映像になったら怖そうで見る勇気がなかなか出ません…。