Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

小説「白ゆき姫殺人事件」:毒の主成分は人の悪意

 「白ゆき姫殺人事件」:湊かなえ

 

(あらすじ)

化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者・赤星は、独自に調査を進める。

人々への聞き込み調査の結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。

匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先はいったい誰に刃を向けるのか。

 

(感想)

「人間が持つ悪意を書かせたらNo.1」な湊かなえさんの作品。今作も終始どろっどろでした。

 

以前湊さんご自身がテレビ番組に出演されているのを見たことがありますが、ものすごーーーく人当たりの良さそうな、ほんわかしたオーラの女性だったので、「一体この人のどこからあんな毒々しい物語が…?」と、かなりびっくりした記憶があります。

 

湊作品特有(?)の、ある一つの事件をさまざまな人が一人称で語っていき、真実を追求していくスタイルでした。1人の人物の話を読んだ直後に、別の誰かがその人の言うことを真っ向から否定したりするので、途中は何が何やらでした…。

 

最終的には、それなりに納得いく終わり方にはなっていましたが、犯行自体は正直「あまり現実的ではないかな…」と思ってしまいました。フィクションなのでツッコむ方が野暮、というものですが。

 

小説の後半は、事件の取材をしている記者の赤星が、SNS上で匿名でつぶやいたり、他人とやりとりしている様子が紙面上で見られる構成になっていました。これがなかなか面白かったです。