「新参者」:東野圭吾
(あらすじ)
日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。
着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。
手がかりをくれるのは、江戸情緒残る街に暮らす普通の人々。
「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。
大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へとつながっていく。
(感想)
殺人事件を解決する、れっきとしたミステリー小説なのですが、読んでいる間も読後もなぜかちょっとほっこりした気分になれちゃう、不思議な物語です。
「みんなどんだけ秘密持ってるんだよ!」と、つっこまずにはいられないのですが、人間生きていれば隠しごとの1つや2つあるものですよね。と思ったら納得でした。
一見無関係に見える九つの短編が、最終的に1つの事件の解決に繋がっていく構成の美しさが好きです。それぞれの短編(章)も非常によく練られていて、謎解きばかりでなく、人情味溢れるストーリー展開で、心があたたまります。
特に好きなのが、第三章の「瀬戸物屋の嫁」。いがみ合ってばかりかと思っていたお嫁さんとお姑さんが、実は誰よりもお互いのことを思いやっていたという結末に、読んでいて思わずにっこりしてしまいました。
この小説を基にしたドラマも面白かったんですよね~。阿部寛さんの加賀恭一郎が本当にかっこよくて…。ちなみにドラマ放映時に、この物語の舞台となっている日本橋付近を巡ったことがあります。人形焼きも食べたし、水天宮も行ったし(これは「麒麟の翼」だったかな…?)、加賀さんがいつも買い損ねてしまうたい焼き屋さんも行ったし、おせんべい屋さんにも行きました。
またこの小説を読み返したときに、日本橋を歩いてみたいな~!