Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

小説「陸王」:伝統 vs 新境地

陸王」:池井戸潤

 

(あらすじ)

埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。

日々、資金繰りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のために、ある新規事業を思いつく。

それは伝統の技術を駆使したランニングシューズの開発だった。世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、素材探し、開発力不足。数々の難問が立ちはだかる中、従業員20名の地方零細企業が、一世一代の勝負に打って出る。 

 

(感想)

めちゃくちゃ面白かった~~!

けどめちゃくちゃ長かった~~!!

(文庫本で739ページ)

久々にこれだけの大作を読みました。

 

先にドラマを見ていたからか、特定の役者さんが頭に浮かびながら読み進める感じでしたが、それはそれで読みやすかったです。「ガリレオ」シリーズや「半沢直樹」シリーズも、小説はドラマ放映の後から読んだので、今回と同じパターンでしたが。

 

陸王」は「下町ロケット」や「空飛ぶタイヤ」のように、大きな失敗をした人や会社がどん底から這い上がる、というわけではなく、そこそこ平和に続いている(けれどこの先どうなるかはわからない)会社が、全く未知の世界に足を踏み入れるお話でした。

 

多少ぎりぎりでもそれなりに続いてきた「伝統」を、一度ぶち壊して新しいことに挑戦するのは、本当に勇気がいることですし、みんなを納得させるのも大変だと思います。ましてや社運がかかっている場合はリスクも大きいですし…。進んでも地獄、戻るのも地獄って感じでしょうか。

 

それにしても、池井戸作品には会社愛が強い人がたくさん出てくるなぁ…私も見習いたいものです。笑