Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2020.09.21 ミュージカル「フラッシュダンス」:あなたは私を見なくてはいけない

2度目の「フラッシュダンス

 

正直作品自体は、もう観なくてもいいかな~と思ってましたが、せっかくチケットも取れていたし、ちゃぴさん・廣瀬さん目当てでもう1度くらい観てもいいか、くらいのテンションで行ってみました。

 

今回の座席は、前回よりも前方でしたが、最下手だったのでかなり見づらかったです。完全に斜めから舞台を見ていたので、終わったあと首が痛かった…。見切れるシーンもいくつかあって、本当に私は席運がないなぁと、改めて実感したのでした(2020年は中止になった公演の中に、3つも最前列センターブロックの回があったのに…)

オペラグラスを使わずとも表情までしっかり見られたのは良かったです!

 

全体的には初日よりも、歌もお芝居もまとまっている印象はありました。特にダンスはよりパワフルになってた気がしました。

 

初回では散漫に感じたストーリーラインが、少し分かりやすくなってたように思えましたが、それは単に私が2回目の観劇だったからなのかもしれません。でもセリフの緩急や感情表現が、より丁寧になって伝わりやすくなっていたと思います。

 

2度目の観劇で、自分の中で見つかったそれぞれのキャラクターの軸としては、「真正面から夢にぶつかるアレックス、近道しようとした結果回り道しちゃったグロリア、夢を手助けしようとして物理的な手助けばかり思いつくニック」でした。

 

正式なレッスンは受けず、アドバイスはハンナだけからもらって、独学でダンスを学んできたアレックス。ニックからたびたび提案されるコネや援助も払いのけて、ひたすら自分の目指す場所に向けて正面突破しようとするスタンスでした。ときどきそれが頑固に思えたりもするけど、決して楽をしようとしない姿勢がかっこよかったです。

 

グロリアは、おそらく抱いている夢の大きさと現状の自分を比較してしまい、今の自分に自信を持つことができなかったんだと思います。だから本当ならやりたくもないであろうストリップの仕事を、CCの店でクスリに手出ししてまでやって、なんとか人脈を作ろうとしたけど、結局CCにいいように使われてただけでした。グロリアにはジミーがいてくれたから良かったけど…。

 

ニックは、例えば悪気はなくても、アレックスが「あのドレス素敵だったな~」と言えば「買ってあげるよ」と言い、「ポルシェが盗まれちゃうかも」と言われれば「2台あるから大丈夫」と言い、「そういうとこだぞ!!!!!!!!!!」ってなりました。笑

それは彼なりのやさしさではありますが、最終的にアレックスが必要としてたのは、ニックの財産じゃなくてニックそのもの。ずっと「社長の息子」として扱われてきたがために、アレックスに対してもそういう気づかいしかできなかったけど、「1人の人間」として見てくれるアレックスがいたから、ニックも一歩踏み出すことができたんだと思います。良い関係性ですな…。

 

キャスト別感想。

メインのお2人と、2回目で印象的だったお2人のみです。

 

【アレックス・オーウェンズ:愛希れいかさん】

・この日は歌がちょいとお疲れ気味?と。特に1幕は、高音パートになると明らかに裏声に切り替えてて、こんなにはっきり地声と裏声わかる歌い方してたかなぁ?と、素人の私でも思うくらい。でも2幕は持ち直してたように思います。

 

・クライマックスのダンスが本当に素晴らしかった!!!!!!!

最終審査に遅れたアレックスが、審査員たちに向かって言い放つ、「あなたは私を見なくてはいけない」というセリフ。そのセリフを言うからには、期待以上のパフォーマンスを審査員たちにも、そして客席にいる私たちにも見せなくてはいけないわけで、毎公演すごいプレッシャーなんだろうなと思います。

 

踊っているちゃぴさんは、技術とか理論とかそういったものを飛び越えて、アレックスが持つダンスへの情熱をこれでもか!!と表現されていました。見ている私も自然と涙が出てきたくらいの熱量を感じました。

 

フラッシュダンス」自体は、この時点で座席を間引く以外の大きな影響は受けていなかったけれど(そしてこのあと東京千秋楽も無事に迎えていたけれど)、コロナのせいでいつ公演ができなくなるか、正直かなり綱渡り状態だったかと思います。スタッフさんが罹患したという理由で、東京公演がすべて中止になってしまった作品もありますし、どれだけ気をつけたところで絶対に罹患しないという保障もありません。そんな中、自分自身が舞台を精一杯楽しんで、お客さんにも楽しんでもらおうとするちゃぴさんの意気込みが、あのダンスに表れているなと感じました。

 

【ニック・ハーレイ:廣瀬友祐さん】

・廣瀬ニック、初日よりもさらに恋愛ベタになっていた…。笑

強気なアレックスに振り回される姿が、面白いやら愛おしいやら。ビジュアルは正統派ハンサムさんなのに、なぜかコミカルな掛け合いや仕草がハマる、稀有な才能(?)を持った俳優さんですよね。ご本人も、素の姿でお話される姿やインタビュー記事を拝見すると、なかなかほわっとした感じの人ですし…。

 

・アレックスに「道端にポルシェ置いてたら盗まれるかも!」って忠告されて、「大丈夫!2台持ってるから!」って得意げに言ったあと、アレックスの表情を見て「………うそです…」って言うところが好きです。笑

 

・1周回ってロミジュリ見たくなってきたな…廣瀬ティボルトの尋常じゃない色気を浴びたいです…。

 

【グロリア:桜井玲香ちゃん】

・今回特に印象的だったのは、桜井玲香ちゃんのグロリア。ミュージカル出演されているのはもちろん知っていましたが、どちらかというと乃木坂46でリーダーをやってる印象が強かったので。

 

・グロリアは分かりやすくぶりっ子キャラな感じで、演じるのが難しそうでした。ともすれば、同性からちょっと反感を買いそうなキャラクターでしたが、そこはさすがアイドル経験者、全く嫌味なく演じておりました。もうとにかくめちゃくちゃかわいらしい!!ポニーテールがあんなに似合うのもうらやましい!!お顔がちいさすぎる!!かなりきわどい衣装やダンスもあったので、アイドル時代からの彼女のファンの方はかなりドキドキだったのでは…。

 

・声質がやや独特かなと思いましたが、むしろ抜きん出て聴こえるため、歌詞が聴き取りやすかったですし、歌もなかなか上手でした。かわいいだけじゃない、強気&勝気ヒロインとかでも見てみたい役者さんです。

 

【ルイーズ/ミズ・ワイルド:秋園美緒さん】

・もう1人印象に残ったのが、秋園さんのルイーズ。「エリザベート」や「ロミオ&ジュリエット」で見たことはありましたが、今回は全く違った役柄でびっくり。ぱっと見は秋園さんとは思えないような姿勢と歩き方でしたが、声はしっかり秋園さんでした(当たり前)

 

・雇い主のハンナとは喧嘩するほど仲がいい、みたいな関係性で、そこまで深堀りされた描写はありませんでしたが、ハンナがルイーズを気に入っていたように、ルイーズもハンナのことが大好きなんだなぁと、秋園さんのお芝居で感じられました。それにしても演じ分けが本当にすごかったな〜。

 

そのうち機会があれば映画版も見てみようかなぁ。再演があったとしても、ちゃぴさん・廣瀬さんの続投がなければおそらくミュージカル版は観ない気がしています。