Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.05.25 ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ソワレ公演:新生・ロミジュリ


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まさか2年で再演するとは思ってなかった「ロミオ&ジュリエット」。今年日本上演10周年なんですね、なるほど。とはいえ、2019年にDVDも出たことですし、しばらくはやらないのかな~やるとしても3年経った来年とかかな~とか思ってたのに!!(嬉しい悲鳴)

 

キャストが大人チームの一部を除き、アンサンブルさんも含めてほぼ総入れ替え。ここからまた新生ロミジュリとしてスタートするんだなと思いました。

 

2019年版がおそらく1つの完成形になっていたので、またすべてを崩して1から創り上げている印象もありました(…だったら演出も一新してくれよ…とは思ったんですけどw)

 

仕事後に観に行ったからか、それとも繰り返し見ていた2019年版DVDの映像が焼き付いていたからか、1幕はどうにもしっくりこなかったんですが、2幕から全員ギアチェンジした?ってくらい良くなっていて、最後は「やっぱりロミジュリ好きだな~」と改めて感じました。

 

キャストはみんな一気に若返ったな!?と。2019年版は、若手プリンシパルキャストの中だと、ジュリエットは3人とも年下だったものの、男性陣は木村さん&黒羽さん以外は全員私より年上でした(みんな意外と年齢いってたんですね)

 

だがしかし!!今回は「死」の小尻さん以外はまさかの全員年下…!!!「スリル・ミー」の松岡&山崎ペアの時も思いましたが、若手キャストが長年愛されている偉大な作品に、体当たりしながら全力でお芝居してるのが、私はどうも好きみたいです。ロミジュリもその点でとても良かったなぁ。

 

最初は「こんないっぺんにキャスト入れ替えちゃって大丈夫!?」と思ったんですが、作品の力と楽曲の力がとにかく強く、大人キャストががっつり若手を支えられる人ばかりなので、全然成立するんだな…と感慨深くなりました。

 

そういえば、「自分が過去に見た舞台の再演を観る」って、四季以外だと今回が初めてだったかもしれません(「エリザベート」は2020年版が中止になったので。あとルキーニ以外はキャストほとんど変化なかったからなぁ)

 

演出は大枠はまったく変わっていなかったものの、細かい部分はちょこちょこ変わってました。背景の映像がやたら鮮明になっていたり、ロミオを探すときのモンタギュー組のラップ(?)にボイスパーカッションがついたり(あれはアンサンブルさんにそれを特技にしてる人がいるから入れてみた、って感じですかね)、人工呼吸のくだりはご時世を反映してか、100%事故チューが起こらない仕様になっていたり(前回公演では、古川ロミオと木村ベンの事故チューがあったので…笑)

 

衣装もモンタギュー中心に変わっていて、前回公演はデニムでカジュアルさに重きが置かれてた印象だけど、今回はベロア素材(?)みたいな生地がメインで、こちらの方が違和感なかった気がします。ジュリエットの衣装も、少なくともスニーカーは履いてなくて白いくるぶし丈ブーツになっており、赤いストライプシャツのワンピースもすごく可愛かったです。衣装に関しては、個人的には完全に2021年版の勝ちだなと思いました。


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以下、キャスト別感想です。

 

【ロミオ:甲斐翔真さん】

・ロミオって、役柄的にそうなっちゃうのかもしれませんが、どうにもみんな「犬」っぽく見える…。古川・大野はどちらもゴールデンレトリバーっぽかったけど、甲斐ロミオは柴犬でした。ガタイが良いけど、笑うとふにゃんって感じの顔になるからかな…。全体的な印象としては、大野ロミオに近い気がしました。

 

・のほほーーんと育てられて、のほほーーんと生きてきた感じの甲斐ロミオ。ベンやマキュがわちゃわちゃ騒いでいるのを、1歩引いてにこにこ見守ってるような、おっとりした空気感をまとっていました。誰からも愛される弟っぽさもあるので、女たちのみならず、老若男女、誰もが甲斐ロミオのことを追いかけていく何もしなくても、って感じでした(何)

 

・年齢とキャリアを考えると、歌唱力という点であんまり心配なさそうですごいなと。まだ23歳ですよね…?ミュージカル出演歴2年目なんですよね…?もちろん感情を乗せようとしてやや不安定になる部分はありましたが、開幕直後のこの回でも全く問題ないように聴こえましたし、ここあんまり歌えてないな~みたいな部分がありませんでした。伸びしろしかない。特に低音がしっかり出せるのは本当に強いと思います。

 

・インタビュー記事とか読んでると、一見温厚そうで意外と闘志メラメラタイプっぽいので、例えば♪僕は怖い♪の最後のフェイクとか、千穐楽までにもっと自己流にアレンジして変えてきそうだなと思いました。

 

・ただ「マリー・アントワネット」のフェルセンでも感じましたが、もう少し感情がこちら側に伝わると良いなと。もちろんフェルセンの時よりは喜怒哀楽を表に出してましたが、私はまだ足りてないかなぁと思いました。開幕前に放送されていた宣伝番組にて、演出の小池先生にもその部分を指摘されていて、ご本人もその自覚があるみたいですが…(普段から感情を表に出す性格ではないとのこと)とにかくお芝居にメリハリが欲しいです。多分「ちょっと大げさかな?」と思うくらいが、甲斐ロミオのお芝居の「ちょうどいい」なんだと思います。

 

・声が低め&太目、お芝居も妙に落ち着いて見えるため、前回公演にてオーバー30でロミオを演じた2人よりも、断然大人びて見えました。もう少し子供っぽさ・少年っぽさを出しても良さそうです。下手すると、お父さんポジションでもいけてしまいそうな謎の肝の据わりっぷりを感じたので…。笑

 

・というわけで、甲斐ティボルトが見てみたいです(勝手にキャスティングを始める人)(2013年版の城田ロミオ/ティボルトみたいにしても面白そうです)

 

・なるべく2019年版は頭の外に置いて観るようにはしてたんですが、♪僕が怖い♪・♪憎しみ~エメ♪・♪ロミオの嘆き♪は、どうしても古川ロミオを思い出してしまいました。古川さんはダンスの素養が元々ある人ですし、「死」との踊りが上手いのもそういう能力を持っているからだと思いますが、甲斐ロミオはとにかく重たかったです。大野ロミオみたいに「死」に振り回されてる感じもあまりなく、段取りを一生懸命踏んでます!という印象でした。死がロミオを「よいしょ~~!」って持ち上げてる感じで、大変そうだな…というのがつい頭をよぎってしまったり。ただ♪憎しみ~エメ♪は、堀内「死」の不気味ないきいきっぷりと、甲斐ロミオの打ちひしがれる姿と歌が良かったです!

 

・カテコ挨拶にて。

甲斐さん「さっきまで死んでたので頭が回らなくて…」

私(wwwwwwwwwwwwww)

頭が回らない理由が斜め上。笑

 

ちなみにこの回でデビューだった「死」役の堀内さんを紹介しようとした甲斐さん。「えーっと」って言いながら堀内さんが並んでない側をずっと探してたのもツボでした。天然さんなんですね…。(ミュージカル界天然多過ぎません??そろそろ芳雄さんがつっこみきれなくなるぞ←)

 

【ジュリエット:伊原六花ちゃん】

・昨年の「ウエスト・サイド・ストーリー Season3」の稽古場動画を見た時に、「この子の歌唱、かなり苦手だな~」と思っていた六花ちゃん。高音パートがあまりにも危なっかしくて、稽古場動画なのにひやひやした記憶があり、今回もその点でほんのり心配しておりました。実際に観たわけじゃないけれど、正直苦手意識を感じていました…。

 

・…待って、めっちゃくちゃ良かった(手のひら返し)

 

・歌!!!すっごい訓練したんですかね!?!?「ウエスト・サイド~」の時のあの歌はなんだったの??レベルで良かったです。高音パートをがっつり地声で出してて安定してましたし、感情を歌に乗せるのも上手でした。2階席からの観劇でしたが、喜怒哀楽がはっきり伝わってきたのも好印象。

 

・ビジュアルも、目がくりっくりしてて大きいからか、照明の光が入ってきらきらしてて可愛かったですし、ちょっとピンクがかったような茶色いウィッグもすごく似合ってました。もともとがっつりダンスをやっていたからか、いい意味で華奢すぎないのも、ティーンっぽさがあって良かったです。

 

・そして何より無茶苦茶たくましいジュリエットで、私はすごく好みでした。非常にかわいらしく、ちゃんと恋に恋するピュアな乙女ではあるんですが、ロミオの一歩後ろをおとなしく歩くんじゃなくて、並んで一緒の歩幅で歩くか、下手したらロミオの手を掴んで脱兎のごとく走り出しそうな、とっても強いジュリエット。自分が「こう!」と決めたら誰にも止められない雰囲気がありました。

 

・霊廟のシーンも、いい意味でたくましくて(?)死んでいくのにたくましいって何!?って感じですが、例えばあの場に神父様が間に合って彼女を説得したとしても、彼女は死を選ぶだろうなという意志の強さを感じました。

 

・残念だったのは、六花ちゃんはもともとはダンスで有名になったのに、今回ほっとんど踊るシーンがなかったこと…!かろうじてカーテンコールで♪世界の王♪をちょこっと踊ってましたが、「絶対目立たないように踊ってるでしょ!?」って感じの控え目ダンスでした。一度はがんがん踊る役で見てみたいです。

(もう少し背が高かったら「フラッシュダンス」とか良さそう…)

 

【ベンヴォーリオ:味方良介さん】

・歌もお芝居も突出して、というよりも平均的にバランスが取れてて良いという感じだったので、申し訳ないくらいほとんど印象に残らなかったです。ベンはわりと出番ある方なのに…。あまり彼に視線がいかなかったんですよね…。

 

・♪狂気♪の♪狂って~い~る~~~~↑↑↑♪はしっかり音上げてくれてて良かったです(細かいですが重要なツボなのです)

 

・一方♪どうやって伝えよう♪は、もしかしたら歌うのに精一杯だったのかもしれませんが、いまいち感情が伝わってきませんでした。あと背景のほのぼの写真に意識を奪われたのが原因かと思われます(外的要因)

 

【マーキューシオ:新里宏太さん】

・「10人歌ったら10人それぞれ違うメロディを歌いそう」(と私が勝手に思っている)難曲♪マブの女王♪を、迷いなくしっかり歌えていました。♪世界の王♪でがんがん歌い踊ったあとなのに!!すごい!!

 

・私はどのマキュも全部同じキャラクター像に見えちゃう残念な人なので、歌唱力も含め、マキュとして大正解キャスティングなのではないでしょうか。あ、ド派手ネイルしてるのは今期から…?カラフルでめっちゃかわいかったです。

 

【ティボルト:立石俊樹さん】

・ずいぶん斬新なティボルト…!正直「黒執事」の配信を見た時に、ティボルトを演じるにはあまりにも歌声の質やヴィジュアルが「甘い」のではと思ってたんですが、それらをうまく生かしたティボルトになってました。

 

・あのお人形さんのような見た目もあって、完全にキャピュレット家の看板娘、ならぬ看板息子でした。完全なるお飾り。キャピュレットという名を背負わされていて、背負わされていることにすごく重圧を感じているけど、それを自分で捨て去ることもしなさそうでした。

(これはジュリエットに出会って簡単に名前を捨てようとするロミオと真逆だなとも思いました)

 

・2019年版の廣瀬ティボルトのような色気も、渡辺ティボルトのような男くささもなく、「そうか、ティボルトってロミオやマーキューシオ、ベンヴォーリオたちと年齢が変わらないんだな」というのがよくわかる雰囲気でした。あえて言葉を選ぶなら血気盛ん…かな?

 

・♪本当の俺じゃない♪の♪俺を変えたのは大人たち♪のところだったと思うのですが、ふっと寂しそうな、すべてを諦めたかのような笑みを浮かべてたのがとても印象的でした。

 

歌うまいですね!?!?!?黒執事のセバスじゃ力発揮できてなかったのかも…。

 

【死:堀内將平さん】

・私は「死」に関しては大貫さんがめちゃくちゃ好きで、大貫さんがインスタで質問募集しているときに「もう1回『死』やってください!」って質問じゃないのに送ったくらいですし(そうしたら「次やったら5回目だよ~どうしようかな~笑」と、インスタストーリーで返信来ました。笑

 

というわけで、正直今回はあんまり「死」に注目はしていませんでした。堀内「死」も、1幕は特に存在感もなく、たまに「あ、そういえば『死』いたんだっけ」ってなるくらい。♪僕は怖い♪の踊りはさすがでしたが。

 

・でも♪憎しみ~エメ♪のとき、オペラグラスで観ていたら、悲しみと後悔に打ちのめされてぼろっぼろになってる甲斐ロミオを、とんでもなく不気味な笑みを浮かべながら堀内「死」が見つめていて、その構図があまりにも怖くて半泣きで観ていました。ロミオから発される負のエネルギーを吸い尽くして輝くのが堀内「死」でした。

 

・ラストシーンも、モンタギューとキャピュレットがまた争いを始めそうになるとにやって笑ったり、結局両家が仲直りをすることになると途端に悶え苦しみだしたりと、かなり表情豊かでした。表現として好みが分かれそうでしたが、私は大好きです…!

 

大人チームの感想をちょこっと記録。

 

乳母役の原田さんは、前回公演のシルビアさんよりも、しっかりもので頼りになる乳母でした。

 

キャピュレット夫人の春野さんと、モンタギュー夫人の秋園さんは続投組。この2人が歌う♪憎しみ♪が大好きなので、また生で聴けて良かったです。

 

逆にキャピュレット卿は、今期からキャスティングされた松村さんは、歌にいまいち説得力がなかった印象です。♪娘よ♪ってすごく大事な歌だと思うんですが、あんまり響かず。

 

前回公演でキャピュレット卿だった岡さんがヴェローナの大公になり、大公だった石井さんが神父様にスライド。岡さんの大公、しょっぱなから声の圧がすごすぎて思わず笑ってしまうくらいのド迫力でした。あの大公殿下に逆らうモンタギューとキャピュレットの人たち強過ぎんか…?髪型だけなんとかしてほしかったです(セサミストリートのバートみたいなパイナップルヘアでしたw)

 

石井さんの神父様は良かったんですが、個人的には大公の方が好きかも…。

 

は~~やっぱロミジュリは最高だな!!(語彙力)