Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2022.10.16 ミュージカル「エリザベート」ソワレ公演:ハプニング続出!?

開幕して1週間のうちに3回目の「エリザベート」。ペース早すぎんか(自問自答)

 

やっと観られた花總シシィ&はじめましての黒羽ルキーニ出演回でした。


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比較的ハプニングの多い回でした。♪不幸の始まり♪でトートのマイクが一瞬入ってなかったり、♪私だけに♪で花總さんシシィが一瞬歌詞をすっ飛ばしたり(♪嫌よ人目にさらされるなど♪の「人目に」が完全に抜けてたけど、泣いて歌えなかったとかなのかしら。こんだけ回数演じてても飛ばすことあるんやなと)

 

中でも「古川さんナイスアシスト!」が見られたのが、♪闇が広がる(リプライズ)♪でのハプニング。

 

♪不幸が始まるのに〜♪で、トートに追い詰められながら舞台下手側にあとずさる甲斐ルドルフ。なにやら左手で、左頬から左耳あたりを触っているのが見えたんですが、トートの言葉を耳に入れたくない!みたいなお芝居にも見えたので、特に違和感はありませんでした。

 

その後、♪我慢できな〜い♪でルドルフがトートに引っ張り上げられ、そのまま2番サビに入ったところで、古川トートが振りつけに見せかけて、甲斐ルドルフの首の左側にそっと手を当て、定位置からズレてしまったマイクを甲斐ルドルフの声がしっかり拾える位置に微調整してあげてたのが見えて…。ふいにときめきすぎてその後の記憶がありません(真顔)トートとして存在しつつ、片手だけ一瞬「古川雄大」になるの、めちゃくちゃかっこいい…。

 

歌いながら、動き(踊り)ながら、芝居もしながら、とっさのハプニングに冷静に応じる古川さんと、自分の身にハプニングが起こっても動じない甲斐さん。いっぺんにいろんなことをしながら、ベストパフォーマンスができるようにアシストするってすごいなと感動しました。プロの舞台人なら当たり前なのかもしれないけど、マルチタスクが苦手な身としては本当に尊敬しかないです。

 

ちなみに定位置に戻った甲斐ルドルフのマイクですが、その後は汗で水没してしまい、「ママも僕を見捨てるんだね」はほぼ生声になっておりました。

 

以下、キャスト別感想。

とりあえず今期初見の方をメインに書いております。

 

エリザベート花總まりさん】

・「2020年で最後のつもりだった」という言葉もインタビュー記事で読みましたが、確かに1幕冒頭の少女時代は、歌い方が前回よりも不安定さを感じました。ビジュアル的な可愛さは全く変わってないのだけど、声はちょっと無理やり出してる?という印象。

 

高音パートも、個人的には地声でぱーんと出してほしい派なので、やっぱり花總シシィの歌唱よりはちゃぴシシィの歌唱が好みではあります。

 

・でももう花總さんは、存在そのものが「シシィ」みたいなところがあり、シシィを演じてるんじゃなくてシシィとして【生きてる】んですよね…。これは恐らく技術とかで身につけられる類のものじゃない、天性のモノなんだと思います。

 

正直このあとの役者人生、この役以上のハマり役を見つけるのは大変そうに思えます。というか、見つかる確率のほうが圧倒的に少なそう。そう考えると、自由を求めるシシィを演じる花總さん自身が「エリザベート」という枠に囚われてしまったようにも見えて、なかなか皮肉だなと(ヲタクの勝手な妄想ですけど)

 

・2幕の芝居は「バイオーム」を彷彿とさせる迫真のお芝居でした。特にルドルフの葬儀のシーンは、前回も壮絶でしたが今回もすごかったです(飛んでいく語彙力)

 

・古川トートが今期かなり強くなっちゃったので、花總シシィと古川トートのバランスは2019年公演の方が好きかも…?

 

【ルキーニ:黒羽麻璃央さん】

黒羽さんすごくないですか?2020年に最終稽古までやっていたとはいえ、本当に今回初めてルキーニとして舞台に立ってるんですか?あれ、2019年も出てませんでしたか??って思えるくらいのクオリティでした。きっと前世がルキーニ(違)

 

彼の場合も古川さんと同じく、2020年から最近まで舞台から映像まで本当に色んな作品に出てたので、その積み重ねが花開いてるんだろうなと感じました。特にミュージカル「るろうに剣心」で志々雄役を演じたのは大きそう。

 

・1幕はわりと山崎ルキーニっぽいかなと思ったんですが、2幕になると「あれ成河さんっぽいかも?」とも思って、2人のいいところを取り入れて、自分らしさも出せてると思いました。いやこれは強いな…。

 

【その他】

・♪最後のダンス♪の曲中で静寂が訪れる部分、花總シシィの小さな悲鳴が劇場中に響いてました。あの悲鳴が聞こえるとトートの容赦なさが浮き彫りになるので、細かいけど好きなシーンです。

 

・♪マイヤーリンク♪の静寂も、毎回肌でピリピリとした緊張を感じられて好きなシーン。あそこで咳したりくしゃみしたりお腹鳴らしたら、えらい目に遭いそうです(それはない)

 

・前回の古川トートは「ふと気がついたら横でそっと微笑んでる死」で、それはそれで「人間と死との案外近い距離感」がよく表現されてる印象で好きでしたが、今回は「人間が泣こうがわめこうが、堂々と正面突破してくる死」で、同じ人が演じてるのにこうも印象が変わるんですね…!