Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2022.9.22 ミュージカル「ヘアスプレー」ソワレ公演:ただあなたと一緒に踊りたいだけ!

本来は2020年初夏に上演予定だった「ヘアスプレー」日本初演

 

あの後、渡辺直美さんが渡米されて活動拠点を海外に移されるような発表をされていたので、もうやらないんだろうな…と思っていたところ、元々のキャストをほぼ全員集めての上演が発表されたので、嬉しいサプライズでした。

 

映画は見ようと思って結局一度も見ておらず、もちろん舞台でも観たことがなく、楽曲もいつぞやのミュージカルコンサートで咲妃さんが歌っていた♪Good morning Baltimore♪と、多分この作品の楽曲で1番有名な♪You can’t stop the beat♪くらいしか知らないという状態。正直あまり予備知識がないまま観劇してきました。


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私はてっきり「ビッグサイズな女の子が、見た目への偏見と戦ってスターの座を勝ち取る話」かと思ってたんですが、まさかの「ビッグサイズな女の子が、人種差別撤廃を訴えて奮闘する話」でした。描かれてるテーマがわりと重たくてびっくり。

 

ただし「人種差別問題」について、比較的しっかり描いているわりには全体のトーンは軽いので、そこまで深刻な話にはなってはいなかったです。とってもシンプルに「白人だろうと黒人だろうと、歌やダンスを愛する者同士が隣り合って踊れないのはおかしくない?」というノリ。かなり観やすかったですし、日本人が観るにあたってはそのくらいソフトな方が良いのかしら…とも思いました。

 

全員日本人キャストのため、白人と黒人を見た目だけで明確に分けるのは、一見なかなか至難の業な気がしましたが、歌い方・踊り方・衣装・髪の色で区別がついており、個人的にはわかりやすかったと思います。唯一メイベルさんは、黒人の設定でありながら金髪で登場してましたが、劇中の歌の中で「自分の髪の毛が真っ黒なのが嫌だった」と歌っていたような気がするので、少しでも白人に近づくために染めたんだろうな…という想像ができました。

 

クライマックスのシーンはツッコミどころ満載……というか、全編にわたってわりとツッコミどころ満載ではありますが、とにかく観てるだけで幸せになるような歌とダンスがいっぱいの作品。出演者全員の目と表情が、3階席から観てもわかるくらいきらっきらしていて、あの「観てるだけでこちらまでにこにこしてしまうラストシーン」は、「キンキーブーツ」にとても似てるなとも思いました。

 

あとはここまで全員がハマり役な作品ってなかなか珍しいのではと思えるくらい、全員が個々の色をしっかり出して活き活きと歌ったり踊ったり演じていて、キャスティングが大天才な作品でもありました。初演としては最高クオリティだと思います。

 

以下、各キャストについての感想メモです。

 

【トレイシー:渡辺直美さん】

・この時代に、歌やダンスができて、トレイシー役としてぴったりなフォルムを持ち合わせていて、キャラもぴったりハマる人として生まれてきてくれてありがとう(壮大)ていうか本当に初ミュージカルなんですか???????

 

・某音楽番組にて、上演に先立って歌を披露されていたんですが、そのときは正直「まぁ…歌はこんなものかしら…」という印象でした。が、舞台で観たら断然良かったです。本当にすごい。だってあの「音響が悪すぎて何を歌ってるか聴き取れない」悪名高きブリリアホールで、彼女の歌唱やセリフはほぼ9割聞きとれたんですよ…。

 

・とにかく登場するだけでその場がパッと華やぎますし、トレイシーのポジティブな雰囲気が自然と出てますし、セリフの声は若干作りこみすぎでしたが(洋画の吹き替えみたい)明瞭に聴こえるので全く問題なかったです。

 

歌も、完全にミュージカル歌唱ではなかったものの、どの音域にいってもそれほど危なげなく最後まで比較的安定していて、もうケチのつけようがないレベルでした。あのレベルに到達するまで、よっぽど努力されたんだろうな…。

 

・芸人としての性(さが)が時折顔をのぞかせるのも、個人的には好きですw変顔がえぐいwあとリンクのソロ曲のときの動きは、完全に芸人・渡辺直美になってましたw

 

・フォルムが本当にまんまるくてかわいかった~!私がリンクになってむぎゅむぎゅしたい…。

 

【メイベル:エリアンナさん】

歌唱力えっぐーーーーーーー最高―――――――!!!!!!!!!!!!!!!

 

・2幕のトレイシーとメイベルのやり取りと、メイベルのソロ曲で泣きそうになりました。エリアンナさんのセリフ、劇中で物語を進めるという意味だけでなく、本当に人種差別と闘ってきた人を代表しているような言い方だったので、ものすごくぐっときました。

 

【リンク:三浦宏規さん】

・クールな役から振り切れた役までできる上に、身体能力と顔面偏差値がハチャメチャ高いのは本当に強すぎます。元からかっこいい人が、人を笑わせるためにかっこつけてもそんなに面白くない場合が多い気がしますが、彼はかっこつけてる姿が本当にかっこいいんだけど、ちゃんと笑えるようなバランスを心がけていて好感度高いです。

 

・あとすごく愛嬌があるのが良き!トレイシーをリードするというよりは、隣でわちゃわちゃ楽しんでる雰囲気が感じられてほっこりしました。

 

【シーウィード:平間壮一さん】

・平間さんを舞台で拝見するのがかなり久々でした。歌唱が少々弱めなのが気になったのと、歌詞が本当に一言も聴きとれなかったのはちょっと…でしたが(いや私の聴覚のせいかもしれんし…)、ダンスのクオリティはずば抜けてました。かっこよかった!

 

・三浦さんと同じく、めちゃくちゃ愛嬌のある役者さんなので、ペニーとのやり取りがいちいちかわいかったです。2幕後半なんて、もうほぼペニーしか眼中にないやろってレベルで絡んでて、ペニーがたじたじになってるのがまたかわいかった…。ほっぺたくっつけてにこにこしてる2人を見て、私は座席で悶絶しておりました(危)

 

【ペニー:清水くるみさん】

・キャラが最高すぎるので優勝です(謎)

・動きとセリフが全部面白すぎました。あの動き(=歩き方)真似したくても多分できない絶妙さ…。

 

【ウィルバー:石川禅さん】

・ブリリアの音響に唯一大勝利していた禅さん。かわいいおじさまの役が本当によく似合いますよね…。

 

エドナ:山口祐一郎さん】

・もはや出オチな感じではあったものの、今まで観た山口さんのキャラの中では一番好きでした。エドナママかわいいよ~!

 

 

再演のときはブリリアじゃない劇場でお願いします。日生劇場とかいいと思うよ!!!!!!!(圧)