舞台「ハリーポッターと呪いの子」、プレビュー公演開幕から3か月経って、ようやく観ました。
翻訳版が出版されたときは、まさか日本で上演されるとは1ミクロンも思ってなかったので、上演が発表されたときは本当にびっくりしました。そもそも映画のインパクトがあまりにも強いため、年齢を重ねたとはいえハリー、ロン、ハーマイオニーたちが、出で立ちは日本人で日本語を話す、というのが全く想像つきませんでした。観劇前は正直、期待半分・不安半分といった気持ち。
実際に観てみたら、全体的には「期待通り」だったかなという感じで、「うおおおおおハチャメチャに良い!」って大興奮するわけでもなく、「これはがっかりだな…」と思うこともなく、良くも悪くも予想通りでした。
15,000円の価値は十分にあったけど、じゃあもう1回15,000円を出して観たいかと言われると、正直微妙なところです。3時間40分の上演時間というのもちょっとなぁ…(と思いつつ、ミュージカルにもたびたびそういう作品はあるので何とも言えません)
当時「予習しなくてもOK!」みたいな感想もよく見かけていたんですが、個人的には予習必須じゃん…?と思っています。せめて「炎のゴブレット」で何が起こったのかを知らないと、この物語のメインパートで「?」になりそうでした。
冒頭から何の説明もなく、過去の出来事や人名が出てくるので、「観客がこれまでのハリーポッターの人生と、彼にまつわるすべてを知っている上で観ている」前提で話が爆速で進んでました。観劇2日前に「呪いの子」を読み直しておいて良かったです…。
ACTシアターを、この作品のロングラン上演用に改修したとのことで、「魔法」の再現はかなりすごかったです。それも、プロジェクションマッピングや最新機器に全て頼るのではなく、意外とアナログっぽい仕掛け。だけど本当の「魔法」みたいに見えるという絶妙さ。
ハリーとドラコが魔法でけんかするシーンは、一体どうなってたんだろう…。背景に黒子さんが何人もいるんだろうと思ったんですが、それにしてはその人たちの動きが全く見えない…。ハリーの身体がさかさまになったりしたときに、彼を支える手とか何かしらの機械は見えなかったんだよな…(我ながら大人っていやだなぁ…。笑)
あと舞台前方にちっちゃいプールがあってびっくり。確かにないと物語が成り立たないんですが、スコーピウス役の子は何度もあそこからびしょ濡れで登場しなきゃいけなくて大変そうでした。
1番感動した&恐怖を感じたのは、吸魂鬼(ディメンター)の再現度の高さ…!本っっっっっ当に映画で観たあのまんまの造形で出てきて、客席の上を飛んで行ったりする演出もあり、子供のころに観たらトラウマ間違いなしレベルの怖さでした。あの布のひらみとか完璧すぎる。めっちゃ怖かったです。
なぜか「ヴォルデモート」ではなく「ヴォルデモー」って呼んでたのが、最後まで気になりすぎて夜しか眠れなかった件。特に説明はなかったんですが、パンフレット買って読んだら解決するのかなぁ…。慣れ親しんだ固有名詞が、微妙にとはいえ突然違う風に呼ばれると「?」ってなるものですね。
観劇前に危惧していた「日本人キャストが日本語でハリポタキャラクターを演じる件」については、観始めたら全く違和感がありませんでした。特に映画に登場していたキャラクターたちは、映画版を1回踏んだ役作りに(私には)見えたので、とても観やすかったです。
以下、印象的だったキャスト別の感想メモです。
・ハリー・ポッター役の3人が発表されたとき、「これどう考えても向井さん一択では?」と思った私は、多分ダニエル・ラドクリフのハリーに囚われすぎてる(謎)
でも「ハリーポッター」をイメージしたときに、やせ型でちょっと神経質そうで聡明そう、というのが私の中にあるハリー+「映画版のハリーが40歳になったらどんな見た目になるか」で、向井ハリー一択でした。
ハリーにしてはやや背が高すぎる気もしましたが、「ダニエル・ラドクリフのハリーが40歳になったら、恐らく向井ハリーになるな」と納得できるキャスティングでした。
例えばダンブルドア先生の肖像画と話してるときの雰囲気は、「謎のプリンス」や「死の秘宝」あたりのハリーに似ていました。心が休まらず常にぴりぴりしてる雰囲気も、映画版のハリーっぽくて、すんなり入り込めました。
・ただ異様なほど早口だったのはなぜ…?他役者さんのハリーを観てないので何とも言えませんが(あと全体的に早口ではあったけど)、早口言葉か…?ってくらいの速さで話すので、聞き取るのが大変でした。声質はすごく低いわけでも高いわけでもなく、聴いてて心地よい声で素敵でした◎
・とにもかくにもスタイルが良すぎる。何を食べて育てばあの等身になれますか?????ただでさえ早口なセリフを取りこぼさないようこちらは頑張ってるのに、向井ハリーが登場するたび「いやスタイル良すぎん?????」が真っ先に浮かんでしまうので脳内処理に苦労しました。顔の大きさ、魔法で縮めたんだよね??????????腕と足も魔法で伸ばしたんよね???????
・顔の小ささゆえか、オペラグラスを使っても、私の席からだと彼の表情の細かい部分まで読み取るのは難しく…。あまり表情は変わらない印象でした。
でも肖像画にいるダンブルドアとの対話で涙するシーンでは、ちょっとグッときました。
あとクライマックスは本当に観てるだけでつらかったですし、あの光景を見て両親の断末魔を聞いた向井ハリーが、文字通り膝から崩れ落ちて泣き叫ぶ姿が目に焼きつきました。
【ドラコ・マルフォイ:松田慎也さん】
・トム・フェルトンのドラコをイメージしてると、ややガタイが良くフォルムが四角い印象でしたが、纏ってるオーラがマルフォイ家でした(?)
・松田マルフォイは「普段嫌味なやつなのに、1年に1回くらいの周期でごくたまにいいやつになる」感じがたまらなく良かったです。クライマックスでスコーピウスに言った「私たちもハグしようか?」で卒倒しかけました(原因:萌え)
【アルバス・ポッター:藤田悠さん】
・斉藤スコーピウスがかなり「濃ゆい」味つけのキャラづくりだったので、うっかりするとかすんじゃいそうでしたが、なんとも「等身大」な役作りが上手かったです。作りこみすぎてない話し方がすっごく好み!
下手すると棒読みに聞こえそうな部分もあっりましたが、あの摩訶不思議な世界観にいて、彼の話し方はとても現実味がありました。
向井ハリーとの親子げんかと仲直りも大変素晴らしかったです。ケンカするシーンってセリフの応酬なので、2人の呼吸が合わないとおかしくなりそうですし、だからと言ってあまりにもキレイなテンポで言い合っても嘘くさいですし、観てる以上に演じるのが大変なシーンなんだろうな…。
【スコーピウス・マルフォイ:斉藤莉生さん】
・スコーピウスかわいすぎん??????????
いや、ちょっとわちゃわちゃしすぎてときどきやや騒々しかったですが、あのコミュ障っぷりは私にも覚えがあるので(真顔)
・もう1人のスコーピウスくんもこんな感じの役作りなのかなぁ。斉藤スコーピウスはとにかく愛嬌たっぷりで、「こんなかわいい子をいじめるなんてホグワーツ生頭おかしいんかおいコラ」ってなるくらいかわいかったです(謎)
【嘆きのマートル:美山加恋さん】
・1人だけ本物混じってた(真顔)ちゃんとホグワーツの女子トイレに帰るんだよ…。
・美山加恋ちゃん、本当にあっぱれでした。当時デルフィーのカバーキャストもやってたそうなので、そちらでも観たかったな~~~!!!!!宝井デルフィーはちょいとお姉さまでしたが、美山デルフィーはアルバス&スコーピウスと同年代っぽくなりそうなので、全然違った感じに見えそうです。
いつまで上演されるかわかりませんが、ミュージカルを優先して観てるので、余程の理由がない限りは、もう観ることはないだろうな…。でも日本版上演してくれてありがとうございます!!!!!!!!!!!