木村達成さんが出演するから、というだけの理由で観に行きました、「血の婚礼」(不純な動機)
原作は読まず、あらすじはなんとなく把握して挑みました。舞台セットや役者さんたちのお芝居は好みでしたが、物語自体はそれほど楽しめず、一度観れば良いかなぁ…という印象でした。これまでストレートプレイはいくつか観てきましたが、ミュージカルよりもさらに好き嫌いがはっきり分かれる気がしてます。
あまりわかったような感想は書けませんが、思ったままに箇条書きしてみました。
・非常に単純明快な話の流れなのに、なんだかわざと煙に巻いてる?というくらい、もや~っとした作品でした。
スペインを舞台にしているということで、衣装にはぱきっとした色が使われてたり、音楽にフラメンコギターが使われてたり、床には土(に見せかけたココナッツの皮)が一面に敷かれてて、カラッとした空気感を作り出していました。一見明るめな印象なんですが、そこで作り出される物語自体は実にジメっとしててずっと不穏。
結末も特に救いはなく、血に呪われた愚かな人たちがたどる末路、みたいなぼんやりとした終わり方でした。
・好みだった部分は、舞台セットが1幕と2幕でがっつり変わったこと。1幕はすべてのシーンが基本的に「建物の中」で起こるので、舞台の広さのわりにえらくこじんまりした空間が壁で囲まれており、舞台上手と下手に1枚ずつ、ドアに見立てた出入り口があるのと、窓に見立てた四角い穴が空いてるのみでした。
結婚式のシーンで、建物の中で人物が話してる間にも、舞台奥で(建物の外で)何が起こっているのかが、客席からわかる見せ方になってた仕掛けが面白かったです(説明がむずい)
幕間でお手洗いに行って戻ってきたら、壁が全部取っ払われて一面砂場に変身。そこに木に見立てた大きな柱が4本立ってるのと、舞台奥の中央が八百屋舞台になってるのみのシンプルな舞台に変わってました。普通なら隠すであろう舞台の搬出口とか道具を置く場所(?)をあえてそのままむき出しにしてたのも、何か意味があるんでしょうか。
・登場人物のほとんどが、衣装の上から直線的な黒いバンドみたいなのを着用していて、すごく違和感があったんですが、子ども2人と2幕のレオナルド&花嫁が着けてなかったのを見ると、「何かに縛られている人」と「何にも縛られてない人」の区別をするものなのかな…と思ったり(そんな安易なのか…?)
・レオナルド以外には名前がついてないのも気になりました。「花嫁」とか「花婿」は、最後まで「その人自身」の名前で呼ばれることがなかったのは何でなんだろう…?
・2幕の冒頭はかなり面食らったんだけど(「月」として登場した安蘭さん)、あれは戯曲通りなんですよね。とはいえ、もう少し違う見せ方があったのでは…?客席全体から「困惑」の二文字の空気が漂ってたので…。
・2幕でレオナルドと花嫁が、舞台奥の丘から出てくるシーンと、そのあとの殴り合ってるのか愛し合ってるのかわからない、コンテンポラリーダンスみたいな取っ組み合い(?????)は好きです。2人がスローモーションで丘から登場するんですが、体幹がめちゃくちゃ強かったり運動神経が良くないと成立しなさそうです。
・レオナルドと花婿の殺し合いのシーン、迫力がすごかったんですが、その前のシーンも併せて「怪我しそうで怖いな…」という印象が先に来てしまいました。座席が舞台に近かったがゆえの印象かもしれません…。
・膝から崩れ落ちるどころか、シャツの背中をびっしょびしょにしながら砂(=ココナッツの皮)まみれになりながら転げまわる達成さんよ…。
・長髪&おひげな達成さん、私はわりと好みです。色気が増し増しで素敵!しかしほんの4か月ほど前はめそめそ弱気な男子高校生を演じてたのにな…と思うと、役者さんとはなんて不思議な職業なのだろうと、妙な部分に気持ちを馳せてしまいました。
・結婚式で、花嫁と花婿がきゃっきゃしながら話してるのを、ものすんごい目で見つめる達成さんを目の前で拝みました(XB列)怖いんだけど超絶美しかったです。あと足が長い(定型文)
・白シャツありがとうございますごちそうさまでした(拝)
・花嫁…彼女の気持ちはわからないけど、理解はできました。頭で考えたら花婿と結婚するのは正解なんだけど、何をどうしても気持ちがレオナルドに向いちゃうんでしょうね。もういっそどっちも振れば良かったのでは(真顔)
早見あかりさんは、とにかくお顔がくっきりはっきり彫刻のごとき美しさで、特に横顔の美しさに惚れ惚れしました。
・花婿も、常識人に見えてヤバい人なのでは?オーラが終始漂ってました。
須賀健太さんは、見た目も雰囲気もやわらかいんですが、だからこそ「女性はこうあるべき」「家庭はこう作るべき」みたいな考えに囚われてそうでした。
久々にちょこっと難解なストレートプレイを観ました!