2021年3度目のレミゼ観劇。
前日に観る予定だった「ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート」は、関係者にコロナ陽性者が出てしまったとのことで、当日朝に中止のアナウンスが出てしまいました。やっぱりまだまだ「普通」にはほど遠いなぁ…と思ったり。
それでも6月中の公演はほぼ予定通りに観られてたので、そのことに慣れ始めた自分にとって、改めて「中止になる前提」でチケットを取らなきゃな…と自戒を込めるきっかけになりました。コンサートが観られなかったのは残念でしたが、気を引き締め直すという意味では、良い機会だったのかも。
今回のレミゼは、吉原バルジャン、竹内マリウス以外は、前回と全員違うキャスト。完全に初見だったのは加藤コゼット、樹里テナ夫人。お久しぶりです!なキャストは伊礼ジャベ、和音ファンテ、相葉アンジョ。今期2度目だったのは(前回と同じ竹内マリウス含め)生田エポ、橋本テナ。いろいろごちゃ混ぜなキャスト回でした。
隣の席の客がなかなかアレだったからか、あまり心に刺さらない回でした…。その人、まず1幕はカバンの中でずっと何か点滅させていました(幕間に気づいたようで、2幕前にはカバンの奥底に押し込んでましたけど、スマホだったら電源切りなさいよ…!)
さらに拍手は耳に刺さる爆音。1幕終わりではまだみんな拍手してるのに、1人立ち上がって我先に通路に出ようとしていて(ムカついたので阻止しました←)、オペラグラスの上げ下げ動作がいちいちおおげさ(そっとやってくれ)。
カーテンコールでは自分のお気に入りキャストにだけ爆音拍手、気に入らないキャストには拍手なしという、トータルで最悪な客でした。推定50代のおばさま。もう2度と観劇してほしくないので、これから1枚もチケットが取れなくなる呪いでもかけたかった…。観る環境って本当に大事です。
以下、キャスト別感想。
【ジャン・バルジャン:吉原光夫さん】
「吉原バルジャンが見たいんじゃ!」って申し込んだら、確保できた4公演中、3公演が吉原バルジャン回になってしまい、代わりに福井バルジャンが今期未見のまま終わることになりました。
今期の吉原バルジャン、やっぱり「剛」よりも「柔」が感じられるバルジャンになった気がします。2019年に初めて観たときは、とにかく力強い歌声とお芝居が印象的でしたが、今期はコゼットに接するやさしさや、司祭さんに気遣われたときに見せる弱さ、心からの祈りがこもった♪彼を帰して♪、最期のシーンなど、全体的に角が取れたなと思いました。私の中のバルジャン像は、吉原バルジャンで固まりつつあるなぁ…(正直まだヤン・バルジャンへの未練たらたらですけど←)
【ジャベール:伊礼彼方さん】
かっこよくて品があってスマートな伊礼ジャベール。ジャベールはまとわりつくような、一種のいやらしさを感じるキャラクターですが、伊礼ジャベはあまりそれを感じさせないので、前半はあまりバルジャンへの執着もほとんど感じませんでした。ただただ自分が信じる正義にまっすぐ進んでる印象です。
(他の方が演じるジャベールも、自分が信じる正義にまっすぐなのは同じなんですが、バルジャンだけに特別な感情を持っている印象でした。が、伊礼ジャベはそれを感じませんでした。捕まえるべき犯罪者がたくさんいて、その中の1人がたまたまバルジャンってだけ、というのが伊礼ジャベの印象です)
というわけで、粘着質な感じはあまりなく、比較的からっとした印象で、声も他の2人(川口さん、上原さん)と比べると太さはないので、♪星よ♪もすごく印象に残るわけではありませんでした。
ただ他の犯罪者たちを捕まえてきたときと、バルジャンを捕まえようとしたとき(=バリケードで再会して自分のことを殺すように言ったとき)の、相手の出方が全く自分の予想の範囲外で、伊礼ジャベはそれに対する的確な判断(答え)をすぐには出せなかったように見えました。バルジャンに無傷で解放されたときには呆然としたままでしたが、おそらくそうした行動をとった自分を、後でひどく恥じたんじゃないかと…。
なので最後にバルジャンを追い詰めたときから♪ジャベールの自殺♪までの、狂気をはらんだ目と、自殺シーンでの♪星さえ凍る♪で空を見上げたときの、恐怖におびえるような表情が印象的でした。♪星よ♪のときに夜空に浮かぶ星を、ジャベールは「刑事たちだ」と例えていますが、バルジャンに許されること=自分が信じてきた道を外れることと認識しているであろう伊礼ジャベは、その「星たち」の視線から逃れたいがために、川に沈んでいったんじゃないかなと思いました。
というわけで、そのキャラクターが持つ細かい背景を思い浮かべさせてくれるような伊礼ジャベでした。
【ファンテーヌ:和音美桜さん】
私の人生初レミゼでファンテーヌだった和音さん。2019年は結婚後に妊娠されていたのでいったん抜けて、昨年からお仕事に復帰され、今期からはレミゼにも復帰されました。「モーツァルト!」があったので、帝劇での出番は少なめだったのかな…?吉原さんとの結婚後、初めての夫婦共演だったので、そういう意味でもとても注目されていたと思います。
ご本人たちはあくまでも「役」として舞台に立ってるので、あまりうがった目で見られたくはないと思いますが、やはりご夫婦というだけあって、お芝居の息がかなり合ってるのではと感じました。娼婦に身をやつしてバルジャンにいら立ちをぶつけるのも、死期が近くなって体を預けるのも、きっと思いっきりできるんだろうなと。気心知れた仲だからこそできることって、きっとあるんでしょうね。個人的にはとても良いなぁと思います。
そして和音ファンテーヌが、やっぱり一番好きなファンテーヌだなと改めて思いました。♪夢やぶれて♪の説得力や、これまでのファンテの人生を感じさせるような芝居込みの歌声が、すごく好きです。
あとバルジャンが亡くなる直前に迎えに来るシーン。バルジャンに必死に語り掛けるコゼットを見つめて、「こんなに大きくなって」みたいに微笑む和音ファンテが見えて「あ゛―――――」ってなりました(謎)
【コゼット:加藤梨里香さん】
反抗期の乙女だった加藤コゼット。見た目は可憐で愛らしくて、歌声もすごくかわいらしかったんですが、バルジャンが自分に対して何か後ろ暗いところがあるのがどうしても許せないようで、「パパはなんで私に話してくれないのかしら!」と、ぷんぷんしてる印象が強かったです。バルジャンに「寂しい子よ」みたいに言われて、あからさまに顔上げてムッとしてましたし。
バルジャンは、コゼットを愛するがゆえに自分の過去やコゼットの身の上を語りませんが、加藤コゼットにはそれが全く伝わってない印象でした。若さゆえに、バルジャンの気遣いややさしさに気づけていないという感じ。そして彼女がその「愛」に気づくのは、皮肉にもバルジャンが召されるときでした。マリウスを愛することで、より身近なバルジャンからの愛にも気づけたのかなと思いました。
となると、バルジャンとの別れには少し後悔が残りそうな加藤コゼットでしたが、きっとマリウスが全力で支えてくれるだろうな…と思えるラストシーンでもありました。
2019年公演では、エポニーヌが三者三様で面白かったですが、今期はコゼットが三者三様で全員良いパターンでした(※個人感)個人的には敷村コゼ推しです。
【マリウス:竹内將人さん】
「ザ・王道」な竹内マリウス。恋に舞い上がるお芝居がすごくうまくて、特に♪プリュメ街~心は愛に溢れて♪で、コゼットの家に石をぶつけるところからのお芝居がユニークでした。
コゼットが窓を開けて出てくる前は、必死に髪の毛を撫でつけたりシャツの襟を直したりしてて、♪この~想い~♪で一度コゼットが家の中に引っ込むと、♪想~い゛っ!?♪みたいに瞬時に焦ってましたw
♪ああ君の名前も知らない♪で動揺しまくっていて、うろうろ徘徊してるのもめっちゃ面白かったな…。♪僕はマリウス・ポンメルシー♪のあとのお辞儀も素早くぺこっと会釈してコゼットから決して目を離さず、「堅物マリウス」が初めて恋をした様子をうまく表現できてるなと思いました。
あと前回はあまり印象に残らなかった2幕でのお芝居、バリケードで弾を取りに行こうとするシーンで、バルジャンの制止を振り切ろうと全力でもがく姿がすごく印象的でした。吉原バルジャンが結構必死に抑え込んでたので、相当力入ってたんだと思います。
前回は肝心かなめの♪カフェソング♪で盛大に声が裏返ってましたが(ついでにマリウスが持つろうそくの火も、曲終わりまで持たずに消えてましたが)今回はそんなこともなく素晴らしい歌唱でした。ただ私は海宝マリウスの面影を永遠に追い続けるマンなので……………(重)
あと竹内マリウスはところどころ「どうしたの!?」ってびっくりするくらい、声量が無くなるところがあるのが気になりました。マイクの問題かしら…?
【エポニーヌ:生田絵梨花ちゃん】
<注意:いくちゃんファンですが、今回は厳しめ感想です>
私が厳しい目で見すぎてるのかもしれませんが、なんだかな~~~。いくちゃんエポ、私はあまりしっくり来てません。やっぱりコゼットの方がキャラ的に合ってるんじゃない?って思っちゃいます。
いくちゃんが他2人のエポニーヌと違ってる強みとしては、「コゼットを経験してること」だと思うんですが、そういう彼女なりのエポニーヌ像がいまいち見えてこないなと…。どうも「コゼットみたいにかわいくならないようにしなくちゃ」というところに重きを置いてるように感じましたし、ドスのきいた声がわざとらしく聞こえてしまいます。もっと素直にまっすぐ演じてもいいのでは…。
歌も、低いキーはあまり出てなくて(自分に合った範囲のキーだと途端に元気になる…)1幕ラストの♪ワンデイモア♪は悪目立ちした声になっちゃってますし、♪オン・マイ・オウン♪では聴かせどころの♪縁などな~~~い♪で声ひっくり返ってました。
この回でいいな!と思えたのは、最後のシーンでの和音ファンテとのハモり。とても美しかったです。
【アンジョルラス:相葉裕樹さん】
2017年ぶり、ということで4年ぶりの相葉アンジョでした。4年前も、圧倒的なスタイルの良さ、顔面偏差値の高さ、カリスマ性がピカイチだなと思ってましたが、4年ぶりに観たらめちゃくちゃ大人になってましたし(当たり前か)、ラマルク将軍の死で狂気のスイッチが入ってしまったかのような勢いと、一種の怖さを感じました。「もう戦うしかない」と相葉アンジョが決めたら、周りの誰もが止められない、止める隙もないオーラを放ってました。
相葉アンジョの見どころは、やはり2幕のバリケードのシーン。とにかくスタイルが良いので、バリケードに立つ姿がものすんごく様になりますし、撃たれてバリケードから落ちるその一瞬のポーズも信じられないくらい美しい。絵画にしたら多分高値で売れます(謎)
髪型はポニーテールで2017年から多分変わってなかったんですが、短髪な相葉アンジョも観てみたかったな。
歌は4年前から変わらず「主人公ボイス」。相葉さんの声は、聞いただけで「あ、この人はメインキャラクターなんだな」とわかるような、すごく得をする声質だなと思ってます。その特長はそのままに、今期は歌がさらにうまくなってたと思います。
前回の小野田アンジョの給仕バイトがはちゃめちゃに面白かったので、今回もマリコゼの結婚式そっちのけで給仕さん見てました。相葉さんがあまりにもはっちゃけすぎてたので、笑いを必死にこらえて座席でぷるぷる震える羽目になりましたw
以下、給仕になった相葉さんの珍妙な行動ですw
・シャンパングラスをお盆に乗せて、近くでダンスしてるペアに向かって執拗にお酒をすすめる。
・テナ夫人に肩叩き(高速&激しく。笑)
・自分の両肩をすくめて変なポーズ。
(周りの給仕さんもなぜかマネし始めるw)
・テナルディエ夫妻がトラブルを起こすと、囲みの外から夫妻を見ようと全力ぴょんぴょんジャンプ。
・テナルディエ夫妻が歌い始めると、リズムに合わせて長い手足を駆使して全力で踊り狂う。
全体的にめちゃくちゃ目立ってましたし、あれ笑うなっていう方が無理ですw
樹里テナ夫人、見てみたかったから嬉しい~!!!!!「天保十二年~」の樹里さんが好きだったので、テナ夫人も「絶対似合うじゃん!」って思ってましたが、「今までなんでキャスティングされなかったんだろう。むしろレミゼ3期目ですか?」くらいのなじみっぷりでした。
とにかく口が悪くて(笑)橋本テナが一言小言を言うのに対して、樹里テナ夫人が3センテンスぐらいぶつけてた気がする…wなので、多分口喧嘩したら樹里テナ夫人がいつも勝つんだろうな…という、このペアの日常まで垣間見えるような感じ。喧嘩するほど仲が良い、がとてもしっくりくるペアでした。