Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2023.7.27 ミュージカル「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」ソワレ公演:お芝居で泣かせる歌うまペア

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3回目の「ムーラン・ルージュ!」はローチケ&おけぴ貸切回でした。

 

歌唱力で魅せてくれるだろうと予想していた平原サティーンと井上クリスチャンのペア、お芝居ではちゃめちゃに泣かされるという展開でした。めっちゃ良い回だったなぁ。

 

 

ちなみに開幕前はあれだけ「チケット料金高すぎ!」って言われてましたが、このあと無事に全公演完売したそうです。もちろん作品自体の好き嫌いはあると思いますが、それだけの価格を出す価値は個人的にある作品だと思います。「LUPIN」「ベートーヴェン」「ATTENTION PLEASE!2」が控えてなかったら、もう一周それぞれのペアを観たかった…。


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座席は2階席H列のセンターブロックやや上手側。A席の中では最後列ですが、すぐ後ろが通路なので多少背すじを伸ばして姿勢よく座っても問題なく、下手にF列とかに座るよりも前列の人が気にならないので見やすかったです。2階席でも、一発目の重低音で座席が震えてて最高すぎました〜!

 

貸切回だから観劇慣れしてる人が多かったのか、はたまたリピーターが多かったのか、♪Welcome to Moulin Rouge♪から客席のテンションが大爆発しておりました。とにかくものすごい拍手の嵐で、井上クリスチャンがわー!!!!って嬉しそうに両手で顔包み込んでてかわいかったです。直後の「なんってすごいんだっ!」ってセリフが実感こもりすぎてて笑いましたw

 

♪Backstage Romance♪でも手拍子が起こる回に遭遇したのは初めてでした。カーテンコールも\ヒューヒュー/の嵐。「キンキーブーツ」みたいで楽しかったです!

 

そして本編で流した涙を返してくれと言いたいくらいの、芳雄さん&平原さんによるカーテンコールでの爆笑挨拶が聞けたのも良かったです。笑

 

ちなみにこの2人、それぞれ声質が独特なので重なり合うとどうなるんだろう…と思ってたんですが、不思議なことに劇中の2人の距離が離れるほど良いハーモニーになっていった気がします。

 

物理的距離(?)が近い♪Your Song♪や♪Elephant Love Medley♪では、やっぱりそれぞれの声が独立してるなぁ~と思ってたんですが、♪Crazy Rolling♪で声が重なる部分は、爆発的な声量はそのままに、非常に美しいハーモニーに聴こえました。


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以下キャスト別感想メモです。

今回でWキャスト全員観られたので、サティーン&クリスチャン以外のプリンシパルキャストの感想も残しておきます。

 

【サティーン:平原綾香さん】

・プレビュー公演の時は、\DIVA!/な印象が強く、どちらかというとショーアップされたシーンが多い1幕が好みでしたが、今回は歌のクオリティはそのままに、お芝居がめちゃくちゃ良かったです。

 

・芳雄さんとのペアだと「お姉さま」感が薄れるかと思いきや全然そんなことはなくて、むしろよりセクシーさが増してた気がしました。

 

♪Elephant Love Medley♪で井上クリスチャンと向き合った時、平原サティーンが芳雄さんのほっぺをひとさし指でツンツンつついてて、その後芳雄さんが自分のほっぺをひとさし指でツンってして「?」の顔してて、かわいかったなぁ~~~~~~~~~~~(悶絶)

 

ムーラン・ルージュのダンサーたちの母のような包容力は前回でも感じて、本当に「ママ」みたいに感じたんですが、今回は同じくらいクリスチャンへの愛を感じるお芝居でした。特に「もう傷つけたくないの、さんざん傷つけたから」ってセリフが愛にあふれてたな…。

 

ご本人がカテコの挨拶でおっしゃってましたが、演じるというよりも本当にサティーンと同化してる印象がありました。

 

・♪Crazy Rolling♪でのジドラーとの会話、橋本ジドラーの芝居がめちゃくちゃ良かった上に、サティーンが満身創痍で歌うソロパートも鬼気迫るオーラをまとっていて、そのあまりの必死さに泣きました。

 

・(こういうことを書くのはあんまり良くないかもな…というのは前提として)平原サティーンはまさにマシュマロボディの持ち主。デコルテから腕にかけて真っ白もちもちふわふわな感じで、そういう部分も母性を感じさせるのかもしれません。

 

・井上クリスチャンとだとやっぱり遠慮なく声出せるのでしょうか?ハモる部分もガンガン出してたように聴こえました。

 

【クリスチャン:井上芳雄さん】

・前回は中断後の歌唱で、今回は終盤のお芝居で、【井上芳雄】という役者のすごさを肌で感じました。

 

・2幕ラスト、実弾を込めた銃を持ったクリスチャンが、舞台上にフランソワとして登場するシーン。もう登場するときの靴音の響かせ方から、クリスチャンが狂気の向こう側にいってしまったのを感じさせるのすごくないですか…?あの靴音だけでぞくっとしました。

 

劇中劇のセリフを言う声のトーンも、これまでのシーンでは聞いたことのないような堅くて冷たい響き。でも直後にクリスチャンがセリフを無視して言う「僕を見て…僕を見て!サティーン!」は、まるで迷子になった子供が母を呼ぶような、幼くて不安げな声に変化していて、そのギャップが心にぐさぐさと刺さってしまい、涙腺が壊れて涙が止まりませんでした(大号泣)

 

その後、♪Your Song♪をみんなが歌い始めた瞬間、客席に背を向けた井上クリスチャンが背中を震わせて泣いてるのを観て、こちらもさらに泣きました(大号泣)

 

この作品で泣くなんて思ってもみなかったため、マスクの替えも持ってないし手元にハンカチもティッシュも用意してなかったので、顔がぐっちゃぐちゃになりました(汚)

 

クリスチャンが、最初から自分だけ死ぬつもりで実弾をこめたのか、サティーンを殺して自分も死ぬつもりで実弾をこめたのか、いまいちわかってないんですが(劇中劇の話からいくと後者で合ってる…?)、あの登場の仕方だと、井上クリスチャンはサティーンを殺すつもりだったんだろうな…としか思えませんでした。かわいさ余って憎さ100倍ってやつなのか…。

 

・芳雄さんは「クリスチャンの設定年齢が自分とかけ離れていても、この作品に出たいと思った」からオーディションを受けたらしいんですが、それもあってかこの作品の芳雄さんめちゃくちゃ楽しそうに見えました。他作品でも基本的に楽しそうに演じる方ですが、この作品は特にそう感じたなぁ。

 

・♪El Tango de Roxanne♪~♪Crazy Rolling♪はどうしてもクリスチャン定点観測になってしまう…。あの一連のシーン、悲しいんですが演出があまりにも良すぎて何度でも観たいです。

 

このシーンの井上クリスチャンの印象は前回と変わらず、理性的でいようとするんだけど身体の内側から爆発的な感情が湧き出てきてしまって、抑えようとするんだけど最終的に飲み込まれてしまう。その過程をこの2曲使って段階的に表現してるのを感じました。

 

・本編で絶対全部出し切ってるはずなのに(2幕ラストの♪Come What May♪、お顔が汗だくですんごいことになっておりました)、カテコも挨拶も元気で(放っておいたら一生喋ってそうw)週末はラジオもやってテレビの司会もやって、8月からはクリスチャンを演じながら次の作品(ラグタイム)の稽古もやってたそう。シンプルにオーバーワークすぎて恐ろしいです。影武者何人いるんだろうか(真顔)

 

【ハロルド・ジドラー:橋本さとしさん】

・舞台上で拝見するのは、コロナ禍で劇場が閉まる前に観た「偽義経冥界歌」以来…?ミュージカルで拝見したのは初めてかもしれません。いや〜めちゃくちゃ素晴らしかった…!

 

・海外のMR!では、ジドラー役はわりと小柄でちょっと横に大きな役者さんがかわいらしくコミカルに演じてる印象なんですが、橋本ジドラーは背がすらっと高くてとってもダンディ。そしてコミカルな部分は徹底的に面白く、シリアスなシーンではこちらが思わずうるっとくるような芝居を見せてくれました。そして歌うまぁぁぁぁ!最強すぎます!

 

・サティーンを同志であり娘のようにかわいがっている一方、彼女を1人のパフォーマーとして尊敬しているんだろうなというのが、2幕後半の♪Crazy Rolling♪でのサティーンとの会話で伝わってきました。「サティーン、口紅もう少し…」って涙声で伝えて逃げるように去っていくの、本当に泣けました。

 

【トゥルーズ・ロートレック:上川一哉さん】

・スター主義は取らない劇団四季で、人気看板役者(!?)だった上川さん。退団後、わりと頻繁にいろんな作品に出ていて、四季から出ても引っ張りだこな印象です。

 

・上川さんが四季役者さんだった時代は、「恋に落ちたシェイクスピア」でしか観たことがありませんでした。ということで、実は歌を生で聴いたのは初めてだったんですが…なんとなく発声が帝劇サイズになってないような…?低音域をもう少し響かせてほしいなと感じました。歌がうまいのはもちろんなんですけども…!

 

サンティアゴ中井智彦さん】

・中井さんって歌が武器な役者さんのイメージだったので、バリバリ踊れるサンティアゴにキャスティングされたのは結構意外でした(Wキャストはガウチさんですし)

 

でもあのラテン系のギラギラした雰囲気はあるので、実際観てみるとかなりハマり役でした。かっこよかったです!

 

【デューク公爵:伊礼彼方さん】

・橋本ジドラーと同じく超ハマり役でした。ちょうどこの時期放送されていた朝ドラで、ヒロインを狙うお金持ちの役を演じていたらしく、隣の席の人が開演前に「朝ドラの人」って呼んでて笑いましたw

 

・すごくスマートでかっこいいので、一見すると誰にでも好かれそうな伊礼デューク。でも仕草や言い回しにいちいち毒気があって、たとえ金持ちだとしても友達になりたくないタイプ、というのを見事に体現してました。

 

2幕中盤で描かれますが「娼婦を貴婦人に仕立て上げる」という意味では「マイ・フェア・レディ」と同じことを公爵はしてるわけで、本人的には「むしろ俺に感謝しろよ?」くらいに思ってそうでした。女性側の気持ちは一切考えてなさそう…というか、相手が「人間」という認識も薄そうな…。女性は宝石や腕時計と同じ「自分のステータスを周りに見せつけるもの」で、きっとあの後サティーンが亡くなったって聞いたとしても、自分に似合う女性を再び探すんだろうな…と。

 

・カーテンコールは誰よりも楽しそうで、「レ・ミゼラブル」のカーテンコールでも見せてくれた色っぽい投げキスを客席に飛ばしてて、あんな感じの伊礼デュークならサティーンもOKしてくれると思います(?)

 

・ちなみに前回・前々回はKデュークでしたが、ポップス曲をポップスっぽく聴きたい人にはKデュークの方が相性良さそうだなと思いました。平原さんのように歌手本業の方なので。

 

映画版ほどではないですが、Kデュークは実はあまり女性と接したことがないのかなという雰囲気を醸し出してました。だからサティーンと気持ちでつながるんじゃなくて、お金を出してつながろうとするのかな?と。

 

【ニニ:加賀楓さん】

・加賀さん・藤森さんどちらも拝見しましたが、芝居というよりパフォーマンスメインの役柄の印象なので、2人の決定的な違いっていうのはあまり認識できませんでした。

 

強いて言えば、加賀ニニはセリフ回しに少し幼さを感じた一方、藤森ニニは貫禄を感じました。とにかく2人ともダンスのスキルがすんごかったです(語彙力ゼロ)