2019年3度目、そしてレミゼ2019のMy千秋楽。なんだかあっという間でした。3回も観たっけ?って感じ…。
今回はマリウス、コゼット、アンジョルラス以外、なんと全員初見の役者さん!それでなくてもレミゼは常に目が足りないのに、いつも以上に\目が足りない〜/でした。
そして初見キャストばっかり&My千秋楽だから目に焼き付けよう!と頑張った(?)結果、今回は全然泣けませんでした。個人的に前回のほうが好みだったというのもありますが…。
そういえば終演後、帝劇ロビーにて「ものすごく見たことあるんだけど名前が全く思い出せない俳優さん」がいらっしゃって、ものすごくもやもやしながら帰ったんですが、帰宅後思い出しました。鈴木壮麻さんでした!!
以下キャスト別感想です。
・どう考えてもまだ33歳とは思えないような謎の貫禄があり、特にバルジャンが年齢を重ねた時の演技の重みは素晴らしかったです。一見あんまり悪そうに見えないビジュアルでしたし(食器はおろか、パンですら盗みそうにない善人っぽさ)、基本的にくまのぬいぐるみみたいでふかふかしてそう。囚人時代なんて完全に森のくまさん。なんだか近くにいるだけで安心感が得られそうでした。全編を通してウィッグが全然フィットしてなさそうなのが気になりました。再演のときはちゃんとフィッティングしてあげてほしい…。
・公演期間後半ということもあってか、歌声はやや調子が悪そうで、かすれ気味に聴こえる部分が多かったです。晩年のバルジャンの時には、むしろそれがいい味になっていましたが…。福井さん・吉原さんがどちらもキーを上げていた♪にーげーた↑↑↑♪と♪にーよんろくごーさ↑↑↑ん♪は、佐藤さんの場合どちらもキーを上げずに歌うと事前に聞いていましたが、前者は頑張ってそれなりに上げてました。後者は♪にーよんろくごーさ→→→ん♪という歌い方で、ドラマチックな場面なのにちょっとだけ平坦に感じてしまいました。
・カーテンコールのラストでは「よいしょー!」って幕を上げて、「いたた…腕が痛い…」みたいに膝から崩れ落ちるというおどけた小芝居をしてましたw(そしてそんな佐藤さんに向かって、華麗に手を差し伸べる王子様な伊礼さん…バルジャンがヒロインで終わるまさかの展開…笑)
【ジャベール:伊礼彼方さん】
・今回初見だった伊礼さん。ちなみに2010年「エリザベート」でルドルフ役だったそうですが、トート閣下にキスしても死ななそう…と、伊礼ジャベールを見ながら思ってました。ジャベールの白髪まじりの長髪ポニーテールもよく似合ってたので、ビジュアル的にはトート閣下も似合いそう…!
・これまで岸さんと川口さんのジャベールしか観ていなかったため、出てきた瞬間にまず若々しさを感じました(と書くと岸さん、川口さんに失礼な気がしますが)ジャベールにフレッシュさを感じるとは…。
・橋から身を投げる時の歌と演技が特に印象的でした。
「死ぬのは怖い」「でもバルジャンが生きる世界にはいたくない」の2つの思いに板挟みになってもがき苦しんで、最終的に「バルジャンに許された上に、彼を逃した自分が存在する世界」に見切りをつけたような印象を受けました。歌いながら自分自身を律するように、涙目で胸をドンドン叩いてたのも伊礼ジャベールならではなのかしら…?
・カーテンコールではものすごくかっこよく、かつ自然に投げキッスを2度していて、2回目はその仕草のあまりのエレガントさに、私を含め周りの女性客がざわめいてました。ジャベールなのに!!!!!!!!!!!!!!!!!笑
【ファンテーヌ:濱田めぐみさん】
・正直キャスティングされた時は、あまりにもイメージと違っていたので、ちょっと、いやかなりびっくりしました。「え??濱めぐさんがファンテーヌ??いやいや、工場長を魔法で消すでしょ」って思ってしまいました(突然のウィキッド)
・ただ実際に観てみたところ、儚さと芯の強さのバランスが絶妙なファンテーヌでした。歌はもちろんなのですが、特に演技がすごく良くて、工場にいる時はものすごく肩身が狭そうでびくびくしてるのに、工場を辞めさせられ、娼婦になり…と、堕ちれば堕ちるほど、皮肉にも彼女の本来持つ「強さ」が浮き彫りになっていた気がしました。あの強さが最初から出ていればなぁ…少なくとも濱田さんが演じるファンテーヌだったら、きっと彼女の人生は違ったものになったのではないかと思います。ちなみに亡くなる間際は、小説版ファンテーヌのイメージにかなり近い演技だったような。コゼットに会える気満々で突然ぱったり亡くなってしまう感じでした。
【コゼット:生田絵梨花ちゃん】
・3度目のいくちゃんコゼット!!!今回も工場のシーンと娼婦のシーンは、オペラグラスで追いかけました。コゼットとしての演技は、3回観劇した中では正直あまり変わり映えしていなかったかと思います。お相手が3回とも海宝マリウスだったからかもしれないですが、相手によって演技を変えるとか、そこまでものすごく深く考えて演じる領域まではいっていないのかなと…。ちなみにバルジャンは3回とも違ってましたが、コゼットとしての演技は特に変わっていなかったように思います。今後に期待したいです…!
【マリウス:海宝直人さん】
・海宝マリウスも今期3度目!これで海宝さんのマリウスは見納めでした。寂しいなぁ…と思いつつ、しっかりと目に焼き付けてきました。次もしレミゼに戻ってくるとしたらバルジャン役なのでしょうか…でも数年以内というのはちょっと考えにくい気がします。あ、ジャベール役でも面白そう…!
・♪ABCカフェ♪の時に、お酒好きな学生(グランテールさん?)から熱烈なほっぺチューをお見舞いされててめっちゃ笑いましたwあんなの初めて見たw
・今回はガブローシュの亡骸を見つめながら、エポニーヌがかぶっていた帽子を握りしめて、悲痛な顔で絶叫する姿が印象的でした。あれだけ感情が振り切れた演技は、「ノートルダムの鐘」のカジモド以来な気がします。
・ところで海宝さんの歌声があんまりにも素晴らしすぎるせいで、悲しいはずの♪カフェソング♪のイントロでテンションMAXになっちゃう不謹慎な客になっちゃいました。どうしてくれよう(どうもしない)
【エポニーヌ:唯月ふうかさん】
・唯月さんは今回初めて拝見しました。すごく斬新なエポニーヌ…!昆エポニーヌと屋比久エポニーヌは気の強さが色濃く出てましたが、唯月エポニーヌはどちらかというと健気さを打ち出してました。マリウスの前ではずっとにこにこ~~ってしてて、彼女の満面の笑顔を見るたびに、私の胸が締め付けられてしんどかった…。結末を知ってる身としては「そんな素敵すぎる笑顔を見せないでくれ…頼む…」って願っちゃうくらい、チャーミングなエポニーヌでした。元々自称エポニーヌ過激派なので、私史上最大に「マリウスこの野(以下略)」ってなるエポニーヌでもありました。
・マリウスから本奪って、♪あた~~しも読~めるわっ♪ってちょっと寄り目気味に読んでるの可愛すぎる~~!!
・♪恵みの雨♪の時も、痛がる時は極力マリウスから顔をそむけて、マリウスに顔を向けるときは死ぬ間際でも絶対に笑顔で、「こそ泥やってる時の私じゃなくて、笑顔の私を覚えていてね」ってエポニーヌの最期のメッセージのような笑顔で、やっぱりしんどかったです…。
・♪プリュメ街♪の♪エポニーヌ 君のおかげ~だよ♪の時は、逆に自分だけを見つめてうれしそうにしているマリウスを目に焼き付けてるようで、その時のうれしそうなマリウスの姿を、♪オン・マイ・オウン♪の前半(1人~でも2人だわ~のところ)で思い出してるんじゃないかな…と感じました。なんとなく。
・2019年のエポニーヌは、見事に三者三様で、全員本当に素晴らしかったです。
【アンジョルラス:上山竜治さん】
・♪マリウス わかるけど♪の「わかってない感」120%だったから、もう少しわかってあげてほしかった。笑
・やっぱり革命が成功しなかった理由がわからない…リーダーシップ抜群じゃないですか…。上山さんはいつかジャベールとしても見てみたいなぁと思いました。絶対に似合うはず。
・今まで見た中で1番好きなテナルディエ夫妻かも!!すごくすごくすんごーーーーーく映画版のテナルディエ夫妻でした!!!!!!!!!!イメージそのまんま!!!!!!!!!!!
・斉藤テナルディエは、言われなければ絶対「あの」斉藤さんとは分からないくらい、上手なうえに馴染みまくってました。幕間でお手洗いに行ったとき、後ろに並んでた方が一緒に観劇していた方に教えられて初めて気づいたようで、「え?????あれ斎藤さんなの?????」ってビビってました。知らないままなら、普通にミュージカル俳優だと思ってる人もいそうでした。声量はやや控えめに聴こえましたが、声質がキャラクターぴったりの軽い感じ。でも下水道のシーンでは、その軽さが逆にしたたかさを表してて良かったですし、何より演技が細かくてさすが芸人さんだなぁと。カーテンコールではちゃっかり「斉藤さんだぞ」ポーズしてました。笑
・朴テナ夫人も、さすが声優さん!!という声色の使い方で、迫力もあるしコミカルさもあって素敵!コゼット取引(言い方←)の時に、リトルコゼットちゃんの背後でわざとらしい空咳を出してて、「映画でヘレナ・ボナム・カーターがやってたやつ…!!」って地味に感動してました。笑
ガブローシュも運よく3人とも拝見できましたが、個人的にはこの回で見た大矢くんが一番好きでした。あの大きな帝国劇場でもすごくよく通る声質の持ち主で、歌詞がしっかり聞き取れたのと、弾を取りに行って撃たれるまでは歌声だけの演技になりますが、あの場面の前後を含めて本当に素晴らしかったです…!
というわけで、大好きな海宝さん&いくちゃんペアで、3度も見られた2019年の「レ・ミゼラブル」。2年前にはよくわからなかった、この作品の奥深さが今回少し分かった気がしました。複数キャストだと組み合わせによってもいろいろ雰囲気変わりますし、何度見てもちょっとずつ違うので、これぞ生舞台の醍醐味だな~と感じました。