Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.7.16 劇団四季「アナと雪の女王」マチネ公演:愛がすべてを溶かす

 

久々のブログ!

気が向いたら更新しよ~!と思っていましたが、現在絶賛インプット時期(?)のため放置ぎみになってました…。笑

 

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日本でも大人気を博した「アナと雪の女王」。

そのミュージカル版が満を持して日本上演となりました。主催はもちろん劇団四季。ディズニー・シアトリカル・プロダクションとは、昨年で提携25周年を迎えたそうです。

 

四季会員の先行抽選で、家族全員が行ける最短の日程を確保。1公演しか応募しませんでしたが、運良く当選しました。

 

個人的にめちゃくちゃ嬉しかったのが、四季の中でも推している三井莉穂さんの、エルサ役としてのデビュー週に当たったこと。この日が確かデビュー3日目ということで、生まれたてほやほやの三井エルサを観ることができました。

 

というわけで、早速初見の感想を。

(キャストボードは全くもってキレイに撮れなかったので画像が残っていません!!!!!)

 

まずは全体を通して思ったこと。

休憩含めて2時間25分と、上演時間は短めなのですが、映画版よりもキャラクターの心情や背景が深められていたと思います。舞台機構はLEDパネルやスワロフスキーがてんこ盛りで豪華絢爛。歌も新曲だらけでしたが「映画版からあったっけ?」ってくらい、耳なじみの良い曲ばかり。役者さんたちはもちろん最高のクオリティのパフォーマンスを届けてくれました。

 

でも。

 

私の中の3大ディズニーミュージカルである「アラジン」「美女と野獣」「ノートルダムの鐘」レベルではなかったかなぁ…。観終わったあと「もう1回観たい!」ってすぐに次の回のチケットを探してしまうような、あの興奮はありませんでした。

 

映画と1番違っていたのは、アナとエルサの心情が深堀りされてるため、姉妹愛がとてつもなく重たいものになっていたことでした。

 

岡本エルサ&町島アナを観てないからまだ比べようがないのですが、少なくとも三井エルサ&三平アナは、お互いを思いやる気持ちがすっごく重たく感じました。もちろん良い意味で。特にエルサが持つ心の闇が、映画よりもさらに深くなっている気がしました。

 

(エルサがハンスたち追手に捕まる前に歌う♪モンスター♪という曲があるんですが、「お父さん、私が死ねばみんなが助かるの?」という歌詞があり、かなり直接的な表現だったのでびっくりしました)

 

そして1幕冒頭では、小さな頃のアナとエルサのシーンに時間が割かれているため、あっという間に大人になってしまった映画版とは違っていて良かったです。幼少期のシーンを増やすことで、姉妹愛の深さ・強さ・重さが出ていると感じました。

 

一方で、新曲が入ったり、幼少期のシーンが長かったりする以外は、かなり映画に忠実に!!を重んじている印象を受けました。

 

だからなのか、私の印象としては「演劇」というよりも「ショー」でした。ディズニーランドによくあるシアターショー。アメリカのディズニーランドでは「アラジン」や「美女と野獣」の、かなりクオリティの高いミュージカルショーが観られたんですが、そんな感じでした。別に安っぽいとかそういうわけではないんですが、なぜか同じ印象を受けました…。

 

あとこれはもう物語と楽曲の構成上仕方ないことなんですが、きっと誰がどう頑張っても1幕ラストが1番盛り上がってしまうパターンの演目でした。さらに致命的なのは、2幕に「これ!」といった楽曲がないこと。

 

♪ありのままで♪の幕切れがあまりにもかっこよく決まりすぎていて、あれ以上に盛り上がるシーンが2幕にはありませんでした。2幕の方が上演時間としては短いんですが、どうも間延びしてたように感じましたし…。だからといって♪ありのままで♪を2幕に持っていくわけにはいかないですし(一応物語のラストで、出演者ほぼ全員による♪ありのままで♪は聴けますけど。めでたしめでたし、みたいなテンションで)

 

強いて言えば、2幕にあったエルサのソロ曲♪モンスター♪が、♪ありのままで♪と張り合えるようなナンバーになる気はしていますが、あれ日本語で歌うのすごく難しそう…(BW版を聴いたときの高揚感が、四季版にはあまり感じられなかったので)

 

クライマックス(吹雪のシーン)で、アンサンブルさんたちが「吹雪」として演じている中を、アナ、エルサ、クリストフ、ハンスがカルテットで歌うシーンは好きでした。

 

噂になっていた♪ヒュッゲ♪は、楽しいシーンではありますが、正直尺が長かったので、もう少しカットしてもいいんじゃないかな…。

 

全体の感想はいったんこのくらいにして、以下、キャスト別感想です。

 

【エルサ:三井莉穂さん】

・「アラジン」のジャスミン役で大好きになった三井さん。ただエルサ役に初演キャストとして選ばれたのは、正直びっくりでした。

 

ジャスミン役としての三井さんは、つんつんしていてプライド高めな王女様である反面、カーテンコールでは他キャストにちょっかい出したり、きゃっきゃしながら絡んでたりするのを見ていたので、なんとなく【妹っぽさ】を感じていました。だから「エルサか…あれ、エルサ…!?!?」というのが第一印象でした。

 

そして三井さんご自身も、「最初はアナ役でオーディションを受けようかと思っていた」そうなので、きっと「妹キャラ」が自分には合ってるんじゃないか…と思っていらっしゃたんでしょうね。

 

・そんな三井エルサ。めちゃくちゃええやんけ(手のひら返し)

 

もちろん期待はしてました。が、私の予想をはるかに超えて素晴らしかったです。デビュー3日目なので、歌もお芝居もまだまだ伸びしろがありそうだなと感じたものの、むしろデビュー3日目でここまで作り上げてるのか、とも思いました。これはハマり役なのでは…?

 

・すっごく「映画版のエルサ」でした。三井さんの声は、日本語吹き替え版でエルサの声を担当した松たか子さんよりも低めで太く、お顔立ちも決してアニメーションのエルサに似ているわけではありません。が、表情や仕草は、映画で見たエルサそのものでした。映画版を緻密に研究されたのか、三井さんなりに考えたエルサ像として出てくる表情が、たまたまアニメーションそっくりになったのか、どちらにせよ「あ、エルサがそこにいる」と思えました。

 

・歌は地声でがーっと張り上げられる方なので、高音がキンキンしないかだけ少し心配でしたが、特に問題なさそうでした。(ジャスミン役のソロパートはたまにキンキンして聴こえてたので)

 

どの曲も、この時点(開幕1か月)ではまた歌い慣れているわけではないと思うので、今後歌声がもっと前に飛んでくると良いなと思いました。声はしっかり出ていますが、少し迫力不足を感じました。

 

1幕で歌う♪危険な夢♪は、高音パートで裏声を使っていて、弱さを打ち出すお芝居を歌で表現されている印象でした。ジャスミン役では聞けなかった、三井さんの新たな歌声に感じました

 

・背がすらっと高めなので、女王としてのマント付きの衣装も、氷のドレスも、2幕の(着こなしが心底難しそうな)パンツ姿もかっこ良かったです。エルサ特有のプラチナブロンドのウィッグも、着用している姿がいまいち想像つかなかったんですが、よく馴染んでました。

 

・パンフレットを読む限り、岡本・町島ペア、三井・三平ペアで稽古をしていたようで、それもあってなのか、はたまた年齢が近いからなのか(おそらく1歳差)、出身がお2人とも関西だから波長が合うのか(!?)、三井エルサと三平アナの醸し出す空気感がものすんごく「本物の姉妹」みたいで、いい意味で意外でした。たまにやりすぎなくらいはっちゃけてる三平アナをたしなめつつ、そんなアナの様子を心から楽しんでるような三井エルサの笑い声が印象的でした。

 

【アナ:三平果歩さん】

・四季ファンなら誰もが、「アナ雪」の上演が発表されたときに「三平さん、アナ役でオーディション受けるんだろうな」と思ったでしょうし、案の定オーディションの様子が公開されたときに姿があって「こりゃ受かるだろうな」と予期してたと思います。笑

 

・三平アナは、完全に「ディズニーアニメーションの世界からご本人連れてきました」状態でした。360度、どこからどう見てもアナそのもの。「アラジン」の瀧山ジーニー、「ノートルダムの鐘」の岡村エスメラルダに次ぐ、どんぴしゃキャスティングだと思いました。

 

・声質が映画吹き替え版の神田沙也加さんに少し似てるので、観ている側としても世界観にすんなり入り込めましたし、三平さんお得意のくるくる変わる表情も、アナにぴったりでした。

 

・ミュージカル版のアナは、やたら身体能力高めな動きを要求される役のようで、♪生まれてはじめて♪は舞台上で生着替えしつつ、あちこちを駆け回りながら歌ったり、♪とびら開けて♪は飛んだり跳ねたりものすんごい体勢でハンスに抱きかかえられたり、挙句の果てにはあのドレスを着たまま側転まできめてました(呆然)

 

♪愛の何がわかる♪では、つり橋から真っ逆さまに吊られるスタントシーンもあり、想像以上にいろいろ大変そうな役でした。歌がうまくてかわいいだけじゃ務まらん…。

 

・アナが持つ「ちょっとしたうざったさ」みたいなのを体現してるのも良かったです。かわいいんだけど、この子空気読めんな…みたいな、あの感じ。

 

・歌は♪生まれてはじめて♪の歌い方(声の出し方)がちょっと気になる部分がありましたが、他は特に気にならず。

 

(三平さんの声、ときどき何かに押しつぶされるような出し方をすることがあるのが気になります)

 

2幕でエルサとデュエットで歌う曲、三井エルサとの声の相性がすごく良くて、曲自体一気に好きになれました。

 

【クリストフ:神永東吾さん】

・山男としてのむさくるしさを出そうとしてるのか、髭も髪ももじゃもじゃだった神永さん。ただし、そこから漏れ出てしまう品の良いかっこよさ…(ジーザス演じた人と同じとは到底思えなかったですがw)

 

・もう少しユーモアを感じられるといいのかな…?この時点ではまだお芝居に堅さを感じました(個人感)

 

【オラフ:山田充人さん】

・オラフは女性版で小林さん、男性版で山田さんがキャスティングされていて、個人的には小林さんが演じる女性版オラフがすんごく気になってたんですが、山田オラフの方が多分映画には近いんじゃないかなと思いました(元の声が男性だから当たり前か…)

 

・とにかくめちゃくちゃかわいい…!パペットは眉毛やまぶたまで動かせるようで、ものすごく細かい表情まで作っていました。自在に動かせるまで、相当な訓練を積まないといけないんだろうなぁ。

 

・やはりおおむね映画版のイメージ通りだった山田オラフ。♪ヒュッゲ♪のときは、クリストフと後ろでわちゃわちゃしてるみたいなので、次回以降はそのへんも注目して観てみたいです。

 

【ハンス:杉浦洸さん】

・1人だけ「レミゼ始まるんか!?」というくらい、豊かで美しい歌声を響かせていた杉浦ハンス。めちゃくちゃ逸材では!?今までどこにいたんです…?(「リトルマーメイド」ではシェフ・ルイを演じていたそうですが、どう考えてもエリック王子では…?)

 

・どこからどう見ても優しくて誠実な王子様にしか見えず、映画のオチを知っているのに、「本当にあのオチになるのか…?」と思ってしまったのは、キャスティングの妙でしょうか。「このハンスは裏切らないでしょ!?」と思ってしまいましたw

 

・裏切るシーンは、尺が短いので難しそうでしたが、もう少し邪悪さを出してほしかったかな…?それまでのいい人オーラが若干抜けてなかった感じでした。

 

 

正直「すぐにおかわりしたい!」という作品ではありませんでしたが、今後ちょこちょこ観に行けたらなと思っております!