「エビータ」初観劇。
実はそこまで強く興味を持ったわけではなく、劇団四季なのでとりあえず１回くらいは…と思って自由劇場での公演を確保しました。
ちなみにミュージカルにそこまで興味のない友人が、学生時代に四季版「エビータ」を観たらしいのですが、見事に夢の世界に行ってしまい、記憶が皆無だそうです（もったいなーーい！）まぁ興味なかったらそうなっちゃうかぁ…。
ぼんやりとしたあらすじと、♪こいつはサーカス♪、♪共にいて アルゼンチーナ♪の２曲のみを知識として入れて臨みました。
そもそも上演時間２時間、１人の女性の一生を描くにはかなりスピーディーでしたが、特に難しい話でもなく非常にわかりやすかったです。そして何より劇団四季は、主に歌唱力という点で高いクオリティが保障されてるよなと思いながら観てました。
劇場もこじんまりとしてて、どの席に座ってもオペラグラスいらないくらいですし、今回の作品は背景に映像が投影されたりしてセットや演出も凝ってて、それでS席1万円以下という…なんというコストパフォーマンスの高さ…。
観劇後もそんなに作品自体にハマる感じはなかったのですが、短い上演時間の中に、エバの熱く充実した人生がぎゅっと詰まってました。「気が強くて我を通す権力者の妻の物語」ということで、ちょっと「エリザベート」に似てたりするのかな〜と思ってましたが、そんなこともなかったです。
共通点として挙げるなら、
・どちらも狂言回し的存在（チェとルキーニ）が主人公の物語を語るスタイル
・楽曲の難易度が鬼レベル（不協和音がすごい～～～）
・２人ともスイスの銀行に口座持ってた。笑
この３つくらいでしょうか。
キャラクターとして感情移入できるのは断然エバでした。野心の塊すぎて、いっそあのくらい突き抜けて信念を貫いてる方が共感できます。エリザベートは田舎出身とはいえ元からそこそこのお嬢様だったけど（親族に皇帝がいるくらいですし）、エバは貧しい上に私生児として生まれたという点でも、その後ののし上がりっぷりに気持ちよさすら感じてしまいます。
【エビータ：谷原志音さん】
・谷原エバ素晴らしすぎませんか？？？？？？？？
今まで「リトルマーメイド」のアリエル、「ジーザス・クライスト＝スーパースター」のマリア役として観てますが、どう考えてもエバ役が1番ハマってます。
実はアリエルで見たときに、もちろんものすごくかわいらしかったんですが、やや気が強すぎるオーラを醸し出してたのが気になってました。でもその勝気なオーラが、エバ役ではプラスの方向に働いてました。
・野心に燃えるギラギラとした瞳に堂々とした立ち姿、何を着てもよく似合う美しさ（プラチナブロンドのウィッグが似合うのがすごい）、そして難しい楽曲の数々を難なく歌いこなす技術。エビータとして舞台上で生きるために必要な要素を、谷原さんはすべて持っていると感じました。
・圧巻だったのは１幕ラストの♪ニューアルゼンチーナ♪
「どこまで地声で出るの！？」と、びっくりするくらいキーの高いメロディを歌い上げてて口ポカーン。身体から溢れ出る情熱と美しさで民衆の注目を集めるだけでなく、年上で地位もあるのに弱気な夫・ペロンの背中を押すかっこいい谷原エバに釘付けでした…！
・♪共にいて アルゼンチーナ♪は、観客を民衆に見立てて、語りかけるように強く、時には優しく歌い上げる谷原エバに、当時実際にエビータの声を聞いた人たちの気持ちになれた気がしました。
・エバは民衆との「絆」があると信じてたのでしょうか。それとも民衆すら、彼女にとっては栄光をつかむための「踏み台」でしかなかったんでしょうか。
政策としてめちゃくちゃなことをやっていた割には、今でもアルゼンチン国民に愛されているようですし、結局お金バラまけば後世までそれなりに愛されるのかな…とか複雑な気分にもなりました。もちろんエバは愛される人柄の持ち主でもあったと思いますが。
【チェ：芝清道さん】
・芝さんはいつ見てもあの迫力満点なパワフルボイスを聴かせてくれて、素直にすごいなぁと思います。「ジーザス・クライスト＝スーパースター」のユダは、私が観た時は結構歌がきつそうに聴こえたんですが、今回は音域も合ってるのか、歌声が響きわたっておりました。
【ペロン：佐野正幸さん】
・堂々としていればかっこよく見えるのに、なんだかいつも微妙～～に自信なさげで（笑）エバに鼓舞されて頑張る姿が可愛らしかったです。
次回再演も、谷原さんがエビータを演じるのであればぜひ観に行きたいです！
