Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2019.06.25 ミュージカル「エリザベート」:今こそ出かけよう 黄泉の国へ

 

3度目の「エリザベート」。3週連続での観劇でした。

 

座席は1階席はるか後方のほぼ最下手。前列との段差は多少ありましたが、ちょうど舞台の中心部に前の席の方の頭が来てしまい…A席だから仕方ないのですが、ややがっかりでした。

そして観劇環境としてもかなり悪い部類に入る方で、右隣にいた若い女性が観劇中なぜかずっと挙動不審。ときどき何やらブツブツつぶやくくらいならまだ許せたんですが(本当は嫌ですけどね!!??)、あろうことかいきなり上半身のみ踊りだしたりしていたので、正直トート閣下より隣のおねーさんの方が怖かったです。

 

あと左隣には中学生くらいの娘さん(京本さんのファン?)と、明らかに娘さんに無理やり連れてこられたらしいお父さんがいて、お父さんが完全に途中で飽きてたっぽかったのはちょっと面白かったです…。笑

 


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 ↑今回は京本ルドルフと涼風ゾフィーが初めましてでした。

 

 

以下キャスト別感想。

 

 

エリザベート花總まりさん】

・劇中シシィの置かれる立場が変わるたびに放つオーラも変わるのと、少女時代から年を重ねていく過程を、ちょっとした声のトーンや発声の仕方で変えていくの、神業としか思えないです。すごすぎてすごいしか言えない(語彙力)

 

・ルキーニに銃を渡されて「プレーゴ!」って合図があった瞬間に生き生きしだす、あの表情の変化もすごいなと思います。命を吹き込まれた人形のよう。

ちなみにシシィが登場したときに、死者たちがものすごく嘆き悲しむんですが、あれは「また1から同じ繰り返し」をしなくてはいけないことに嘆いているのか、それとも「シシィの死をまた目の当たりにしなくてはいけない」から嘆いているのか、その両方なのか、それともまた別に理由があるのかが気になります。

 

・♪パパみたいに♪でパパに鼻ちょんってされたときの花總シシィ、全人類が見るべき驚異のかわいさを発してました。

 

・そしてバートイシュルでの花總シシィは宇宙一可愛い(謎)

 

・♪最後のダンス♪でトートに振り回されるところ、細い腕が折れそうではらはらしてしまいます。ロングラン公演だと、Wキャストとはいえ体調の維持はもちろん体型の維持とかも大変そうだよなぁ…痩せちゃうと衣装ぶかぶかになったりしそうですし。

 

・♪皇后の務め♪でゾフィーに対して言う、♪私を妬んでる♪ってすごい言葉ですよね。その自信どっからくるんやシシィ…。

 

・フランツに助けを求める時の、花總シシィの「ううぅ〜」って声めっちゃ可愛くないですか!?私がフランツなら母上を殴(やめなさい)

 

・1幕ラストの三重唱の♪私だけに♪でフランツに向ける笑顔と、♪私が踊る時♪でトートに向ける笑顔が全く同じで。笑顔なのに内から出てくる凄みがありすぎて、黄泉の帝王でもなかなか勝てない理由が分かる笑みでした。花總さん、とても華奢でかわいらしい方なのに、1幕ラストから2幕冒頭は、帝国劇場の空気を支配するオーラを放ってました。

 

・♪陛下と共に歩んでまいります♪までフランツの方向いて歌ってるのに、そのあとの♪ただ♪で完全にフランツのことをシャットアウトする花總シシィ。怖い。強い。

 

・♪私が踊る時♪のサビでシシィが階段を降りてくる時に、圧倒的オーラ放つ花總シシィに蹴散らされるトートダンサーズが地味に好きです(突然の告白)

 

・シシィの衣装だと、ドレスもいいけど体操室の服も可愛い~~〜!!唯一のパンツルックで珍しいですし。

 

・精神病院でヴィンデッシュ嬢に言い放つ「ひざまずくのはあなたよ」の言い方は、ぱっと聞くと優しげに感じるんですが、そこに潜んでるシシィのプライドや、相手を小バカにしてる感じも出てて、やっぱり怖いです…。

 

・♪ママは僕の鏡だから♪では「目の前に息子いるの見えてる…?」ってくらい虚無の表情してました。

 

・前回と同じく、ルドルフの葬儀シーンが凄まじかったです。今度は逆にルドルフのことしか見えてないという悲しいすれ違い。そして1幕のあのおてんば少女は一体どこへ!?!?

 

・カーテンコールでふわっと広がる真っ白なドレスの裾に沈むお辞儀がとっても素敵でした!

 

 

【トート:古川雄大さん】

・突き抜けた美しさは、一種の不気味さにもなり得ることに気づかされました。

相変わらずCGキャラクターか美術品か、みたいな美しさでしたが、現実味のないビジュアルで人間らしい感情をむき出しにされると、すごく興味深いし面白いけど、そのアンバランスさに見ているこちらがついていけず、今回は何度か「気持ち悪…」(※全力の褒め言葉です)って感じました。

 

・ちょこちょこ唇に触れる仕草をしていたのが印象的でした。何かのサイン…なのかな??

 

・古川トートの♪愛と死の輪舞曲♪は、完全に「トート閣下、はじめての胸キュンに戸惑ったり喜んだり」なのが面白い。笑

ところで前々から気になっていたんですが、♪禁じられた愛のタブー♪って日本語おかしくないですか?「馬から落馬する」みたいになっちゃってるような。

 

・死を司る者として、♪返してやろう この命を♪はやっちゃいけないことだと思うのですが、帝王だからルール無視で何でもあり??

 

・ところでトート閣下を「感情を持つ一個体」として考える前提で、彼がなんでシシィに惚れたのかがいまいちよく分かっていないのですが、今までは自分が迎えに行ったらみんな喜んで自分を受け入れてくれたのに、シシィは死の淵に立ってもなお生きようとしていて(=私を帰して!と抵抗する)、他の人とは違った「生きようとする意志の強さ」みたいなものに惹かれた、という感じの認識で合ってるのかな…?

 

・「古川雄大、客席通路を歩いてくる時音もしないし存在感もなくて怖かった」

(幕間でトイレ並んだ時に前にいたお姉さん談)(通路横に座られてたようです)

 

・♪不幸の始まり♪でシシィに向かって不幸の塊投げつけてました(違)

 

・スピーカー真横の席だったため、例の高笑いをダイレクトに浴びて私の腹筋が鍛えられました(笑い堪えすぎて息止まりました)SNSで「笑い袋みたい」って表現されてる方がいて、それ見てまたしばらく笑いが止まりませんでしたw次回公演時にトート閣下の笑い袋がグッズになってたらどうしよう…ww

 

・♪最後のダンス♪にて。♪あなたーは彼をーえーらんだー♪で、こちらまで歯ぎしりが聞こえそうなくらい悔しそうに歌ってて、その溢れんばかりの嫉妬の表情が面白かったです。笑

やや音程が不安定な部分があったので、ちょっとヒヤヒヤしながら聴いてたんですが、最後の♪おーれーさーーーあ↑↑↑↑↑あ゛あ゛あ゛あ゛っ♪が最高でした!!!あのラストの歌い方、ブチ切れてて良きかな。

 

・♪最後通告♪でシシィに拒絶された時の顔が完全にこれ→( ゚д゚)なのも面白いです。笑

 

・前回めちゃくちゃすごい形相になっていた1幕ラストの♪私だけに♪、今回は心底切なげな顔で天を仰ぎ、シシィに向かって手を伸ばしてました。

 

・♪私が踊るとき♪の花總シシィとのハモリが素敵でした!ここでやっと、このお2人が前回公演では親子だったことを思い出す私(そして急にエモさを感じる)

 

・♪ママ何処なの♪はやっぱり何となく優しい印象を受けます。DVDで見た城田トートだと、何度見ても「ルドルフ逃げて!!!!」ってなるんですけど。

ルドルフから受け取った銃で、ルドルフに銃口を向けるのではなく、ピストルの持ち手を差し出すのも興味深いなと思いました。この時点ですでに「自ら命を断つ道」に誘い込んでるんでしょうか。

 

・「それがいい…」(ささやき声)

エリザベート…」(ささやき声)

「待っていたっ!!!!!!!!!!!!!!」(うるさい)

体操室のシーン、急にアドレナリン全開&元気いっぱいになる古川トート面白いなぁ…。笑

 

・京本ルドルフとの共演は、すごく良い組み合わせでした。特に♪闇が広がる♪がめっちゃ良き。古川さんの歌声の音色が高めで、京本さんは低め、でも声質が何となく似てるのでうまく溶け合って聴こえました。

 

・ルドルフに向かって言う「死にたいのか…」が、なんかちょっとだけ涙声でびっくりしました。

 

・♪悪夢♪でハプスブルク家の人たちを死に追いやる時、いちいちフランツの方見てからニヤッと微笑んで、1人ずつ死をもたらしていくのが最高に最悪でした。

 

・カーテンコールで登場する時の衣装がすっごく素敵!!腰から下がひらひらしてるロングコートで、シルエットがものすごく美しかったです。着こなせるのがすごい!

 

・今回見ていて思ったのは、歌ってる時にハの字眉毛で困り顔(?)になりがちなのも、人間らしく見える要因なのかも…と思いました。「甘いもの大好きなんです〜♡」って話してるときのハの字眉毛は最高に可愛いんですけどね…(参照:いつぞやのzip特集)

 

 

【フランツ・ヨーゼフ:平方元基さん】

・前回よりかはフランツに注目して見られた気がします。平方さんは声がはつらつとしてるので、特に1幕の演技や歌は、気品あふれる皇帝というよりかは、活発な青年!って感じでした。ものすごくハキハキしていらっしゃるので、体育会系フランツだなと。

 

・結婚式の舞踏会で、気づいたらトートダンサーを相手に踊ってるシーン、最初はシシィ相手だと思ってる表情ですが、だんだん違和感を持って怪訝な表情になっていくのが、すごく細かいなぁと思いました。

 

・2幕の晩年に向かっていくシーンでも、声を張るとちょっと若返って聞こえました。

 

・♪夜のボート♪は、今回の私の席からだと、舞台上にいる平方フランツと、セットの鏡の水面の映像に写る花總シシィが向かい合って見えて、本当にすれ違う2隻のボートのようでした。

 

 

【ルドルフ:京本大我さん】

・失礼ながら、ジャニーズであることすら知らず、チケットを取った後に「あ、これもしかしてこの回のチケット取れたの奇跡じゃない…?」と気づきました(遅)

 

・京本ルドルフが第一声を発した瞬間、「これだーーーー!!」と叫びたくなるくらい、私が勝手にイメージしてた「若さゆえの情熱と脆さを併せ持つルドルフ」にどんぴしゃでした。さすが3度目ともなると、明確に「こう演じたい」というイメージが固まってるんだろうなと感じました。

 

・♪闇が広がる♪を歌いながらの演技がとても良かったです。トートにピストルを見せられて、子供の頃の記憶が急激によみがえったような表情だったり、♪皇帝ルドルフは立ち上がる〜♪で固く決意したような目をカッと見開いた表情だったり(ちなみにところどころの表情が古川さんそっくりでした)

 

・♪闇が広がる♪の歌い終わりには、古川トートの頬に手を添えてました。なるほど、ここでルドルフからトートにアプローチ(?)という表現もあるのか、と納得しました(ところでこの動作、井上トート相手にはやらないと聞いたのですが…?)

 

・歌声が意外と太くてしっかりしてたので安定感があり、かと言って高音も無理なく出てていて、ルドルフの出演時間だけではもったいなく感じました。もっとミュージカルでのご活躍を見てみたいのですが、グループとしての活動がお忙しそうですよね…。

 

・♪マイヤーリンク♪でトートに踊らされてから曲が止まった瞬間、目を真ん丸に見開いた京本ルドルフのものすごく荒い息だけが劇場に響いていたのが印象的でした。その後ピストルを受け取ってこめかみに当てた時、ほんの一瞬笑みを見せていてゾッとしました。どういう意味の笑みだったんだろう…自分がいなくなればハプスブルク家が終わる=両親への復讐みたいな感じだったのでしょうか。

 

・ところでマイヤーリンクの例のシーンは、客席が野鳥の会状態で笑いましたwかく言う私も3度目の観劇で、\照れてる場合じゃない!/と思ってオペラグラスを使わせていただきました。大変美しゅうございました(拝)

 

・カテコで両手で手振ってたのめっちゃ可愛いかった~さすがジャニーズ(?)

 

・京本ルドルフ唯一の残念ポイントは、素晴らしい歌や演技が映像に一切残らないことですね…どうにかならないんですかね~~本当にもったいない。

 

・ところであんまりお父様には似ていない気がしたのですが、お母様似なのでしょうかね。たいそう美人なお母様なんだろうなぁ。

 

 

ゾフィー涼風真世さん】

 ゾフィー様が可愛い…だと!?!?

 

・涼風ゾフィー、まさかのキュートなゾフィー様でした。バートイシュルのシーンのドレスがとっても似合ってたのと、初孫のゾフィーを抱いてる時の割とデレデレな笑顔が個人的にツボでした。バートイシュルのシーンは、私がフランツだったら涼風ゾフィー選んでるレベルでかわいかったです(問題発言)

 

・2幕の演技はところどころコミカルさもあって面白かったです。でも2幕だけだったら香寿ゾフィーの方が好みでした。

 

 

【ルキーニ:成河さん】

・古川トートと成河ルキーニ、それぞれを定点観察する回を作りたい(無理)

 

・自分にスポットライトが当たってない時でも、ものすごく色んなお芝居をやっていて、本当に楽しそうです。バートイシュルのシーンで、「暑いなー」って上着をパタパタしたら、周りの人に「汗臭いからやめろ!!」って追い払われてて笑いましたw

 

・あとよーーく見てると「登場人物をルキーニが動かしている」お芝居があちこちにちりばめられていて、この物語はあくまでも「ルキーニが語るエリザベートの物語」なんだと改めて思いました。

 

・ちなみに某所に掲載されていた成河さんのインタビューが非常に興味深かったです。彼自身は毎回違う演技をしてるつもりは全くなく、周りの役者さんに合わせてるそう。そして井上トートは「戦車」で古川トートは「F1」と表現されていたのが、めっちゃ分かりやすかったです。