Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2018.12.18 音楽劇「道」:天使の羽を生やした推し(拝)

 

フェデリコ・フェリーニ監督代表作(?)の映画「道」。

傑作だと聞き、映画好きとして一度は見なくては…と思いつつ結局未見です。

 

今回はその映画を音楽劇で…ということで、あらすじはぼんやりと頭に入れてから観劇しました。あまりうまく感想がまとまらず、一度で消化できる作品ではなかったなぁ…というのが正直なところです。だからと言って何度もリピートしたいかと言われると…。ただし海宝さんのイル・マットは何度でも見たいです!笑

 


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ストーリーは全くもって難解ではないため、話の意味が理解できないということはありませんでしたが、淡々と進む感じがちょっと退屈ではありました。そういう意味では、途中参入してきて話をあっちこっちかき回すイル・マットというキャラクターは、結構美味しい役どころなのではと感じました。

 

ちなみに私の隣の席の女性と、前に座っていた女性は、ともに途中から爆睡しておりました。もったいない…!!

 

あまり内容についてはどうこう言えないため、役者さんについての簡単な感想をメモしておきます。

 

 

【ザンパノ:草彅剛さん】

・母の影響で、幼少期からSMAPを見て育ったため、あのスーパースターの生演技を見られるなんて…!とひそかに楽しみにしていました。ちなみに草彅さんが出演されていたドラマだと、「恋に落ちたら~僕の成功の秘密」が好きです。ちょっとマイナーかな…。鈴木島男、今でもよく覚えています。笑

 

・ザンパノは、てっきり「任侠ヘルパー」的な役作りで来ると思ってたので、第一声を聞いて「誰!?!?!?」ってなりました。わざと声を潰したんでしょうか…。聞いたことのないような声色で、めちゃめちゃびっくりしました。ただ劇中「あ、草彅さんだ~」って分かる声もあったので、逆に安心しました(?)

 

・ザンパノは本っっ当にどーーーーーしようもない奴なんですが、どんなにひどいことをされても結局ついていってしまうジェルソミーナの気持ちが、分かるような、分からないような。2人は恋人関係だったわけではないけど、傍から見たら、DV夫となぜかその夫に尽くしてる嫁、という印象でした。イル・マットだって、何度ブチ切れられてもザンパノに構っちゃうし…(それゆえ最後は…でしたが)これは草彅さんが演じてるがゆえのような気がしました。ご本人の生来の優しさがにじみ出るというか。どんなに非情な振る舞いをしてても、どこか人間らしいあたたかみを感じるのは、草彅さんだからこそな気がしました。

 

・ジェルソミーナに道化の化粧を施すシーンと、ジェルソミーナを見捨てる時にブランケットとトランペットを無造作に置いていくシーンが好き。

 

 

【ジェルソミーナ:蒔田彩珠さん】

・お名前「あじゅ」って読むんですね。パンフレットのプロフィール欄に、舞台初挑戦の16歳(2002年生まれ)と書いてあって震えあがりました…。名前も見た目も現代っ子ですなぁ。

 

・当たり前かもしれませんが、おそらくあの舞台上で彼女だけが、すべてにおける経験値が浅く、冒頭からしばらくは棒読み感が気になったり、あまり感情が見えなかったり、いい印象があまりありませんでした。が、物語が進むにつれて、たった100分の中で成長しているように感じました。もしかして彼女のお芝居上の計算なのでしょうか…(そしたらいい意味で恐ろしい…)

 

・好き嫌いが分かれそうなお芝居ではあったものの、物語の中では周りのキャラが濃すぎる分、彼女のピュアさ・異質さが浮き彫りになっていました。

 

・カーテンコールで出演者が横一列に並んで一斉にお辞儀するとき、お辞儀した後に1人だけもう1回ペコって小さく会釈するみたいなお辞儀をしちゃう姿がめちゃくちゃ可愛かったです!

 

モリール:佐藤流司さん】

・年齢不詳。おそらく私よりは年下だろうなとは思いましたが、見た目から全く想定がつきませんでした。非常に若くも見えるし、落ち着いて年上にも見える、不思議な俳優さん。普段はいわゆる2.5次元ミュージカルに出ているそうですが、劇場全体によく響くとても素敵な声をしていたので、グランドミュージカルでもお芝居や歌を見てみたいです。

 

ティム・バートンのキャラみたいなメイクと衣装が似合ってるのも、ある意味才能ですよね…。2.5次元作品のメイクや衣装ってもっとド派手だから、この程度であればなんてことないのかもしれませんが。

 

モリールは映画には出てこない舞台オリジナルキャラだったようで、実は1番役作りが大変だったのではないかなと思います。参考になるものが何もないため、自分でゼロから作り出す必要があったそう。1回しか見てないからよく分かってないんですが、モリールは多分あの世から来た何かなんだろうな…(ざっくりすぎる解釈)

 

【イル・マット:海宝直人さん】

・あれだけの歌唱力があってほとんど歌わないのはもったいない!という声が多数だったそうですが、個人的には海宝さんのお芝居をじっくり見られたのと、今までにあまり演じたことのなさそうなキャラクターだったので、歌わなくても十分楽しめました。

 

・イル・マットはイラッと可愛いキャラでした。個人的にはアラジンやボブ・ゴーディオに近いものを感じました。本人に悪意は無いと思うんですが、とにかく人の神経に触るような行動だったり言葉だったりをにっこにこしながら言うのが非常に上手(*褒めてます!!)そして表情筋を200%駆使していました。笑

 

・でも笑ってるのにめちゃめちゃに闇深そうなのがちょっと怖かったり。イル・マットはジプシーの息子として生まれたらしいので(カジモド!?)、これまで迫害や差別をたくさん受けてきたんだろうなぁ…それに対して彼は怒るのではなく、ヘラヘラ笑って対処してきたんだろうなぁと、悲しくも感じました。

 

・ジェルソミーナに「自分が生きる意味」を教えるシーンがすごく素敵で、劇中のハイライトシーンの1つでもありました。「自分なんていなくていいのでは?」と問うジェルソミーナに対して、「君の存在意義が無いのなら、この世の中の人間はみんな存在意義なんて無いよ」(うろ覚え)って励ます場面。このときだけイル・マットはおちゃらけず、まっすぐジェルソミーナに話してました。本来の彼はこっちなんじゃないかなぁ。

 

・天使の羽を背負って綱渡りしながら登場したり、客席降りしてポップコーン食べながらザンパノの芸にヤジを入れたり(2階席からは姿がまったく見えなかったけど)、キューピッドになってきゃっきゃしてたり。はっちゃけててかわいらしくて憎めないキャラクターでした。もっとこういう変な役やってほしい~~!笑