Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.8.11 ミュージカル「王家の紋章」ソワレ公演:平方イズミル強し

 

2022年になりましたが、引き続き2021年の観劇レポをアップしていきます(遅筆)

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王家の紋章」2回目。

 

初見でちょっとあまりにもアレだったので(婉曲表現)、「なんで4公演もチケット取っちゃったんだろう…」と思いつつ、やや重い足取りで帝劇に向かいました。

 

ただ初見で「この作品はこういうもの」とわかってからの2回目でしたし、失礼ながら若干の諦念を持って観たところ、自分なりに「ここなら楽しめるかな…」みたいなポイントを見つけられたかと思います。まぁ全然面白くはないんですけど(暴言)

 

初日はやや堅く感じた海宝さんと朝夏さんの、キャラクターとしてデフォルメしたお芝居が馴染み始めてて、少し観やすく感じました。

 

そしてこの回をそれなりに楽しめたのは、圧倒的にイズミル王子役の平方さんのおかげ。キャスト別感想で後述しますが、さすが初演から出ているだけあって、キャラクターの立たせ方がすごく上手でした。

 

初回では全然残らないな~と少し不満に思えた楽曲も、アイシス様の♪想い儚き♪は、メロディーラインが美しく、イズミル王子のソロ曲はどれもかっこいいですし、キャロルがテーベの街を訪れるシーンの曲は、ティーンのアイドルが歌う曲のようで印象的でした。ただし肝心のメンフィスのソロ曲は、全然印象に残らなかったな…。

 

終わり方だけ本当にどうにかならんのか…!?と思ってしまいます。

 

(以下ネタバレ)

メンフィスを守ろうとしたキャロルがイズミルに背中を斬られてしまうのですが、そのことに動揺した(???)イズミルが、戦うことを信じられないくらいあっさり諦め、「いつかナイルの女神(=キャロル)をわが手に…!」みたいな捨て台詞吐くだけで去っていくのはなんで…………?????

 

さらに、背中をぶった切られたキャロルが、特になんの手当も受けてないのにメンフィスの腕に抱かれてしっかり目覚めてピンピンしてますし、幸せそうなメンフィスとキャロルを怨念100%で見つめながら、ただ♪あ~あ~♪歌ってるだけのアイシス様よ…。

 

原作が今でも続いてるため、すっぱりキレイに終われないのかもしれませんが、だとしたらミュージカル化するのはきちんと物語が完結したマンガにすべきなのでは…。

 


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以下、キャスト別感想。

 

【メンフィス:海宝直人さん】

・初日は本当に堅い雰囲気をまとっており、「ちょっと先が思いやられるな」くらいには(勝手に)心配してたんですが、少し殻を破れていたような?

 

・品があり、ただただ残虐なだけの王様、というわけではないんですが、「子供がアリを捕まえて、無邪気にきゃっきゃ喜んでいたら、力加減を間違えてぐしゃってつぶしちゃう」みたいな、未熟さゆえの残酷さを感じました。初日のお芝居だと「優しいオーラを放ちつつなんでもない顔して酷なことをやっちゃう」という、サイコパスみたいな方針のお芝居で行くのかなと思ってたので、少し方向転換したように感じました(*完全なる個人感)

 

・いわゆる「胸キュン」ポイントとなる仕草やセリフは、「それ」っぽくなってました。顎クイとかバックハグの強引さとか。笑

 

・歌も、楽曲によってはちょっとがなるような歌い方をしてて、確かにリーヴァイさんの楽曲ってロックっぽいものが多いですし、海宝さんはロックバンドのボーカルも担当されてるので、そちらの歌い方も使えるよな~と、自分の武器を駆使するのはさすがだと思いました。

 

・殺陣はすごくいっぱいいっぱいで頑張ってる様子がうかがえました。美しく力強い殺陣を駆使する平方イズミルに負けそうだったので、心の中でひっそりと応援しておりました。笑

 

【キャロル:木下晴香ちゃん】

・木下キャロルも、初日よりはきゃぴきゃぴるんるん♪モードが強かったので、よりマンガのキャラクターっぽくなってたと思います。とにかく終始かわいいので、古代エジプトから令和ジャパンにタイムワープしてほしい(謎)

 

・戸惑うときや困ったときのお芝居で、やや同じ仕草が多いのが、前回も今回も気になったかも。「困ったときはこう!」みたいなテンプレートができてる印象でした。

 

・歌は言うことないです!!!!!!!!!!!!(断言)海宝さんとデュエットしても負けてない声量、素晴らしい…!この2人がそろってるのに「アナスタシア」再演しないの絶対おかしいと思います(断言)

 

イズミル平方元基さん】

・2019年「エリザベート」ぶりの平方さん。実はフランツ役で拝見した時は、正直あんまりピンとくる役者さんではなかったのですが、平方イズミルめちゃくちゃかっこよくて、出てくるたびにオペラグラスで追っかけてしまいました。白状すると、海宝メンフィスそっちのけで見てました(浮気)

 

イズミルは「気持ちがわからんのよ!!!!!!!」って思ってしまうキャラクターなんですが(なんでキャロルを好きになる??????????)、そんなことが二の次になるくらい、平方イズミルは魅力的。真っ白な衣装に彫を深く見せるメイクがとんでもなくお似合いでした。

 

・説明が難しいのですが、マンガキャラとしてのある種のぶっ飛び感というか、「私が王子だぞ(ドヤァ)」感を出すのがすごく上手くて、全く現実味のないキャラなのにすんなりと受け入れられました。

 

・平方イズミルは、なんとな~~くぼんやりしてるこの演目の要所要所を、登場するだけでしっかり締めてくれてました。彼がいるのといないのでは、演目に対する印象も相当変わりそうです。上から目線な感想になりますが、良い仕事をされる役者さんだなと思いました。

 

(そしてWキャストが大貫さんなのは、大貫さんの分が悪すぎるのでは…とも思いました)

 

アイシス朝夏まなとさん】

・朝夏アイシスは、メンフィスへのドロドロとした感情が増してて、あの美しい容姿とのギャップが良きでした。背が高くてスタイルが良いので、何もしゃべらずとも、マントを翻して歩くだけで様になるのはめちゃくちゃ強いです。

 

・歌唱は悪くはないと思うのですが、オケに埋もれて歌詞が聴き取れないことが多く、少しもったいない気がしました。

 

【ライアン:植原卓也さん】

きゃろーーーーーーーーーる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

・あまりにも不憫すぎるライアン兄さん。1幕中盤からは、登場するだけで笑えてくるライアン兄さん。初演では伊礼さんが演じていたらしいライアン兄さん(もったいなさすぎる)

 

・植原ライアン兄さんはビジュアル完璧でした。スタイルが二次元。

 

【ミタムン:綺咲愛里さん】

・王女様…というより、かわいらしいギャルのような風情の綺咲ミタムン。1幕中盤でアイシスに焼き殺され、その後はときどき思い出したかのように亡霊として出てくるという、なんとも微妙な役回りでした。ビジュアルがかわいらしいのに、亡霊メイクで出てくる時間の方が圧倒的に長かったような……。