Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.03.28 ミュージカル「アリージャンス」:家族だからって、わかりあえるわけじゃない

「アリージャンス」の東京公演千穐楽を見届けました。

 

正直そこまで気に入った作品ではなかったものの、「観られて良かったなぁ」と思える作品ではありました。あまりハマらなかったのは、2回とも3階席で観たからかもしれないです。

 

(今年は観劇に費やす金額を少しでも減らしたくて、よほど「観たい!」って熱意がない限り、S席はなるべく取らないようにしてます…)

 

カーテンコールで海宝さんも話してたけど、とりあえず東京公演は、1人も欠けることなく最後まで無事に完走できたので、本当に良かったです。この後、渡辺徹さんがご病気で離脱してしまいましたが…。

 
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*カーテンコール撮影OKでした。スマホ撮影、かつ3階席からなのでなんともぼんやりとした画質です。

 

3階席から観たからあまり感情移入できなかった…とはいえ、前回よりも今回は「言葉」がしっかりとこちら(客席)に届いてる印象はありました。それぞれの人物の信念や想いを、明確に感じ取ることができた気がします。物語が把握できている2回目の観劇だから、ということもあるとは思いますが。

 

私はサミーに1番共感したかなぁ…。「弟がいる長女」という意味では、私自身の境遇はケイに近いんですけど、あんなに面倒見が良い姉ではないので。笑

 

カイトおじいちゃんはケイに「もっと自分のことを心配しなさい」と言っていたけれど、同じ言葉をサミーにも言ってあげてほしかったです。サミーは「男らしく」「家族のために」と、常に何かに縛られているような感じで、戦争がもし無かったら、彼はいったいどう生きたかったのか、とても気になりました。ロースクールの試験を受けたのもパパに言われたからで、パパにとっての「理想の息子」になるのは、本当に彼の願望だったんでしょうか…。

 

 

以下、簡単なキャスト別感想。

 

【ケイ:濱田めぐみさん】

・ケイのソロ曲である♪もっと高く♪が本当に圧巻で、いい意味で開いた口が塞がらなかったです。技術的な歌のうまさではなく、劇中でその歌を、その場面で歌う意義や、歌詞に込められた言葉の意味までしっかり客席に届ける歌い方、曲が始まってから終わるまでのケイの感情の動き。あれが「ミュージカルにおける正しい歌の歌い方」なんだなと思いました。曲終わりの拍手が信じられないくらい大きかったのも、すごく印象的でした。

 

・でも濱めぐさんは「イリュージョニスト」のジーガのほうが私は好きだな~~。すごくハマり役だと思うんですよね…。

 

【サミー:海宝直人さん】

・これまで観てきた海宝さんの役柄の中で、サミーがすごく印象に残るか、と言われると、そうでもなかったのが正直なところです。歌はもう何の不安もないくらいハイレベルで、セリフも一言ずつしっかり伝わってくるし、感情も伝わってきました。でももう海宝さんは「それが当たり前」になってる部分もあるので、これまで全く演じた経験がなさそうなキャラクターを担当する「王家の紋章」が、今は俄然楽しみになってきました。最初は「えぇ…」って思ってたけど、海宝さんのキャリアの中でも結構ターニングポイントになる役柄になりそうな気がしております。

 

タツオ:渡辺徹さん】

・ミュージカル初挑戦だったらしいので仕方ないですが、歌詞がやや聞き取りづらかったです。ただしお芝居はものすごく良かった…。頑固で意地っ張りだけど、一番家族想いなのが伝わってきました。

 

【カイト/オールド・サミー:上條恒彦さん】

・カイトおじいちゃん、キャラが良すぎる~~~!私にもあんなおじいちゃんがいたらなぁ。千穐楽だからか、1人だけアドリブをはちゃめちゃに楽しんでてほっこりしました。笑

 

・カーテンコールでは、1回目に登場した時は、アンサンブルの女性2人に挟まれ「両手に花」状態で出てきましたが、2回目に登場した時は、アンサンブルの男性2人に両腕を組まれて「とらわれた宇宙人」みたいになってましたw

 

【フランキー・スズキ:中河内雅貴さん】

・「ジャージー・ボーイズ」ぶりだった中河内さん。相変わらずかっこよかったです!フランキーは結構おいしい役どころな気がしました。フランキーがケイに対して言う「誰かの母親や、娘や、孫にならなくていい」ってセリフが、劇中1番好きなセリフでした。

 

【ハナ・キャンベル:小南満佑子さん】

・「レ・ミゼラブル」でも観たことがなかったため、今回初めて拝見しましたが、やや歌の調子が悪かったのかな…?朝ドラのときの方が上手に聴こえました。一生懸命サミーに恋しないように虚勢張ってる姿がなんともキュート!

 

【マイク・マサオカ:今井朋彦さん】

アメリカ政府と日系アメリカ人たちの間に板挟み状態なマイク・マサオカさん。双方にとって良い方向に、かつ波風立てずに穏便に済ませようと、ものすごく奔走した方だったんでしょうね…。戦時中は一部の日系アメリカ人たちから恨まれてたみたいだけど、自らも弟を戦地で失ってたし、もっと報われても良いのではと思いました。

(今井さんのお芝居の感想というより、キャラクター自体の感想になっちゃいました)

 

これは再演あるんですかね…?なかなか重たいテーマなのでどうしても敬遠されがちな気がしますが、歴史を知るという意味で一度は観た方が良い作品ではないかと思いました。