推し役者さんの木村達成さんが出演されているからという理由のみで観劇を決めた「管理人」。
達成さんはミュージカルのみならず、朗読劇やストレートプレイなど、さまざまな演目に出てくれるので、私が知らない世界にも目を向けられてありがたいです。お仕事に偏りがないんですよね。色んなジャンルに出るってことは、それだけご本人は大変そうですが、応援しがいのある役者さんだなと思います。
今作はたった3人で進められる100分間の「不条理劇」。ハロルド・ピンターというイギリスの劇作家が書いた作品で、これまで日本でも何度か上演されてるそうです。
そもそも「不条理劇」が何かということもよくわからず観たので(勝手な想像で「世にも奇妙な物語」的なアレかと思ったけど違ったw)、正直終演後は「???」で頭の中がいっぱいになりました(無知)
仕事仲間との喧嘩が原因で職を失い、寝泊まりする場所のなくなった老人・デーヴィス。彼を助けて家まで連れて帰る青年・アストン。そしてアストンの弟・ミック。舞台はアストンが住むアパートの一室のみでセット転換は無し。最初から最後まですごく閉鎖的な空間でのお芝居でした。
特に劇的に大きななにかが起こる物語ではなく、アストンとデーヴィス、ミックとデーヴィスで主に会話をして、前半は話が進んでるんだか進んでないだかよくわからない感じでした。正直中盤から終盤にかけてはちょっと眠気が…。
後半でアストンのある秘密が明かされてからは、ミックとアストンが実は強い兄弟愛で結ばれてることがなんとなくわかり、アストンのことを悪く言ってしまった老人・デーヴィスは、最終的にあの兄弟に見放されるんだろうな…という終わり方でした。
印象的だったのは、それまで絶対に「開けたら必ず閉じられていた扉」が、最後にミックが出ていくときは扉を開けたまま退場していたこと。ミックが意味ありげにアストンに視線を向け、アストンもしっかりその視線を受け取っていて、デーヴィスだけが何も知らず、「自分をここに置いておいてほしい、管理人でも何でもやるから」と、アストンに頼み込んでる光景…で終演でした。ずっとループしているかのような状況が、あそこで初めて兄弟が出口を見つけたんだろうなと感じました。
この受け取り方が正しいのかわからないですが、3人とも「今自分が置かれている環境から抜け出したいと思っている(らしい)のに、いざとなると何らかの言い訳を付けて行動しようとしない人たち」だなと思いました。そういう意味では私もそういう人間なので(自分にとって心地よい場所から抜け出そうとしない人間)、変な部分で共感しました。笑
達成さんは「血の婚礼」に引き続き、ひげをたくわえたワイルドなビジュアル。髪は少し短めになってましたが、個人的にあのビジュアルは結構好みでした。達成さんは良い歳の取り方をしそうですよね…。
2列目のセンター席だったので、肉眼であの長ーーいまつ毛までしっかり見えました。まつ毛の長さに気を取られていくつかセリフ聞き逃した気しかしない(こら)
あとはよどみなく話す長台詞にびっくり。どうやって覚えてるんだろうと不思議になりますが、役者さんはそれが「仕事」なので覚えられるんだろうなぁ(小並感)