Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2022.8.20 ミュージカル「ミス・サイゴン」ソワレ公演:母は強くあらねば

ミス・サイゴン」4回目&My楽公演。


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なんとこの回が(後からわかったことですが)屋比久キム&海宝クリスの帝劇楽でもありました。

 

というのも、8月22日に関係者がコ◯ナ罹患のため24日まで休演。25日から再開したものの、屋比久さん・海宝さん・20日からすでに休演してた神田さんは、当面の間休演という事態に…。

 

というわけで、私の手持ちチケットは、My初日もMy楽も、ギリッギリ中止をすり抜けた奇跡のチケットになりました。この状況で1公演も中止にならずに観られたのは、本当にラッキーだと思います。

 

今回はじめましてだったのは、屋比久キム・仙名エレン・則松ジジ。キム全員制覇できて良かった…!

 

そして唯一のS席回。1階席でかなり斜めから観る感じの席でしたが、オペラグラスが無くても表情がわかったのと、通路側だったので視界が良すぎました。

 

4回観ましたが、結局最後までハマりませんでした。いい作品だなとは思うんですけど…。楽曲はかなり耳に残ったので、日常生活のふとしたときに脳内BGMとして流れてくるようにはなりました。笑

 

次回再演時は、気になる役者さんが出ていたら観に行こうかなぁ。とはいえ、この作品はしょっちゅう再演する感じではなさそうなので、次観られるのはいつになることやら…。

 

以下、キャスト別感想です。

 

【キム:屋比久知奈さん】

・…ビジュアルがリアルすぎて「演劇」じゃなくて「ドキュメンタリー」になってしまう…(一幕後の私の感想)

 

もちろん歌や芝居で選ばれてるとは思いますが、屋比久キムはあまりにも「ベトナムの戦火で生きる少女」そのものでした。ビジュアルの説得力がすごすぎる。そして3人のキムの中では全編にわたって1番あどけなさを感じました。

 

・誰にも愛を伝えたことのなさそうな「好きよクリス」が痛々しすぎて、クリスが思わず「そういうのやめろよ」と言ってしまうのも納得の幼さ。エンジニアに拾われたものの、家族を失くしたばかりで状況が何も飲み込めてないまま、ドリームランドで働いてるんだな…というのがひと目でわかりました。

 

・屋比久キムは♪サンアンドムーン♪も♪世界が終わる夜のように♪も、とにかくずっと泣いてる印象で、海宝クリスも情熱的なキスではなく、怯えてる子供をあやすようなやや控えめなキスだったのが印象的です。

 

屋比久キムは庇護欲を掻き立てるような女の子だったので、戦争で何も得るものがなかったクリスが「この子を助けたい!」と使命感に駆られる気持ちになるのが、初めて腑に落ちたかもしれません。

 

・タムを産んでも「母」になりきれてなかったような屋比久キム。クリスは自分への愛があるから帰ってくる!と信じているよりは、クリスは私のヒーローだから、私が困ってたら絶対に助けに来てくれるんだ!というベクトルで信じてそうでした。

 

・タムの前では決して涙を見せまいとするいじらしさよ…。涙する回数は他のキムより多めだった気がしますが、タムが出てくる前に自分の両手でごしごし顔を拭って、なんとか「強い母」であろうとする健気さがありました。

 

・歌唱も良かったですが、それ以上にお芝居の方が印象に残るキムでした。年齢的に次の再演でもまだキムできるよな…って調べたら、あれ!?もう28歳!?!?(驚愕)

 

・カーテンコールで、隣の駒田さんに片手を持たれてぶんぶん振られてて、その後笑いながら肩を組んでたので、なんだろう?仲いいのかな?って思ったら、駒田さんは屋比久さんが上京してきたときから「お父さん」のように慕ってる同じ事務所の先輩だそう。そしてこの回が、初めての駒田エンジニア&屋比久キムの組み合わせだったようです。素敵すぎる…!

 

【エンジニア:駒田一さん】

・駒田エンジニアだと、あまり力んだ感じがないので、エンジニアの場面でひと息つける印象でした。ベテランの安定感よ…。

 

【クリス:海宝直人さん】

・回を重ねるごとに荒々しくなっていった海宝クリスですが、2幕終盤でエレンに過去のトラウマを吐露するシーンは、初日の芝居が1番好きでした。そういうお芝居を初めて観たから、衝撃が強かったっていうのもあるかもしれませんが…。この回は海宝さんにしては珍しく、何を言ってるのか(=歌ってるのか)歌詞が聞き取れない…?ってくらい荒ぶってました。

 

【トゥイ:西川大貴さん】

・結局4回とも西川トゥイでしたが、彼は名バイプレーヤーですね。正直主役キャラを演じる華はあまり感じられないけど、とにかく歌も芝居もとんでもなく上手くて、また別のミュージカルでも是非観てみたい役者さんになりました。

 

【エレン:仙名彩世さん】

・仙名エレンは♪Maybe♪前後の心の移り変わりがはっきりわかったのが印象的でした。キムには物腰やわらかく接してるけれど、どこか「自分の立場が上であること」を明確にしようとする態度が見え隠れしていました。そのうえで「例えクリスがキムを選んだとしても、私のクリスへの愛は変わらない。身を引いたとしても支え続けたい」と、人として強くなろうとする姿勢を感じた。

 

【タム:前田桜来ちゃん】

・前田タムは上原タム・藤元タムに比べてさらにこじんまりしたタムで、屋比久キムのサイズ感にぴったりでした。ちなみに屋比久キムだと藤元タムは結構大きい気がするんだけどどうだったんだろう…。

 

常にどことなく微笑んでるような顔立ちで、エンジニアを見ては「このおじさんだれだろう〜」、トゥイやジョンを見ては「このおにいさんだれだろう〜」って顔をしててかわいかったです。笑

 

カーテンコールでは、駒田さんに呼ばれて一人でお辞儀をするときに、両手を限りなく高く上げてばんざいポーズをしながら、そのまま地面に頭がつきそうな盛大なお辞儀をしてくれて、劇場中がほっこりした空気と笑いでいっぱいになってました。

 

その後、隣にキムとクリスがいるパターンのカーテンコールでも、同じ勢いでお辞儀していたので、屋比久さんは桜来ちゃんと同じくらい頭を低くして、お辞儀しながら桜来ちゃんのお顔を覗き込んだり、海宝さんは桜来ちゃんのお辞儀の勢いに思わず吹き出してたりと、すっごく平和なカテコでした。