2度目の「next to normal」。
※ネタバレありの感想です!
Nチームは今回初めてこの作品に参加した方々で組まれてましたが、正直私はこちらのチームの方が好みでした。Aチームは個々の色が際立っている印象でしたが、Nチームは「家族」のまとまりを感じられたことで、余計悲しさが増して、感情に訴えかけてくるものの大きさを感じました。
最後が「ハッピーエンド」だとはっきり感じられたのも、Aチームとは違ってたような…。ただ判断が難しいのは、今回あらかじめAチームを観て話の流れを知っていたから、より飲み込みやすかったのかなとも思っています。私がNチームを先に観てたらどう思ったのか、気になるところではあります。
以下、キャスト別感想です。
【ダイアナ:望海風斗さん】
・2021年に宝塚を退団され、ものすごく人気がある役者さんとは知っていましたが、なにせ私は宝塚にまるで興味がない人間のため、名前と顔くらいしか存じ上げませんでした。
歌唱力が抜群だと聞いてましたが、私は望海さんの芝居に泣かされました。終盤、ゲイブの存在を思い出したダイアナが、ダンと口論になり家を飛び出して、再びドクターの元に行くんですが、そこで泣き崩れる姿を見て、彼女が「悲しみ」と戦ってきた辛さがダイレクトに伝わってきて、気づいたら一緒になって泣いてました。
・もちろん歌のクオリティもめちゃくちゃ高く、パワフルさで言ったら安蘭ダイアナに軍配が上がりそうかなと思いましたが、感情を乗せて歌う&誰とハモっても美しい響きだなと感じたのは望海ダイアナでした。
・カテコではとってもかわいらしくて、ファンが多いのも納得の役者さんでした。もし自分が観たいと思った作品に彼女が出てたら嬉しいですし、Wキャストにいらっしゃったら絶対に望海さんを選ぼうと思いました(チケットが取れるかどうかは別として)
【ゲイブ:甲斐翔真さん】
・飛ぶ鳥を落とす勢いで空恐ろしくなる役者さん。この若さでいつだって安定感があるのが本当にすごいです。得体の知れないオーラをまとった海宝ゲイブとは違い、ダイアナにとって息子でもあり恋人・ヒーロー・プリンスでもある、ダイアナの望みどおりに顔を変えるゲイブでした。
あまり気味悪さを感じないぶん、ゲイブが亡くなっているという意識を忘れさせるようなオーラを感じて、それが逆に「家族に見えていない悲しさ」を際立たせていたように思います(説明が難しい)
・ゲイブ最大の見せ場である♪I’m Alive♪も見事に歌い上げており、個人的にはやっぱりもう少しわかりやすい感情表現だと良いかなとは思いますが、まだミュージカルに出始めてやっと3年目ですし…。(「レ・ミゼラブル」のアンジョルラスとかやったら変わりそうな気がするんだけどなー!)
本当に本当に、今後が楽しみすぎる役者さんです。私の中では「エリザベート」202X年公演で、木下晴香ちゃんがシシィを演じて、甲斐さんがトート閣下になったら最高です!!!!!!!!!!!(勝手な願望)
【ダン:渡辺大輔さん】
・舞台で拝見したことがある気でいたんですが、「ロミオ&ジュリエット」のDVDで見ただけだったので、今回初めて生の歌声やお芝居を観ることができました。歌唱力があり、歌詞も聴き取りやすく、お芝居の説得力もあり、想像以上に素晴らしい役者さんでした。ジャンル問わずさまざまな作品に出てる印象ですが、これだけバランス良くなんでもできる役者さんなら、引っ張りだこになるはずですね。
・渡辺ダンはダイアナのことをすごく愛していて、優しさが内からにじみ出ていて、ダイアナのことを守るためなら何でもする!と常に意気込んでいるような愛情深さを感じるんですが、その愛で自分の首も絞めているように見えて、観ていてすごくしんどかったです。
・ゲイブのことを思い出すダイアナを見て「やめろ…」と言ったときの表情、岡田ダンだと「またあの生活に逆戻りするのか」という絶望を感じたんですが、渡辺ダンは「またダイアナが壊れてしまう」という恐怖を感じました。
・あくまでも主軸がダイアナにあるため、彼女が出て行ってしまったあとの抜け殻になった姿が何とも悲しかったです。でもゲイブの姿を【見て】、ナタリーときちんと話して、ダンもやっと18年前の悲しみと18年分の娘との時間に向き合えるようになったんだとわかるラストだったので、全員が一歩前に踏み出せた=ハッピーエンドでは?と思えました。
【ナタリー:屋比久知奈さん】
・「レ・ミゼラブル」2021年は屋比久エポニーヌが観られなかったので、拝見するのは恐らく「NINE」以来でした。Aチームの昆ナタリーはふてくされてる印象でしたが、屋比久ナタリーは強がりながらいつも何かにびくびくしている印象でした。
自分が打ち込めることに集中していても、いつもどこかでダイアナのことを考えていて、ダイアナが悪い方向にいくと自分も引きずられてしまうのでは…という不安を常に抱える女の子。だから最後、ヘンリーの前で「自分もいつか狂うかもしれない」とその不安を吐露するシーンで、やっと気持ちを吐き出せたんだなぁと思えて、しかもその不安をヘンリーがしっかり受け止めてくれて、どれだけナタリーは安心しただろう…って思うと、ここでもちょっと泣けました。
【ヘンリー:大久保祥太郎さん】
・2021年の「ロミオ&ジュリエット」で拝見してましたが、今回の役の方が断然良かったです。Aチームの橋本ヘンリーはちょっとノリが軽い感じなのと、正直歌唱力がちょっとな~~~~という感じだったので、どこか抜けてる感じでも、ナタリーのことを一生懸命理解しようとして、いつでも手を広げて待っててくれそうな大久保ヘンリーは、個人的に好きなキャラでした。
【ドクター・マッデン:藤田玲さん】
・端正な顔立ちなので、診察のシーンは「ロックスター」とのギャップが余計おかしなことになっていたような…。笑
ただAチームの新納ドクターの印象があまりにも強すぎて、比較するとやや存在感が薄めだったかも…。でもNチームのドクターとしては、かなりバランス良かったとも思いました。Nチームに新納ドクターが入ったら、なんか色々崩壊しそう(真顔)
Nチームが創る「next to normal」、もう一回観たかったよ~と思えるくらい、本当に素晴らしかったです!