Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2020.09.12 ミュージカル「フラッシュダンス」初日公演:She's so MANIAC!


f:id:der_letzte_tanz:20210407004952j:image

 

*辛口な感想になっております。盛大にネタバレもしております。

 

往年の大ヒット映画をミュージカル化した作品。映画は未見です。

劇中に出てくる曲は、いくつか聴き覚えがありました。

 

以下、初見のざっくりとした感想✍

 

当たり前ですが、タイトル通り、とにかく「ダンス!ダンス!!ダンス!!!」な演目でした。素晴らしき肉体美・曲線美を持つ出演者の方々の、圧巻のダンスを堪能する作品。そして残念ながら、個人的にはそこ止まりの演目でもありました。

 

物語を楽しむよりもショーの要素が強く、特に冒頭、出演者総出で歌われるナンバーは、どことなくディズニーランドでやるショーのような雰囲気を感じました。

 

全体的には…うーん、でした。正直言って結構微妙…。実は客席を50%の入りにするために、一度払い戻したのですが、そのときは3公演分取っており、再販で2公演分だけ確保しました。でもそれで良かった…と思ってしまったくらい。観劇前からそこまで高い期待はしていなかったんですが、観てみたら完全に役者さんのビジュアルとダンス頼みの作品でした。

 

映画版がそうなのかもしれませんが、1番問題だなと思ったのは、登場人物の心の切り替わりがわかりづらかったこと。2幕後半で、恩師であるハンナが亡くなったことがアレックスの心に火をつけるんですが、どうもそれまでの流れの中で、アレックスに感情移入がしづらかったです。

 

自分の人生を左右するようなオーディションを受けるのに、彼女がオーディションのために準備してるシーンがほとんど無くて、バイトで踊ってるか、ニックといちゃいちゃしてるか、ハンナに悩みを相談してるか、でした。確かに練習風景見せられても…とは思いますが、少なくともオーディションでどんな踊りを披露するか、練習しながら悩むみたいなシーンくらいあっても良いのでは?

 

一方アレックスの恋人になるニックは、廣瀬さんが非常にうまく演じてたため、観てる間はあまり違和感なかったんですが、冷静に考えたら結構あれれ…なキャラクターだったような…。

 

セリフで使われる言葉やその意図にも微妙な違和感を抱きました。特に、ジミーの煮え切らない態度にイライラしてるグロリアに向かって、ジミーが「おいおいピルでも飲んでるのか!?」と言い放った時の時代錯誤感よ…。80年代が舞台だから仕方ないのかもしれないですけど…。

 

あと「わお!」とか「へーい!」とか、アメリカが舞台なのでこちらも仕方ないにせよ、かなり変な感じでした。

 

ラストは、アレックスがオーディションに無事合格するんですが、例えば有名な歌手のバックダンサーに受かった!とかで、プロとして働けるようになったならもっとカタルシスもあったと思いますが、名門スクールの入学試験に受かったって、それまだスタート地点に立っただけじゃん!?と思ってしまいました。

 

さらにニックが散々悩んでいた「工場のリストラ問題」、あれは解決したってことでいいんでしょうか??一応最後の最後に、ニックが笑顔でアンディへのリストラ通知を破り捨ててたんですが、え、説明なし??ってモヤモヤしながら、なんとなくハッピーエンドっぽく終わりました。あんなに悩んで、その悩みをぶちまけるソロナンバーまであったのに?????

 

 

楽曲も、既存の曲はもちろん聴きなじみがあるため楽しめましたが、このミュージカルオリジナルの楽曲に、キャッチーで耳に残るようなものが見つかりませんでした。

 

他にもちょこちょこモノ申したいところがありましたが、あまりにもネガティブ感想だらけになるのでやめときます…。

 

 

キャスト感想はメインキャスト2人のみ。

 

【アレックス・オーウェンズ:愛希れいかさん】

・「ファントム」の時にもちょろっと踊ってましたが、あの時とは比べ物にならないレベルで、バリバリ踊りまくるかっこいいちゃぴさんがたくさん見られました!その点では大満足です!一挙手一投足を見逃すまいと、あえてオペラグラスは使いませんでしたが、本当に目が離せなくなるかっこよさでした。1幕ラストの♪Maniac♪で、あの有名な水がかかるポーズがものすごく絵になってましたし(ていうか本当に水かけると思わなくてびっくり)、ラストのオーディションでのダンスも、審査員のみならず客席を惹き付けるパワーに溢れていました。

 

・ちゃぴさんは全身から放たれるエネルギッシュなオーラが、本当に魅力的な役者さんです。キャラクターも、お嬢様キャラな「エリザベート」や「ファントム」とは全く違う華やかさがあり、新鮮でした。宝塚には興味ないですが、ちゃぴさんの娘役時代見てみたかったな~。

 

【ニック・ハーレイ:廣瀬友祐さん】

・廣瀬さんも「ファントム」以来!またもや恋した女の子にメロメロなセレブの役どころでした。シャンドン伯爵よりは人間臭さのあるキャラだったような?

 

・アレックスとのやり取りがコメディチックな部分もあり、なぜか客席の笑いを1番取っていました。笑

アレックスの部屋に行ったときに、目の前でアレックスが下着を外してぽい!って投げ捨てるのを、めっちゃガン見するシーンが面白かったですw

 

・それにしても、本当にいつ見てもうらやましくなるくらいかっこいい…!スーツ姿もタンクトップ姿も全部素敵でした。カテコでちゃぴさんを抱っこして、2人でニコニコしてたのもかわいかった~!そういえばハッピーエンドな廣瀬さんを初めて見ました(ティボルトは言わずもがな、シャンドン伯爵はハッピーエンドではないですよね…?)

 

というわけで、作品自体はあんまり好きになれませんでしたが、役者さんたちのパフォーマンスに元気や笑顔をもらえる作品でした!