Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2019.08.17 ミュージカル「エリザベート」:花總シシィ、井上トート見納め回

 

9度目の黄泉の世界。

 

花總シシィ、井上トート、田代フランツ、木村ルドルフ見納めの回でした。終わりの始まりだなぁ…と思ったら寂しくて、開演前は「早く見たいけど始まってほしくないーっ」と矛盾した気持ちを抱えながら舞台を眺めてました。

 

今回は座席が強かった…!1階席の中列のどセンター。

帝劇ゼロ番がまっすぐ前にありました。前過ぎず後ろ過ぎず、舞台との距離感がちょうど良くて、舞台の全てが視界に入ってました。

 

なるべくオペラグラスを使わずに全体を見てましたが、人の動きもセットの動きも、全て計算し尽くされていてすごく感動しました。まるで動く絵画を見ているような感覚が味わえました。

 

あぁそれなのに。

午前中、日比谷シャンテで「エリザベート」コラボイベントのスタンプ集めのため、アイスコーヒー、ホットコーヒー、アイス抹茶を連続で飲んでしまい、そのせいでお腹たぷたぷに。

♪最後のダンス♪あたりからトイレに駆け込みたい欲と闘う羽目になってしまいました…一生の不覚すぎる…。「次の曲なんだっけ…まだ最後通告してない…(絶望)」と、いつ1幕が終わるか自分で判断しながら焦りまくっていて、少年ルドルフが初登場する頃には、離脱するか本気で迷うくらいに。

しかしこういうときに限って、出にくいど真ん中の席。それはもう必死に耐えました…自分のアホさ加減に絶望しすぎて、閣下に迎えに来てもらいたかったです(真顔)観劇前の過剰なカフェイン摂取は本当にアウトですね…。

 

というわけで、実は1幕中盤からほぼ記憶がありません。トイレに行くことしか頭になかったので。あー本当にもったいなかった…。

 


f:id:der_letzte_tanz:20210204223146j:image

 

 

エリザベート花總まりさん】

・1幕冒頭の可愛らしさがさらに増してました。表情もだけど、飛び跳ねたりくるくる回る動作がめちゃくちゃ身軽なのも、花總シシィが少女らしさを存分に発揮できている要因かもしれません。

 

・ちなみにフランス語への嫌悪感も増してましたwフランス語なんてだぁぁぁぁぁぁぁいっっっきらいっっっ!!!!!!

 

・♪あなたが側にいれば♪で、田代フランツと2人、本当ーーーーに幸せそうにニコニコしてるので、展開を知っているとここで泣きたくなります。ていうか泣いてます(早)

この回は特に、いつも以上に2人で照れくさそうに笑ったりして幸せオーラ振りまいてて、「可愛いけどやめて!!!!しんどい!!!!!」ってなりました。

 

・花總シシィ&田代フランツだと、笑った時の顔がどことなく似ているので、余計切なくなります。2人とも目尻がふにゃって下がる笑顔なんですよね。

 

・今回も涙多めだったような?しかし色んな舞台を観ていて思うんですが、みんなよく泣きながら歌えるよなぁ。

 

・♪私だけに♪を力強く歌う花總シシィを、最後にまっすぐ正面から見られて良かったです。内心めっちゃトイレ行きたかったんですけどね!!!!!

 

・♪私が踊る時♪の、♪1人でも私は踊るわ♪の歌い方と声の響かせ方がすごく好きです。基本的にマイルドな声質の花總さんですが、この曲だけは歌声が尖ってて素敵です。

 

・♪最後のダンス♪と♪闇が広がる♪で、井上トートがシシィの耳元で歌う仕草をするんですが、その2曲の時はトートを怖がったり拒絶するのに、♪私が踊る時♪で同じことをされた花總シシィが、うっとりしてるようにも思える表情をしてました。シシィの変化を見せるのに、すごく効果的な表情だなと思いました。

 

・ルドルフの葬儀シーンは今回も壮絶。♪ルドルフどこなの♪のところはまだ平気そうだったんですが、今回はトートへ死を乞う場面が凄まじかったです。もはや歌というより悲痛な叫び。トートに突き放された後の、笑ってるのか泣いてるのか分からない狂ったような泣き声も怖かったです。ルキーニに写真撮られた後の叫びは、成河ルキーニがそっくりそのままマネするため、また地獄みたいな展開になってました…。

 

・ラストの♪愛のテーマ♪、花總シシィは安堵の表情で嬉しそうにトートに抱きつく印象でしたが、今回は今まで鎖に縛られ続けた苦悩の色が濃く出ていた気がしました。自由なく生きるのは、彼女にとって本当につらいことだったんだなと思える顔をしてました。

 

 

【トート:井上芳雄さん】

・開演前にネットに上がっていた「トートを演じることについて」のコラムを読んでたので、より注目するポイントを絞って見られました。井上さん、あのコラムご自分で書かれてるんですよね。いつもものすごく読みやすい文章で、頭の良さが伝わってきます。

 

・初めてトートを演じた時(2015年)は、とにかく感情を表に出そうと演じてたそうですが、今回はなるべく気持ちを内に秘めて、表情は意図的に変えずに演じてると書かれていました。確かに観ていると、表情にあまり変化は感じられないのですが、歌い方や声色の使い方で、トートが何を思い、何を感じてシシィに気持ちを向けているのか、こちらまできちんと伝わってくるのが本当に素晴らしいと思います。

 

・井上トートが「帝王」感に溢れているのは、あの圧倒的な歌声だけでなく、良い意味で重たさを感じさせる動き方も理由の1つだなと、今回観ていて感じました。ちょっとした仕草でもつい目を惹かれますし、シシィに絡むときのねっとりとした動きも、ちょっと気持ち悪いんですが、ついじーっと見てしまったり。

 

・マント捌きにはカッコ良さだけじゃなくて、その時のトートの気持ちも含まれてるように見えました。

 

・井上トートの♪愛と死の輪舞曲♪は、♪心に芽生えたこの想い♪にめちゃくちゃ戸惑ってる感じでした。「この俺様が…人間ごときにこんな気持ちを持つなんて…!?」といった感じでしょうか。笑

 

・ラストでシシィにキスしたあと、前を向いてシシィに黄泉の世界を見せる手が、だんだん力を失っていくのが印象的でした。劇中あんなに「ザ・帝王!」だったのに、最後の力のなさがすべてを物語っていました。

 

 

【フランツ・ヨーゼフ:田代万里生さん】

・いつもニコニコ、ほんわかオーラで優しくて、シシィの事も大大大好きで、でも彼なりの優しさは終始シシィには届いていなくて、田代フランツが優しくなればなるほど、シシィの心が離れていくようでものすごく残酷でした。

 

・♪夜のボート♪での辛そうな表情と、♪悪夢♪で最後まで運命に抗おうとする表情が毎回印象的でした。

 

・ところで珍しく(?)歌詞を間違われていてびっくり。♪あなたの企みは成功♪のはずが、♪あなたの革命は成功♪って歌っちゃってました。ゾフィー様革命起こしちゃいましたね。笑

ちなみに涼風ゾフィーは、その間違いを受けてちゃんと「革命?」って返しててさすがでした。

 

 

【ルドルフ:木村達成さん】

もっと見たかった!!というのが正直なところです。3人のルドルフの中で、総合すると彼の演じ方が個人的には1番好きでした(自分の中のルドルフ像通りだったのは京本ルドルフでしたが)ロミジュリのベンヴォーリオもすごく好きなので、木村さんのお芝居が私好みなのかもしれません。

 

・木村ルドルフは力強くて意志が固くて、恐らくシシィから受け継いだであろうあの頑固さが、結果として仇になってしまったようなルドルフでした。

 

・声も演技も、どちらのトートともうまく呼吸が合ってる気がしました。

 

 

ゾフィー涼風真世さん】

涼風ゾフィーが好きすぎる件(突然の告白)

 

・バートイシュルでの涼風ゾフィーが、終始面白すぎて可愛らしくてニヤニヤが止まりませんでしたwこの回のバートイシュル、史上最高に面白かった。笑

 

 

【ルキーニ:成河さん】

・どセンターの席だったからなのか、成河ルキーニと目が合う錯覚が何度もあり、作品を観に来たつもりが、ルキーニにずっと見られている感じがしました。上手にいても下手にいても、なんかずっと視線を感じるというか…観劇していて初めて味わう奇妙な感覚でした。

 

・成河ルキーニだと、ミュージカルを観に来たのにストレートプレイを観ている気になるのも不思議です。本当に唯一無二の俳優さんだと思います。演劇人のはずなのに、周りにいるミュージカル俳優さんと遜色ないレベルで歌が上手いのもすごすぎる。

 

・♪我ら息絶えし者ども♪のテンポ変わって照明が赤くなるところで、うひゃっひゃみたいな笑い声あげるのも怖いし、そのあと♪誰も知らない真実エリザベート♪って部分で、1人だけぶつぶつ何かを唱えてるのも怖い。

 

・バートイシュルで女官に向かってデカいくしゃみしてたのは笑いましたw

 

・♪闇が広がる♪の余韻も何のその、めちゃくちゃデカい足音を立てながら入ってきて、セリフ言ってまた捌けていくのも面白すぎますw

 

・♪悪夢♪でトートに呼ばれて発狂したみたいな叫びをあげるのはいつも通りだったんですが、今回はトートがヤスリを掲げると「早くちょうだい!!!!」みたいにその下でぴょんぴょん飛び跳ねてて…あの無邪気な感じがめっちゃ怖かった…。

 

・ヤスリをしゅっしゅっと人の身体に刺すシミュレーションをしながら、裁判官への問いに「オ…オルレアン公を殺すつもりだった」って急におどおどしながら答える成河ルキーニ。それまでずっと自分の意のままに堂々と登場人物を操っていたのに、あの場面になったら急にものすごく凡庸な青年に見えました。

 

・シシィを刺した後のあのどこかコミカルな歩き方、色んな人が指摘してるけど、史実のルキーニが逮捕された時の姿に瓜二つで、ある種の達成感が彼の中にあったんだろうなと思いました。

 

・成河ルキーニが描く「エリザベート」は、発狂した彼が独居房で1人50役くらい演じているイメージ。もし途中で照明が落ちたら、ルキーニがただ1人舞台にぽつんといて、1人でシシィやトートを演じてそうな印象でした。