Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2019.07.15 ミュージカル「エリザベート」:踊りたいままに好きな音楽で

 

5度目の黄泉の世界。休日の「エリザベート」観劇は初めてでした。前後に時間の余裕があるって素敵~!

 

この時期は「うおおお今日も観るぞー!」と気合満々な私と、「どんだけ見りゃ気が済むんですか?ねぇ??おい聞いてんの??(真顔)」と呆れ気味の私が同居してました。笑

正直何が楽しくてこんな短期間にこんな回数見てるのか、自分でもよく分からなくて。演じる人によってキャラクターの解釈がちょっとずつ違うとか、楽曲が好みとか、衣装が素敵とか、退廃的な世界観が好きとか、多分「これ!」ていう決め手が1つじゃなくて色んなところにあるのでやめられないんだろうなぁ。

 

席は前回と変わらず2階席上手。A席なので前回より後方でしたが、サブセンターだったのですごく見やかったです。前の人の頭が舞台にかぶるかなって思ったけど、全然かぶらず。舞台からの距離はありますが、2階席のA席は結構好きです。

 

全体的にはすこーしみなさんお疲れ気味かしら…?という印象で、観ていてあまりぐっとくることもなく…。ちょうど折り返し地点を少し過ぎた頃だったので、疲れも出ているときだったのかもしれません。ロングラン公演は本当に大変だ…。

 


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エリザベート:愛希れいかさん】

・愛希シシィもご多分に漏れず本当にかわいらしく(特に1幕)、花總シシィ共々連れて帰りたい衝動に駆られます。笑

 

・♪パパみたいに♪でのはしゃぎっぷりが特にたまらん…!花總シシィははしゃいでてもどこかお上品さがあるんですが、愛希シシィはとにかくアクティブで、スカートなのにあぐらかいてママに怒られてそうなイメージです。

 

・パパに「人生はあまりにも短くて退屈する暇などない!」って言われて「ほぉ!」って納得したり、♪どうして連れて行ってくれないの?♪ってむすっとしながら歌ったり、「お見せしましょうか?マダァム?」の言い方が、完全に家庭教師を煽ってたりw個人的萌えポイントが多数ありました。笑

 

・いい意味で「田舎育ちの自由闊達な少女が、ひょんなことから皇后になってしまった」感じが出てると思います。愛希シシィはフランツと結婚してなかったら、ホントに綱渡りとか木登りとか猛特訓してサーカス団入ってそうですし。

 

・♪計画通り♪で、この前も花總シシィがやってたフランツをくるっと回す動き、愛希シシィもやってましたが、勢い良すぎて田代フランツがすっ飛びそうになってました。笑

 

・愛希シシィ&田代フランツの♪あなたが側にいれば♪は、メルヘンっぽさが強く出ていたからか、2幕終盤の♪夜のボート♪が余計悲しく聴こえました。

 

・フランツからのプレゼントのネックレスを見た愛希シシィの表情がすごく印象的でした。花總シシィは「(嬉しいけど)もったいない♡」ってはにかむ表情だったんですが、愛希シシィは見たこともないくらい高価そうなプレゼントを見て、サーッと血の気が引いたみたいに見えて、文字通り「(私なんかには)もったいない」ってニュアンスに感じました。これから待ち受ける未来が、決して明るいものにはならないことにあの瞬間気づいたんだろうか…。

 

・結婚式の舞踏会でフランツと踊る時、リズムに合わせてこくこくうなずきながら踊る愛希シシィ、急ごしらえでダンスを覚えた感じが出ていて細かいなと思いました。

 

・古川トートの♪おーれーさーあ↑↑↑↑↑↑↑♪で、オクターブ上がった瞬間に両耳塞ぐ愛希シシィ…w

 

・♪最後のダンス♪でトートを見る表情と、♪皇后の務め♪でゾフィーを見る表情がおおよそ同じだったんですが、彼女にとってはどちらも悪夢みたいなものだったんだろうな…。

 

・愛希シシィの♪私だけに♪、すごく好きです!!力強い歌声はもちろん、歌い終わりで背後にあるハプスブルク家の紋章に立ち向かうように振り返る姿がかっこよかったです。花總シシィに比べるとかなりたくましいシシィに感じます。

 

・娘を亡くしてトートに抱きしめられる場面。シシィは客席に背を向けてるから顔が一切見えないんですが、右手がトートの腕に触れようか触れまいか、ものすごく葛藤してる様子が見ていてわかりました。腕に触れる寸前でハッと気づいてその動きを止めて、死に惹かれかけた自分自身に対して悔しがるように、そのまま手をぐっと握ってました。基本的に強い愛希シシィですが、だからこそ本当にちょっとしたすきに、ふらふら〜っとトートについていっちゃいそうな感じも出ていました。

 

・♪最後通告♪の「自分の子供に何をして、何をさせるか、たった今から私が決めます!」の言い方が良かったです。何がと言われると分からないんですが、とにかく良かったです(語彙力)

 

・三重唱の時、♪お言葉嬉しくうかがいました〜♪のところは穏やかな顔で歌ってるのに、♪ただ♪のところで近づいてくるフランツを左手でびしっ!と制してました。強い…!!

 

・ここからどんどん晩年に突入しますが、やはりどうしてもルックスは若さを隠せない気がします。白髪が1本とか言われてもあまりピンとこない…。しっかり落ち着いた歌声になるので、遠い席であればオペラグラスを使わない限り全然問題ないんですが。

 

・♪僕はママの鏡だから♪は、実年齢が愛希さんより年上の三浦ルドルフ相手だったためやや心配でしたが、三浦ルドルフが弱々しさを感じさせるお芝居をされていたので、特に気になりませんでした。

 

・ルドルフを亡くした時の号泣っぷりが、花總シシィとは違った方向でリアル。トートに見放された時にも号泣していて、ルキーニに写真を撮られてもそこまで泣き叫んでいなかったのが、逆にリアルだなと。

 

・♪夜のボート♪がめちゃくちゃ良かった…ものすごく切ないシーンに感じられました。

 

・愛希シシィは基本的に光属性で太陽のよう。自分の性質とは真反対にある「死」に、自分にはない負のエネルギーを感じて惹かれる、ないものねだりの印象です。

花總シシィは基本的に闇属性で、心のどこかに影を持っているから、自分の性質とどこか相通じるものがある「死」に惹かれる、似た者同士の印象があります。

 

・愛希シシィはさらに歌い方を変えたら、ウィーン版みたいにトート閣下を物理で倒せそうなシシィになれる気がするから頑張ってほしい(勝手な願望)(別にウィーン版も物理で倒してないですけど)

 

 

 

【トート:古川雄大さん】

・今回で3連続古川トートでした。さすがに3回連続は飽きるかしら…と思いましたが、あの美貌は永遠に眺めていられる自信があります(!?)

 

・2階席上手から見てると、オペラグラス越しに古川トートと目が合うような錯覚を起こすことがまれにあって(もちろんあちらからは何も見えていないはず)、あまりの人外っぷりに蛇に睨まれた蛙のごとく固まっちゃうんですが、彼を相手にあんな間近で演技できる花總さんと愛希さんはすごいなぁと。体操室のシーンとか、自分がシシィ役だったら…って想像するとめちゃめちゃ怖い…。

 

 

・♪私を燃やす愛♪で出てくる時、そういえば井上トートって(言い方悪いですが)棒立ちで登場していたような…。古川トートは基本的に手を横にしてちょっと動かしてました。

 

・トートの振り付けは、全体的に2016年版に戻してほしいです。シシィやルドルフとの物理的距離が前の方が近かった気がする…。

 

・♪最後のダンス♪は、♪踊るさだめ♪の「さ」の音がきちんとした音程に当たってなくて、フラット気味に聴こえました。そして聴くたびにどんどこ自分流にアレンジして歌ってるように聴こえるんですが、大丈夫なのかな…?観劇前、久々に城田トートの♪最後のダンス♪を聴いて「あ、そうか。ここはこんなメロディーだったな」ってなったくらい、古川トートのこの曲は別モノになっている気がします。

 

 

・1幕の♪闇が広がる♪、♪早く認めるんだ♪はシシィの肩をがばっと掴んで、♪俺への愛を♪でシシィのほっぺ撫でてました。文字にして書くとなかなかの気持ち悪さ…(今更)

 

・カフェで人間に化けたトートと握手したエルマーが「???」って顔してました。化けきれてなくて手が異様に冷たかったりするのかな…(古川トートならありえそう)

 

・三重唱のラスト、シシィのこと好きすぎてしんどい!!!!!死にそう!!!!!!みたいな表情してました。「死」なので死なないとは思いますけど←

 

・♪エーヤン♪のトート閣下の不吉なお告げパート(命名:私)が始まるところ、パッとスポットライトがトートに当たる瞬間がかっこよくて好きです(細かすぎて伝わらない私のツボ)

 

・♪私が踊る時♪にて、差し出した手をシシィにスルーされた瞬間、「なかなかやるな…」みたいにニヤッとしてました。笑

 

・♪ママ 何処なの♪は、相変わらず微笑ましかったです。めっちゃニコニコしてるw

 

・シシィに「まだあなたとは踊らない!」って拒絶されても、なお1歩近づこうとしてました。諦めが悪い…!笑

 

・ところで劇中、トートって1度もシシィのこと「シシィ」って呼ばないですよね?全部「エリザベート」だったような…そういえば不思議…。

 

・古川トート&三浦ルドルフの♪闇が広がる♪、見た目のインパクトは凄まじいものがありました。2人ともよく出来た人形みたいな顔とスタイルなので、並んでると「人間の一般的な等身の概念」というものが消え失せます(真顔)パリコレ始まりそうでした。

 

・三浦ルドルフがこの日あまりにも受け身だったので、古川トートがぐいぐい引っ張ってる感じがしました。

 

・「死にたいのか」はやっぱり半泣きというか、ルドルフを憐れんでるような言い方でした。

 

・♪悪夢♪は正直田代フランツが勝ってるんですよね…。古川トートも結構必死に歌ってましたが、なにせ田代フランツは本気出したら井上トートですら歌声で倒せそうなくらい爆発力があるので…。

 

・ところで♪悪夢♪の時の古川トートの表情を見てると、「あぁ、この人やっぱり『下町ロケット』のあいつなんだな」ってなりますw嫌味な感じの表情がすごく上手ですよね。これ褒めてますよ…!笑

 

・今回はラストの表情が「ハッとしている」というよりも「絶望」を感じました。生きてる時のシシィには結局愛されなかったからなぁ…。

 

・次回のロミジュリがいつ再演か分からないですが、年齢的にロミオが無理なら「死」もいいんじゃないかなぁ…古川さんのダンス、もっと見てみたいです。

 

・「古川トートと古川ルドルフで見たい」ってSNSで書いてる人いて「天才…!」ってなりました。私も見たい!!!!!(無理)

 

・あのメイクは「茶色と、ちょっと濃い茶色と、さらに濃い茶色」(ご本人談)で出来ているようで、舞台メイクなのにあまり時間かかっていないとのこと。造形が整ってるとそんなもんなのかぁ…うらやましい。

 

 

【フランツ・ヨーゼフ:田代万里生さん】

・フランツに共感できなさすぎて、逆にしんどくなってきました。田代さんも平方さんもすごく上手いですし、役者さんのせいでは全くないので、そういう意味では問題ないのですが…。

 

・田代さんは老ける演技が上手すぎて、1幕と2幕で同じ人がフランツを演じてるのが信じられないくらい。

 

・田代フランツの♪夜のボート♪は、歌でも表情でも泣かせにかかってきます。1幕の幸せそうだった2人を思い出して、どうしてこうなっちゃったんだろうって…。

♪分かって 無理よ♪って言われて目を見開き、♪私には~♪で目をぎゅっと閉じる田代フランツ…

 

・♪悪夢♪は田代フランツ圧勝なので、古川さんがあと15倍くらい声出さないと勝てない気がしてます(そもそも対決じゃない)

 

 

【ルドルフ:三浦涼介さん】

・三浦ルドルフの演技があまりにも変わっていてびっくりしたんですが、プライベートで悲しい出来事があったようで、なんとも言えない気持ちになりました。いくらプロの俳優さんとは言え、演じるのツラかっただろうなと。

 

・今回はトートに煽られてもどこか心細そうで、トートに言われるがまま動いてる感じが強かったです。

 

・♪闇が広がる♪で、最後にトートと向き合った時も、真正面から見つめるトートの視線に耐え切れず、ちょっと下を向いて、改めて向き直る…みたいな仕草でした。

 

・♪独立運動♪でも、周りに♪救世主になれる♪と言われて「違う…」と頼りなさげに言ってて、周りの大人やトートに上手いように動かされちゃった王子様の印象でした。

 

・♪ママは僕の鏡だから♪は、良い意味でハスキーな声が緩和(?)されて、柔らかい歌い方になってました。印象的だったのは、シシィに手を振りほどかれた後、最初はそのことに気づいていないような雰囲気で、ハッと目の前を見たらもうそこにシシィはいなくて、辺りをきょろきょろ見回していたこと。少年ルドルフの姿と重なりました。

 

・多分何度見ても真っ先に「ルックスが強い!!!!!!!!!!」って思っちゃうだろうな…。

 

 

ゾフィー涼風真世さん】
・涼風ゾフィー、前回見た時よりも明らかに怖くなってました。愛希シシィ相手だとあんな感じなのかな?あんなお姑さんいたら、そりゃ逃げたくなります。

 

・でも相変わらずバートイシュルの時は、ドレスも含めめっちゃ可愛かったです…!


・シシィを追い出すための「企み」の話し合いの時、いきいきしてて楽しそうでした。笑

 


【ルキーニ:山崎育三郎さん】

・山崎ルキーニ見てると、海宝ルキーニありじゃない?????って思えてきます。海宝さん、トートは似合わないだろうけどルキーニ(もしくはフランツ)はすごい似合いそう。

 

・本当はルキーニの比較だけで記録を1つ書きたいくらい、同じ役なのに成河ルキーニと山崎ルキーニであらゆる要素が違ってるから本当に見応えがあります。


・色々とお忙しいからか、今回セリフ部分でお疲れなのかな?と思う箇所がいくつかありました。でも相変わらず歌声は圧倒的なクオリティでした。

 

 

【少年ルドルフ:陣慶昭くん】

・印象としては、加藤くんと大橋くんの間。大人っぽすぎず子供すぎず、ちょうどいいお芝居でした。歌も演技も卒なくこなすので、少し印象に残りづらい気もしましたが、見ていてヒヤヒヤすることもなく、安心感がありました。