Der Lezte Tanz

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ドラマ「下剋上球児」:もっと球児たちに焦点を…

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2023年に放送されたドラマ作品の中でも1、2を争うくらい盛り上がっていた日曜劇場「VIVANT」の後、さらに過去映画化までされたTBSドラマ「ROOKIES」と同じ高校野球を扱ったドラマということで、ちょっと分が悪かったのもあるかもしれませんが、個人的にはこの作品、いまいちしっくりきませんでした。

 

タイトル通り、弱小野球部が夢のまた夢である甲子園を目指す、というシンプルな造りで見てみたかったです。「ドラゴン桜」第2シリーズでも思ったのですが、「大人のいろんな事情」をドラマのエピソードに盛り込むのって、こういう作品の場合いらなくないですか…。球児を演じた若き役者さんたち、みなさんとても良い芝居をされていたのに、本当にもったいないなぁと思います。

 

特に解せなかったのは、鈴木亮平さんが演じる南雲先生が、実は無免許のまま教師をやっていたこと。うっかりミスで免許が取れず、でもそのまま教員として勤務していた…という流れだったかと思いますが、物語の中では案外さくっと許されていたように思います。

 

生瀬勝久さん演じる副校長先生(だったかな?)が、「間違いを犯した人をいつまでも叩いて何が面白いのか」と啖呵をきるシーンがあり、その内容には共感できたのですが、とはいえ、一緒に働いている教員も校長先生も、保護者も、なにより生徒たちにとんでもない迷惑をかけているのにな…と、「罪の重さ」と「その後の彼の処遇」がいまいちバランス悪いような…と、個人的には感じてしまいました。

 

何より、その「無免許事件」に決着がついた後に、南雲先生が何かいいことをしたり、言ったりしても、「でもこの人、周りを欺いて教員やってたしな…」としか思えなくなってしまったんです。それは一種の偏見ですし、罰を受けて十分反省しているんだから許してやれというのはわかるんです。が、過去に何かしらを抱えて生きてる人を描くのであれば、少なくとも「教育にかかわる犯罪」ではない方が良かったのでは…と思ってしまいました。

 

期待していただけに、ちょっと残念な作品でした。