Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

ドラマ「インビジブル」:素材が良くて調理法が残念な一品

www.tbs.co.jp

 

*全然褒めてない感想。このドラマがお好きだった方はUターン必須です。

*ネタバレもしてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高橋一生柴咲コウ、再共演!」という宣伝文句に惹かれたのが、ドラマ「インビジブル」を見ようと思ったきっかけでした。

 

一生さん&コウちゃんと言えば、大河ドラマ「おんな城主直虎」で、女城主とその側近を演じ、お互い憎まれ口をたたきつつ実はめちゃくちゃ信頼しあっているという、最高のコンビを見せてくれたお2人。ドラマ史に残る政次(一生さん)の壮絶な最期も印象的で、あのお芝居の化学反応がまた見られるのか…と、第一報を聞いたときはわくわくしておりました。

 

ところがその後、ポスタービジュアルが発表され、共演者が発表され、予告編が発表されるにつれ、「…なんか嫌な予感しかしない」(真顔)とわくわくよりも不安が勝っていき…。1話を見た時点で、「あ、やっぱりなんか思ったものと違ってた」と予感が的中してしまいました。

 

金曜22時で凸凹感のあるバディもの、といえば、私が大ハマりした「MIU404」。今回のドラマも、あのような雰囲気の作品にしたかったんだろうとなんとなく感じましたが、以下2点で決定的に差がついてしまったのでは、と思います。

 

まず1点目。誰がどう見ても明らかですが、あまりにも脚本が弱すぎました。

 

大筋はありながらも1話完結で、回を重ねるごとに志村とキリコの不思議な絆が強まっていく…のだと思っていたのですが、最終回に向かうにつれ、むしろ「志村と猿渡」「キリコとキリヒト」のやり取りが増え、志村とキリコのやり取りは減っていったように思います。

 

また「猿渡が黒幕でした」というのも、いまいち意外性に欠けていたのはなぜだろう…。「実は犬飼課長が生きてました~!悪者でした~~~!」という方が面白そうだったり(こら)

 

「悪役」になったきっかけが特になく、生まれながらのサイコ〇スで「志村の苦しむ顔がいとおしくて、もっと見たいから生かしておいた」という、ただただ生粋のド変態だった猿渡のキャラはまぁまぁ好きでした(たまにある「昔虐待されてて愛されることを知らなくて…」とか「最愛の恋人を亡くして…」とか、「悪くなることへの理由」をつけた悪役はよくあるので)

 

とりあえず全体的に詰めが甘いとしか言いようのないお話の作り方だったな…。

 

そして2点目はキャスティング。個人的には脚本よりもこっちが気になりました。

 

とにかく「主役2人ありき」というか、あの2人以外の役者さんたちが正直色んな意味で微妙。(誰とは言いませんが)役者としての力量があまりない人、役者としての経験は豊富なのにあまり活躍の場がなかった人、ゲスト出演も「?」と思う人がおり(特に2話)、もうちょっとどうにかならなかったのかなぁと思います。メイン2人が頑張れば頑張るほど、周りとの空気感の差が生まれてしまい、特に警察署内のシーンが学〇会のように見えてしまいました。

 

あとこれは役者さんのせいではないですが、亡くなった兄の同僚、しかも先輩を「たかちゃ~ん♡」と呼ぶあの子は一体何だったんだろうか(真顔)あの妙に媚びたようなお芝居のせいか、彼女が誘拐され理不尽に殺されそうになる話でも、特に何も思わなかったんですが(真顔)そのあたりの背景や過去も全く描けてなかったよな…(安野さんが殺される回想シーンは100回くらい流れてたけど)

 

キリヒト役も、彼は技量のある役者さんだと思いますが、「MIU404」で菅田将暉さんがいきなり登場したあのインパクトには到底及ばず、キャラとしても妙に「シスコン」な感じを醸し出していたため、もう少し薄気味悪さがあったも良かったように思います。

 

これだけ文句を言いつつ、なんだかんだ最後まで見られたのは、やっぱり一生さんとコウちゃんのおかげ。

 

一生さんは、映像作品で主役をやるなら正直「岸辺露伴は動かない」とか、より硬派な作品の方が合ってそうな気はするのですが、相手のセリフや反応による「受け」のお芝居が本当にうまいと思いました。9話でバディを組むことになった猿渡のことを、裏切りものだと確信しているのか、まだ信じていいものか、迷いのあるようなお芝居が特に好きでした。

 

コウちゃんは役によって劇的にお芝居が変わる人ではなく、自分の個性に役を引き寄せる役者さんだと思っているのですが、キリコは茶目っ気もあってかわいらしい部分もありつつ、常に隙を見せない壁も感じさせるのが上手でした。金髪めっちゃ似合ってるし、どんなとんちんかんな衣装着ても全部似合っちゃうのもすごい(尊敬のまなざし)

 

メインの2人と大まかな設定はそのままに、脚本とキャスティングをまるっと変えて作り直したいドラマでした。