Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

映画「blank13」:70分で描かれる13年間の空白の時間

映画「blank13

監督:斎藤工

出演:高橋一生リリー・フランキー松岡茉優金子ノブアキ、神野三鈴、斎藤工、他

 

<あらすじ>

13年前に突然失踪した父が余命3カ月で見つかった。借金を残し消えた父(リリー・フランキー)に、母と兄は会おうとしなかったが、キャッチボールをしてくれた優しい父の記憶が忘れられないコウジ(高橋一生)は、病院へ向かい再会を果たす。しかし、2人の間にある13年間の溝は埋まらないまま、父はこの世を去ってしまう。もう取り戻せない思っていた13年間の空白が、葬儀当日の参列者が語る父親のエピソードで、家族の誰も知らなかった父親の真実とともに埋まっていく…。

https://filmarks.com/movies/70701

 

<感想>

映画自体の記憶よりも、映画館に行ってみたらこの作品を観るのが私1人だけだったようで、映画ヲタなら誰もが夢見るであろう「貸し切り映画」が実現したことが強く印象に残っています。

 

とはいえ、広い劇場に自分1人しかいないのはさすがに怖くて、雰囲気に慣れるまではなかなか映画の内容が頭に入ってこなかったのが正直なところです。笑

(あと私1人のためにわざわざ上映してもらうのも、なんだか申し訳ない気がして…)

 

芸能界でも屈指の映画好きな斎藤工さんが、初めてメガホンを取ったらしい今作。高橋一生さんが主演ということで見てみましたが、なんだか変わった映画でした。

 

ちょっと意地悪な見方かもしれませんが、「映画っぽく撮った映画」だなと思いました。言葉で表すのが難しいのですが、カメラ割りや撮り方がなんとなく「どこかで見たような」感じを受けました。

物語は構成がユニークで面白かったです。前半では主人公・コウジと父の過去を描いて、ちょうど半分くらいでやっとタイトルの「blank13」が表示され、それを挟んで後半はコウジの父の葬儀が描かれる構成でした。


コウジの父の葬儀の隣では、同じ名字のものすごく偉い社長さん(?)の葬儀が立派に執り行われており、その人の葬儀には大勢の人が集まっています。

 

一方コウジの父の葬儀は信じられないくらいこじんまりとしており、彼の死を悼みに来る人はほんのわずか。

 

その様子を見た主人公の兄(斎藤工が「人の価値を知らしめてるみたいだ」とつぶやくんですが、その社長さんらしき人の葬儀に参列している人は、その人と親しかったから来ている、というよりも、生前地位があった人だから来てる、というような人ばかり。

 

逆にコウジの父は、家族にとっては本当にロクでもない人なんですが、困っている人にはどうしても手を差し伸べずにはいられない、人として温かみがあって慕われる人でした。

 

何人が葬儀に来たかよりも、数人でもどれだけ自分のことを愛してくれたかが大事なんじゃないかなと感じました。

ところで斎藤工さんと高橋一生さんが兄弟なんていう世界線は、どこにいけばありますかね?????
(という頭の悪い感想を最後に残しておきます。笑)