Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2020.12.26 「チョコレートドーナツ」:2020年観劇納め

2020年の観劇納めは「チョコレートドーナツ」。

 

2019年も、年末最後に観たのが「キレイ〜神様と待ち合わせた女〜」だったので、ミュージカルではない演目での納めが2年続きました。

 

ちなみに数えてみたところ、2020年は【16作品・20公演】観劇してました。2019年は18作品だったので、観劇回数はコロナの影響で少なかった割に、作品としては去年とさほど変わらない数を観られたことにびっくり&ありがたみを感じました。

 

「チョコレートドーナツ」は、映画(洋画)ファンの間ではかなり有名な、2014年に日本で公開された作品です。映画館で見ましたが、見に行く直前に、当時通っていた専門学校のクラスメートが「私先に見たんだけどさ〜!」とネタバレしやがったことは一生忘れない(あの人苦手だったな~~~~)(どうでもいい情報)

 

と、結末を知って見たからかもしれませんが、ルディやポールが受ける仕打ちに対する怒りが本当に強くなってしまい、全く泣けませんでした。あのお話を「お涙頂戴モノ」として宣伝したり見たりするのって、なんか違うんじゃないかな…という違和感もあったり。映画として素晴らしい作品ではありました(ルディ役のアラン・カミングが良すぎた…)

 

さて今回の日本版。全体的には映画に忠実で、上演時間も比較的すっきりしていて観やすかったとは思いますが、個人的には「オリジナル(映画)が至高すぎて……」という印象が否めませんでした。

 

全体的な構成として、ショーのシーンはあんなにたくさん要らなかったと思いますし、その場面に時間を割くならルディとポールの出会いや、ルディがマルコに愛情を深めていくシーンを、もっと丁寧に描いてほしかったです。あまりにもささ~っとお話がスピーディに進みすぎな気がしました。題材は文句なしに良いので、構成や演出を少し変えて再上演してほしいです。

 

舞台版で良かったのは、カーテンコールがあること。映画だとルディの熱い想いが詰まった歌唱シーンで終わって、それはそれで良いのですが、舞台版だとカーテンコールでマルコ役の子がにこにこ笑顔で出てきてくれて、ある意味マルコが望む「ハッピーエンド」なのかなと思えました。

 

マルコ役は、実際にダウン症の高橋永くんという子役が演じてましたが、もうとにかくカーテンコールでの高橋くんが癒しで…!お芝居の段取りやセリフをしっかり覚えて、お客さんの前で堂々とパフォーマンスしているだけでもすごいのに、それ以上に全然物おじしない舞台度胸に驚きました。

 

カーテンコールでは誰よりも楽しそうに客席に手をぶんぶん振ったり、全力で投げキッスしたり、ルディ役の東山さんの元にすっ飛んで行ったり(笑)、人前でお芝居できて嬉しい!って気持ちが伝わってきて良かったです。

 

カーテンコールでは、高畑淳子さんの表情もすごく印象的でした。この作品は、本来であれば12月7日から開幕でしたが、出演者の中にコロナ陽性者が出てしまった関係で、19日まで中止、20日にやっと幕が上がり、それからおそらく毎日戦々恐々で続けてきたんだと思います。

 

毎公演無事に始まって終わる、それが今どんなに奇跡的なことなのか、高畑さんが心底ほっとした顔で挨拶されているのを見て思いました。舞台に立っている人たちは、それが仕事だから仕方ないとはいえ、毎日どれだけのストレスにさらされてパフォーマンスしてるんだろうと思うと、本当に胸が痛いです。

 

「千秋楽を迎えられる」というのが「奇跡」と言われなくなる日が、一刻も早く来るよう、願わずにはいられませんてした。