Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2021.7.10 NODA・MAP 第24回公演「フェイクスピア」マチネ公演:誰にとっても明日は大切な日です

*盛大にネタバレしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2回目の「フェイクスピア」観劇。

 

1度目を観てから2週間、頭の片隅にこの作品の余韻がずーっと残っていて、何をやっていてもふとした瞬間に「あの時のあのセリフはこういうことだったのか」と、いろいろ思い出すことがすごく多かったです。

 

ネタバレを気にしなくて良くなったため、ネット上にある他の人の感想をひたすら読みふけったりもしました。そこでまた「ああ!」と思うこともありました。楽しすぎる。一生さんファンの人って、洞察力鋭い人が多い気がします。

 

開幕したのが5月末、私が1回目を観たのが6月末で、2回目を観るまでの間に「読売演劇大賞」のいくつかの部門に「フェイクスピア」がノミネートされ、SNSでの絶賛評の多さや、「もう一度観たい!」というリピーターの多さで、連日どんどん当日券ゲットまでの道のりが大変なことになっていったようです。この日はマチネの当日券のために、朝7時から並んでいた猛者がいたそうな…(震

 

2度目だからといって理解が深まることはなく、むしろとっちらかってしまった気がします(自分の理解力のなさに絶望する顔)幸い戯曲が買えたので、終演後はパンフレットと併せて熟読しました。

 

座席はなんと1階席3列目のど真ん中。しかも目の前の席が2席分ぽっかり空いており、信じられないレベルで視界が開けてました。たった5m先で一生さんが芝居してる光景は、あまりにも現実味がなさすぎて、巨大な「?」が終始頭の中に浮かんでおりました。

 

(「モーツァルト!」も、8月に観た「王家の紋章」も舞台近くの席が1度はあったので、今年は「推しのお芝居を至近距離で観てみようの年」なんですかね)(?)

 

あのクライマックスに向かうことを知ったうえで観ていたので、終盤になるにつれて自分の鼓動が速くなっていくのがわかりました。目の前で繰り広げられる事故の再現シーン、あまりにもリアルすぎて、私もその当時の時間軸に飛ばされた気分になりました。

 

懸命に指示を出す機長役の一生さん、それになんとか従おうとする副操縦士役の川平さんや伊原さん、乗客に声をかけるCA役の村岡さんの表情を見ていたら、自然と涙が出てきました。

 

あの場面を、大阪公演含め2か月間、ほぼ毎日、時には1日2回演じている役者さんたち、一体どんな鋼のメンタルを持っているんでしょうか…!?(そのシーンに向かうまでもとてつもなく大変そうですし…)自分がもし出演していたら、と想像してみましたが、心に漬物石で蓋しないと絶対に無理そう。むしろ漬物石じゃ足りなくて2tトラックとか置いとかないとダメそう(謎)

 

感想は順序だてて書けないので、思いついたままに書きなぐっていくスタイルにしてみます(ここぞとばかりに一生さんばっかり観てたので、大半は一生さんの感想になると思われます…)

 

・幕開けのきっかけ、というのでしょうか。客電が暗くなる直前に流れてる場内BGMが♪Sing Sing Sing♪なのは、何かしら理由があるのかな…?私はそこまで気にしていなかったのですが、場内BGMはかなりの曲数があったようで、事故が起きた年に流行した歌だったり、今はいない人に会いたいと願う歌だったり、何かしら作品の内容に絡めた選曲だったようです。ただ♪Sing Sing Sing♪はどうにも腑に落ちなかったなぁ…。最初の場面につなぐには、随分明るいなと思いました。

 

・前回は客席暗転後、舞台の照明がついた時点で、一生さんはじめ、コロスの人たちが10人くらい登場していて、「いつ出てきたん!?」とびっくり。今回は前方席だったので、よーく目を凝らして確認してみました。

 

客席が完全に暗くなった瞬間、セットの裏か、舞台上手側からかはわからなかったんですが、「忍者か!?」ってレベルの速さ、かつ足音を一切立てずに皆さん走ってきて、瞬時に立ち位置決めてました。その間、おそらく3秒~5秒程度。真っ暗なのに、なんで立ち位置がすぐわかるんだ…。

 

・冒頭のシーン、セリフも含めすごく神秘的で好きです。

 

・誰を口寄せしたいのかと皆来アタイに問われて「誰かな…息子、のような気がする」って楽の方を見ながら言うmono。これも伏線だったってことなのかな…?

 

・ヒロインな一生さんが間近で見られるじゃん!!!!!!と、「リア王」再現シーンでわくわくしていたところ、ふらふら~~っと倒れこんだ一生さんの顔(頭)と、最前列に座っていた男性の頭がもろかぶり。というわけで、首から下は一生さん、頭だけ最前列の男性の後頭部という見え方にwまさかの展開すぎて、がっかりしたというよりも笑いをこらえるのに必死でしたwそのあとの「オセロー」「マクベス」の時はちゃんと(?)倒れこんだあとのお顔まで見られました。マクベス夫人のときの謎の色気よ……。笑

 

・倒れこんだ一生さんの親指の爪が、照明の光をうけてつやつやぴかぴかしていたので、「ネイルケアしてるんかな…!?」と、内容そっちのけで考えてしまいました。本当にとってもきれいな爪でした。

 

・はーーーオールメールシェイクスピア劇でヒロインやる一生さん観たい全力で観たい(かつてやってた「恋のから騒ぎ」はDVDかBlu-rayで発売されてるんですよね…買おうかな…)

 

・一生さん、橋爪さん、白石さんで掛け合いするシーン。テンポが早いので誰かが誰かのセリフにかぶせちゃったりで、若干間合いがおかしくなった瞬間もありましたが、全員まったく顔色変えずに続けて、うまく間合いを合わせてきたので逆にすごかったです。

 

・前田あっちゃんは、前回観た時よりもセリフ回しがうまくなったというか、声がより通るようになったなと思ったんですが、座席の位置の関係でしょうか。ちなみに野田さんも、前回よりはなんて言ってるか聞き取れたので、これは慣れの問題かもしれない…。笑

 

伝説のイタコが空飛んでるとき、そういえば地味に「E.T.」のメインテーマがかかってましたw

 

・前田あっちゃん、本当にお子さんを産んだの…?ってくらいの細さと少年っぽさでした。星の王子様が一番似合ってたな~。

 

・アタイがおかしなことを言うと、楽とmonoが顔を見合わせて「この人頭おかしいんかな…」みたいに、ぽかーんとした顔で指でくるくる~ってジェスチャーしてました。かわいい。

 

・匣を開けた時にmonoのモノローグが始まるんですが(冒頭のシーンのセリフのちょっと長い版?)、一生さんの声色の使い方がすごくおもしろかったです。男性の声と女性の声、どっちともつかない声、みたいな感じで、一文ごとに声を変化させているように感じました。

 

・是非とも大根ゼリーをグッズで売ってほしかったですw

 

・三日坊主役は、もともと大倉孝二さんだったんですが、確かに大倉さんの三日坊主、めちゃくちゃしっくり来ただろうな…。伊原さんももちろん良かったんですけど(川平さんとのコンビ感だと、伊原さんの一見いかつい雰囲気の方が合ってる気はします。大倉さんと川平さんだと、ぱっと見どちらもボケみたいになりそう。笑)

 

・川平さんはどっかでうっかり「楽〇カードマアアアアン」って宣伝し始めたとしても違和感なさそうでした。笑

 

・monoがいう「良い沈黙」と「悪い沈黙」の話、いかにもシェイクスピアのキャラが言いそうなたとえ(めちゃくちゃ納得した)

 

・三日坊主とアブラハムに自己紹介するときのmono、自分の名前を告げた後にものすごい頭痛に襲われてるみたいな顔してたんですが、あれは記憶喪失だからなの…?思い出そうとすると頭が痛くなるパターン?

 

・「頭下げろ」というセリフで、少なくとも私の周りではあんまり笑いが起こってなかったのは、リピーターさんだらけだったってことなんですかね(結末知ってると全く笑えないあのセリフ)

 

あとmonoのセリフでところどころ「なんでそんな言葉はさむの??」と思う言葉も、ボイスレコーダーに入ってる言葉だったんですね(って今戯曲眺めてて気づきました)(明らかに変なタイミングで「山だ」って言葉が入ってて「ああああああああ」ってなってます今)(遅い)

 

・突如ぶち込まれる♪香水のせいだよぉぉ♪笑

 

・mono「誰にとっても明日は大切な日です」

私(……うわあああああああああああああああああ)

(二度目だからこそ気づける大事なセリフでした)

 

・オタコ姐さんの「半世紀といったらオリンピックを12、3回やらなきゃいけない、うんざりだよ!!!!」に、野田さんの本音を見た気が…。笑

 

・途中、コロスさんたちが浄瑠璃人形みたいな動きをする場面、すごい既視感ある…と思ったら「天保十二年~」で老婆たちが惚れ薬を仕込むシーンだ…!「天保十二年~」観ておいて良かった…。あれはもはや教養として観るべき(?)

 

・ロイヤリティ未払いのためにやってくるシェイクスピアw

 

シェイクスピア登場シーン、烏を1羽捕まえて自分の身を隠そうとするmono、というか一生さん。烏役のアンサンブルさんが完全に困惑して、もはや半分素で笑ってるのに、背後から彼の上半身を全力で抱きかかえて「じっとしてて!!!!!!!!!!動かないで!!!!!!!ばれてないから!!!!!!!!!!」って叫ぶ一生さん、もといmono。笑

 

・前回観た時はまったく気づいてなかったんですが、生きてる人は舞台上手から、死んだ人は舞台下手から出入りしてたそうで…(これは本編でも示唆されてたので、完全に私が見落としてました)で、終盤はmonoが舞台上手(=生きてる者の道)に逃げていくというタブーを犯すという展開でした(観客としてはその時点でmonoが死者という認識はないんですけど)ちなみにこれは主に能舞台で使われる手法とのこと。…必要な知識があっちこっちにあって混乱してきた…。

 

・四大悲劇を血液型みたいに分けるの、最初笑っちゃったけどなるほどなと。

 

・まったく原型をとどめていない野田シェイクスピアの「To be, or not to be」笑

野田さんがはけてシェイクスピアが乗り移った白石さんが、そのまま変な言い方を引き継いでて、それを見て客席に背を向けてぷるぷる震える一生さん(懸命に笑いをこらえてましたw)

 

で、そのまま両手で顔を覆っても笑いが止まらず、衣装の襟で口元を隠すも笑い止まらずな一生さんがかわいかったですwそのあと自分でもクセ強めの「To be, or not to be」を再現して、白石さんと笑ってました(客席も大爆笑w)

 

とはいえ、これそういえば前回もほとんど同じようなリアクションをしていたので、あれはアドリブ風のお芝居なんだろうな…。

 

・一生さんのセルフエコーうますぎて、多分何度観ても笑っちゃいますw

 

・橋爪さん、一瞬にして3歳になるのすごすぎません?????自分よりはるかに年上の橋爪さんを、本物の我が子みたいに超慈しんだまなざしで見つめる一生さんすごすぎません?????(語彙力死んだ)

 

・「作中人物は息をしないけど、世界と呼吸するメタファーになれる」っていうのも、なるほどなと(納得してばかりの私)

 

・目に見える【言葉】は文字、目に見えない【言葉】は声。なるほど(何度目かのなるほど)

 

・自分に息子がいて、目の前で「自殺する」なんて言われたらどんな気持ちがすると思う?こんな気持ちだ、の時に、一瞬で泣きそうなくしゃくしゃの表情になる一生さんよ…。

 

・ローゼンクランツとギルデンスターン=アブラハムと三日坊主も、最初観た時はゲラゲラ笑ってたんですが、「届け物を届けた先で処刑される悲運な2人組」と思うと…………(全然笑えない~)

 

・言ったが勝ち、書き込んだが勝ち、それが今の言葉の価値。ふざけたキャラクターのフェイクスピアが発する言葉なのですが、グサッと来ました。

 

・monoと楽の初めての親子喧嘩w年齢的に逆転してるのに、全く違和感のない橋爪さんの反抗期の息子のしゃべり方w

 

・戯曲を読んでいたら、イタコの昇格試験の試験官ってちゃんと名前あったんですね。「フラスコ」と「ビーカー」と「シリンダー」だそうです。「試験官」だけに。笑

 

・イタコ昇格試験のシーンは、客電はもちろん舞台上の照明も全部落ちるので、いきなり真っ暗になって結構びっくりでした。あと途中からmono…というかパイロット姿のmono(=楽のお父さん)が暗闇の中現れて、楽の背後でじっとしてて、しばらくするとまたはけていく…という謎の動きがあったんですが、あれは一応アタイが口寄せに成功してたってこと…?

 

・劇中のシェイクスピアはわりとどうしようもないキャラなんですが、あの飛行機事故をなんとか「フィクション」に収めたい(だって自分が書いた四大悲劇よりはるかに悲劇的なノンフィクションだから)って願ってたんでしょうね…。

 

・「火」を盗んだつもりが「死」を盗んでしまった、君は江戸っ子だったから、っていう星の王子様のセリフの意味がよくわからなかったんですが、江戸訛りは「ひ」が「し」と発音されてしまうからなんですね。

 

・「死」を盗まなければ、人間は「死ぬ」けれど、それを「死」として認識はせず、植物が枯れるみたいに死んでいったんじゃないか、みたいな逸話も、19個目くらいの「なるほど」ポイントでした。

 

・裁判のときにアブラハムが言う「ロシア革命以来、神は不在だ」ってどういう意味!!!!!!!!!(必要な知識がてんこもりすぎる!!!!!!!)

 

・証言台の上であおむけにひっくり返るmono、というか一生さんの頭から尋常じゃない量の汗が流れ出てて心配になりました。そいえばあなた、「天保十二年~」のときも階段の上で真っ逆さまにひっくり返ってませんでしたかね…デジャブ…。

 

・この演目の開幕日が5月24日だったんですが、この飛行機に乗ってたのが524人だそうです。…ってまさかそこ合わせてたの…!?(震)

 

パイロット姿の一生さんが楽に話しかける顔、言葉を失うレベルのかっこよさでそれ以外の記憶が飛びました(真顔)一生さんって顔の造形が決してウルトラスーパー良いわけではないと私は思っているのですが、表情と角度と目線で信じられないくらい魅力的になりますよね…。やっぱ和製ベネディクト・カンバーバッチだなぁ(突然)(私の中でこの2人のポジション同じなので)

 

・monoが楽に触れようとするんですが、多分自分が死んでるから(亡霊だから)触れられないんですよね…楽の頭ぎりぎりのところで撫でようとするのにできなくて切なそうな顔してました(涙)

 

・事故再現シーンのときも、離陸前?に副操縦士(川平さん)になにやら話しかけられて顔をそちらに寄せてる時の横顔があまりにも良くて、許されるならそのへん転がりたかったです(狂)あとセリフじゃない時もぼそぼそ口パクしてました。ヘッドセット越しに管制塔としゃべってる感じ。

 

・事故シーンは、正直前方席じゃなくて後方センターで観た方が断然良いです。フォーメーションがわかるのと、尾翼にいる星の王子様とシェイクスピアがちゃんと見えるので(今回は姿が見えず、声のみ聞こえてきました)

 

・思い出すだけでめっちゃしんどくなりますが、本当に素晴らしいシーンでした。この先会社の会議室とかで、キャスター付きの椅子の大群を見るたびに、この作品のことを思い出しそうです。

 

・あと私しばらく飛行機乗れない気がしてます(トラウマ)そもそも幼少期に「飛行機乗りたくない!!!!!!!!!!」ってずっと言ってたんですが、あれはひょっとしたら御巣鷹山の事故の番組を見たからかもしれないなと、今ふと思いました。そのあと留学したり海外旅行したりで飛行機何回か乗ってるので、恐怖心は克服しましたが。

 

・楽が「生きるよ!」って言った後の、monoのホッとした表情からのにっこり笑顔で泣きました(涙)

 

・締めのセリフを言う前の白石さん、ずっと空を眺めてる橋爪さんを穏やかに見つめてからの「本日はありがとうございました」が良かったです。あの間があったから、こちらも現実に帰ってこれた気がしました。

 

 

欲を言えばもう一度観たかったです。が、1度観るとものすごく後を引きずる作品だったので、2回きりで良かったのかなとも思います。これほど印象深い作品、ミュージカルでもなかなか出会えないと思うので、この状況下で観られて本当に良かったです。多分2021年断トツでMyベスト作品です。

 

最後に一生さん、舞台は年1で出てください(念)

手始めに「天保十二年~」の再演やりましょ!!!!!!!!!!!(わがまま)