*やたらクサいタイトルになってしまったけど、最終回を見た印象がそんな感じだったのでそのまま言葉にしてみました。
朝ドラ。
それは私の人生に縁もゆかりもないまま終わるもの。
の、はずでした。2020年3月末までは。
これまで「わろてんか」に金持ち御曹司役(でしたっけ?)で高橋一生さんが出ようが、「半分、青い」に少女マンガに出てくるようなザ・王子様キャラ(でしたっけ?)で佐藤健さんが出ようが、1ミクロンも興味が湧かず、すべてスルーしていました。
「エール」も、窪田くんはお気に入り俳優の1人だし、二階堂ふみちゃんもいくつか作品を見ていて上手だなと思って比較的好きだったし、何より大好きなミュージカルの世界から役者さんが数名出演されることは事前に知ってはいました。
でも毎朝朝ドラが始まるずーっと前に自宅を出て通勤しなくてはいけなかったため、わざわざ毎日録画するのも面倒だし、録画を見る時間も取れないだろうし、と見るつもりは全くありませんでした。
が、3月末から突如始まった在宅勤務。
毎日往復3時間あった通勤時間がなくなり、早起きの必要がなくなり、朝ごはん中に必ずついていたのが朝ドラだったので(家族に朝ドラファンがいるため)、本当に成り行きで見始めることにしました。
気づいたら途中で挟まれた再放送期間も含め、がっつり8か月間見ておりました!
完全に生活リズムが変わる中で、朝のルーティンの一部として「朝ドラを見る」を取り入れたところ、朝の流れが決まってスムーズに生活の変化に対応できました。ありがたや。
物語としては正直かなり粗も感じました。なので傑作とは思えなかったかな…。
(ただでさえコロナ禍で色々大変だったのに、どうやら本来いたはずの脚本家が早々に降板したとか。そう考えると、そもそも完走できたこと自体が奇跡なのでは…)
特に最後の2週間くらいはやっつけ感がすごかったです。いち視聴者としては娘の結婚ドタバタ劇より、東京オリンピックに向けた楽曲の制作ストーリーをもっと見たかったのですが、このご時世、大勢を集めた撮影もできなかっただろうし、今年開催予定だった東京オリンピックは結局なくなってしまったし、ああいう風にさくっと入れ込むことしかできなかったんだろうと思います。2週分(10話)カットになってしまったのも、相当痛手だったのでは…。
あと私は朝ドラ初心者だったので、特に不思議に思いませんでしたが、朝ドラファンの母に言わせると「エールはちょいちょいふざけすぎていた」とのこと。確かに、再放送の時に初めてしっかり見た第1話の冒頭とか、言いたいことはわかるけども原始時代はさかのぼりすぎだろ…とは思いましたし、プリンス久志vsスター御手洗の回は、なまじ中の人たちの実力を知っているがゆえに「こんなコントみたいな話に使われるなんて…」と、笑いつつもちょっぴり悲しくなったりならなかったり。あのエピソード自体は結構好きでしたけど!
それでも今年は特に暗い1年になってしまったので、このくらい明るい内容のドラマでむしろ良かったと思います。戦争を描いた週はシリアスで考えさせられましたし、全体を通してメリハリがついていたと思います。
また「歌は誰かの力になる」というテーマで一貫していましたが、時にはそれがマイナスの方向に働くこともしっかり描かれていたのが、個人的には好きでした。戦争中に多くの若者が、裕一の作った曲に鼓舞されて戦地に赴く。それを裕一は誇らしく思っていたけれど、もたらした結果はとても残酷なものでした。見ていてつらかったけれど、歌が持つパワーがそこまで絶大なものなんだと、その力の大きさに逆に気づくことができました。
裕一と音夫婦も、天才とその天才を支えるパワフルすぎる奥さん、という感じで、あまり共感はできなかったけれど、こんなに波乱万丈かつ素敵な生き方をしたご夫婦がいらしたんだな~と、ちょっとした憧れすら抱きました(ドラマで描かれていることすべてが本当にあったことではない、と分かった上での感想です)
窪田くんとふみちゃんはやっぱり上手ですね!
窪田くんはコミカルな演技・絶望の淵に立たされる演技、どちらも素晴らしくて演技の振り幅の大きさに改めて驚かされました。
ふみちゃんは演技はもちろん、あれだけの歌い手に囲まれて相当プレッシャーだったと思いますが、誰にも頼ることなく自分自身で歌っていて、その心意気に感動しました。私なら絶対歌吹き替えてもらうもん…(震)
そして私が見ていて1番楽しかったのは、ミュージカル界からさまざまな俳優さんが出演していたこと!
メインキャストの1人・久志を演じた育三郎さんを筆頭に、古川さん、吉原さん、井上さん、堀内さん、小南さん、柿澤さん、そして少しの登場でしたが海宝さんまで…!歌がテーマのドラマだったので、確かに歌も演技もできるミュージカル俳優さんにはうってつけの舞台でした。
しかも今年の、特に前半は、たくさんの演目が中止となり、多くのミュージカルファンが心底がっかりしていたので、テレビを通して活躍を見られたのはとても嬉しかったです。
すっかり「エール」の名物キャラになった、ミュージックティーチャー・御手洗先生を演じた古川さん。どぎつい色のシャツを身に着け、カッと見開いた目で音ちゃんに指導していた登場時のインパクトが未だに忘れられません…。笑
今年は映像作品での活躍が盛りだくさんでしたが、朝ドラでの活躍はかなり影響が大きかったのではないでしょうか!?本来であれば新人オーディションのお話で出番が終わりだったようですが(当時花束をもらってる写真が番組公式SNSに上がっていたはず)、結局最終週までちょこちょこ出演されていましたね。大幅に出番が増えたんだろうなと思いました。
個人的にはミュージカルで拝見する古川さんが一番好きですが、映像作品で培った経験を武器にしてまた舞台に戻ってくるはずなので、その姿を拝見するのが今から楽しみです♪
映像作品では、いつか強烈な悪役とか演じてみてほしいな~…(「下町ロケット」みたいな小物じゃなくて。笑)
そして映像作品にはまず出ないだろう…と勝手に思っていた海宝さん。音ちゃんが出演するはずだったオペラでのお相手役として出演されていました。発表された時は番組表を穴が開くほど見つめ、登場回の朝まで「もしかしたら夢なんじゃないか」と何度も見返してました。笑
実はひそかに「これだけミュージカル界の方が出ているなら、海宝さんも出てくれないかな~」とは思っていましたが、いざ実現するとなると「これは都合の良い夢なのでは」と思い始めるという…。笑
オペラは本職ではないため歌唱法の違いにやや苦労されたようですが、さすがの歌唱力を短い時間で披露されていました。
今後また映像作品には出られるのでしょうか。海宝さんが出るならあの歌唱力を使わないのは本当にもったいないと思ってしまうので、ある意味作品が限られてしまいそうですが…。
カーテンコールのようなコンサートも、とても素晴らしかったです!!最後の最後で話題をかっさらっていった岩城さん(吉原さん)の「イヨマンテの夜」が、あまりにも圧巻すぎて笑ってしまいました…w
あんまりうまく感想がまとまりませんが…。
最終回の裕一のセリフの言い回しを少し借りるのであれば、
初めて見た朝ドラが「エール」で良かった。
そう思えるドラマを、この困難な状況下で最後まで作ってくれてありがとね。
この作品に携わったすべての方にそう伝えたいです。