♪じゃっじゃーん(でーんででーん)♪
ということで、この日は人生初の帝国劇場にて、人生初の「レ・ミゼラブル」を観ました。
ものすごく興味があるか…と言われるとそこまでだったし、2012年に公開されたヒュー・ジャックマン主演の映画版も、ものすごく好きかと言われるとそこまでではないし…という、私の中ではだいぶぼんやりとした立ち位置の「レ・ミゼラブル」。
ただ楽曲はどれも結構好きだったのと、今回の公演では映画版でエディ・レッドメインが演じていた青年マリウス役を、海宝直人さんが演じているということで、1度くらい観てもいいか…と思い、一番安いB席を購入しました。
四季専用劇場以外だと、東急シアターオーブしか訪れたことがなかったため、帝劇の大きさにびっくり。これじゃ2階後方は何も見えないのでは…と思っていましたが、そんなことはなかった(当たり前)
ほぼどセンター、B席の中では1番前、そして目の前が通路だったので視界はひらけてましたし、前の人の頭がーっ!なんてこともなく、かなり快適でした。もちろん表情を観るためにはオペグラ必須でしたが…。
初見なので全体を見ること、各キャラの見せ場(ソロで歌うシーン)や、キャラが1箇所に固まってるところはオペラグラスを使って見ようと心がけました。
全体的な感想。
映画版でも思ったことですが、あまりにも登場人物が多すぎて、一体誰に感情移入していいか分からないまま終わりました。
主人公のバルジャンは別として、各キャラそこまで深く掘り下げるわけでもなく、色んなキャラの場面をあっちこっちという印象。舞台から席が遠かったせいもあるかもしれませんが、俯瞰して物語を眺める…という感じでした。
ファンテーヌはなぜあんなにトラブルメーカー扱いされてるの?とか(ただ美人だからというだけ?他の工場婦からのやっかみ?)、ジャベールがバルジャンに命を救われる→絶望して自殺の流れがいまいちわからなかったり。エポニーヌ、ガブローシュ、アンジョルラスは意外と呆気なく命を落としてたり。
そしてコゼットってあんなちょっとだけしか出ないんですね??
逆にマリウスと、テナルディエ(旦那)の出番の多さにびっくり。マリウスは分かるけど、コゼットの倍くらい出番があったテナルディエの旦那。
ちなみにもしレミゼに出られるなら、エポニーヌかテナルディエの旦那をやりたいです。でもコゼットになって、♪私の人生が始まったっ!そんな感じっ♪って歌ってみたい気もします。そんな感じってどんな感じなんですかね。
あとこれも映画版と同じことを思ったんですが、本当に全部が全部歌なので、例えば手紙読むとことか早口すぎてちょっと笑えました。ただでさえ英語でも面白かったのに、日本語だとさらに歌詞のすわりが悪くて、無理矢理詰め込んだんだな~と。
というわけで、とても良い作品を観たな~と思う反面、正直当時は「今すぐもう一回観たい!」とは思えない作品でした。ただ劇団四季にはない生オケの迫力と、出演されていた俳優さん全員の歌が素晴らしかったので、また再演となったらキャストを吟味して1回は行こうかな…とは思いました。ヤンジュンモさんのバルジャン、海宝さんマリウス、昆さんエポが素晴らしかったです!!
以下、主なキャスト別感想。
【ジャン・バルジャン:ヤン・ジュンモさん】
・めっっっっっっっっっっっっっっちゃくちゃ素晴らしかったー!!!!
素晴らしい、以外の言葉が見つからないくらい素晴らしかったです(語彙力)
・本当に舞台上で「ジャン・バルジャン」の一生を生きていたジュンモさん。歌は言わずもがなですが、演技がものすごく心に沁みました。司祭さんに助けられた時の「俺はいったい何をしているのだ!!」という悔いの表情、ちびコゼットに対する本物のパパのような温かい笑顔、執拗に迫るジャベールへの態度の変化、コゼットをマリウスに託して天に召される時の表情…どれもリアルで圧倒されました。
・特にコゼットが結婚して一気に老け込んだ時のシーン。さっきまであんなに力強かったヤン・バルジャンが、見た目だけでなく声までも、こんなにもやつれるものかとびっくり。声がかすれていて(でも何を歌っているかは明確に聞こえるのがすごい)、足元もおぼつかなくて…。
・結婚式から駆けつけたコゼットに対して、安心させようと穏やかに微笑むヤン・バルジャンに泣きました。いとおしそうにコゼットの頬をなでたり、手を握ったり、ちょっぴりふざけて鼻をつまんでみたり。命尽きる寸前まで、コゼットの笑顔を見ていたい気持ちが十二分に伝わってきました。今でも思い出しただけで涙出てきます。
・カーテンコールで清水コゼットと手を繋いだときに、ヤンさんが清水さんの手の甲に軽くキスしてて、2人でニコニコしている様子を見て、全力で拍手しながらまた泣きました。
・初見にして完璧!と思えるくらいの素晴らしいヤン・バルシャンでしたが、強いて言うならさ行の発音にやや弱そうでした。これはもう母語が異なるから仕方ないですし、むしろ母語じゃない日本語で舞台に立つなんてとんでもなくすごいことなのですが、「あいつはすべて〜」が「あいつはしゅべて〜」になったり、「聖なる〜」が「しぇいなる〜」になったり、ところどころちょっぴりキュートな発音になっていました。
【ジャベール:岸裕二さん】
・私がレミゼで一番共感できないキャラ、ジャベール氏。もはや演じる役者さんがうまかろうが下手だろうが、彼の気持ちは理解できない気がします。
・岸ジャベールは、「自分の職務」としてバルジャンを追っていたのが、いつの間に彼を追いかけることが生きがいみたいになってしまっていて、しかもその事に最後まで気づいてない…みたいな印象でした。
・だからこそ「悪人」であるはずのバルジャンに命を助けられ、自分が今までしてきたことは何だったのかと、混乱しながら自らの道を断ち切ったのでは?と思いました。
・岸ジャベールはヤン・バルジャンに負けないくらいの美声。ヤン・バルジャンの恰幅が良かったので、怖さはあまり感じなかったかも?そして脳裏にときどきラッセル・クロウがちらつきました(映画版ジャベール)
・バルジャンがファンテーヌを看取ってるシーンを、その2人が視界に入るようにオペグラでのぞいてたら、突然♪バルジャーン♪って視界の外から岸ジャベールが登場したのが、個人的ハイライト(笑った)
【ファンテーヌ:和音美桜さん】
・見るからに「薄幸の美人」(*褒めてます)すごく松雪泰子さんっぽい。というか映画「容疑者Xの献身」の松雪泰子さんっぽい(細かい)お名前のとおり、儚げ美人さんでした。
・工場でも娼婦たちのすみかでも、全く居場所が見つからないのが見ていてつらかったです。美人ってだけであんなに疎まれるのか…。ところで長い髪が一気に丸刈りみたいになってたのはどういう仕掛けだったんでしょう?
・♪夢やぶれて♪は、歌の位置が映画と違っていて、娼婦になる前に歌っていたためか、あまり印象に残らず。唐突感がすごくて「ええ?!もう歌っちゃうんですか!?」とびっくりでした。逆に死にゆくバルジャンを迎えに来る時の歌声は、まるで天使のようでとても素敵でした。
【コゼット:清水彩花さん】
・思ったより出番が少なめなコゼット。ということはその少ない出番でお客さんにインパクトを残さなきゃいけないわけで、何気に難しい役どころなんだろうなぁと。下手すると1人だけ、やたら能天気に生きてるみたいに見えますし(幼少期はつらいけども)
・清水コゼットは、マリウスとの恋に舞い上がっちゃう一方で、バルジャンのことを一身に愛して気にかけるところもきちんと伝わってきて、恋心と娘心(?)のバランスが良かったです。バルジャンの死を看取る場面の彼女の演技に私の涙腺の栓が抜けました(洪水)だって本当にいとおしそうにするんだもんんんんんん(号泣)
・コゼットは他の2人が今回デビューで、写真を見た感じとっても初々しくて、清水さん若干年上感があるなぁと失礼ながら思っていたのですが、写真で見るよりも舞台上で演技されている方がよっぽど魅力的でした。本当に大事にされて育ったんだな~っていうお嬢様感がいい意味でしっかり出ていましたし、歌も演技もうまいし、今回の公演のマリウス、コゼット、エポニーヌは最高の組み合わせでした(初見なのに)
【マリウス:海宝直人さん】
・いいとこのお坊ちゃまみたいな雰囲気がある海宝さん(※私の勝手な印象)なので、マリウスはさぞかし似合うんだろうなぁと思っていました。案の定はまり役でした。コゼットと結婚式で踊るシーンなんて、どこぞのディズニープリンスかと思ったくらい。
・噂の♪僕は飛ぶよ虹の空へ〜♪(喜びのジャンプっ!)も面白すぎましたが、個人的には
エポにコゼットの家の前まで連れてこられる
→門の前に立ちつくし、コゼットをガン見
→エポニーヌに無理矢理腕を引っ張られて門の陰に消える
この一連のシーンが面白すぎて笑いをこらえるのに必死でした。立ちつくしてる時のポーズが……なんだかおかしすぎて……笑
あとマリウスくん、ものすごくナチュラルに不法侵入してますよね(というツッコミが野暮なのは認めますが、どうしても気になった)
・エポニーヌが亡くなったあとの落ちこみ具合も相当でしたが、ガブローシュが亡くなったのを目の当たりにして、凍りついたような表情になっていたのと、完全に体がすくんじゃって動けなくなっていたのが印象的でした。
・あと結婚式に現れたMr. テナルディエに向かって、歯を食いしばりながら怒ってたのも印象に残りました。あとこれまで一度も人を殴ったことなさそうな人の殴り方。笑
・下水道でバルジャンに引きづられてる時の、海宝さんのあまりの足の長さに、笑うところじゃないのにちょっと吹きました。めっちゃ細長かったな…。
・歌は相変わらず上手かったです!!でも全体的にあんまりインパクトが感じられなかったのは、カジモドを見てしまったからなのかもしれません…。
【エポニーヌ:昆夏美さん】
・今回一番見るのを楽しみにしていた昆エポニーヌ。なにせ私、エポニーヌ過激派なもので。映画版のサマンサ・バークスのエポニーヌが大好きなんです。昆エポはサマンサエポに雰囲気が似てるなと感じました。
・育った環境のせいでヤンキー娘みたいになってるけど、小動物みたいな可愛さもちゃんと残っててすごく好きです。全然振り向いてくれないマリウスへの一途さも泣ける…。マリウスにいちいちちょっかい出すのも可愛すぎたし、マリウスに触られたところにそっと触ってはにかんでるのとか可愛すぎた(語彙力)
・そして歌が!!!むっちゃ上手いという!!!実写版「美女と野獣」のサントラを頻繁に聴いてたから知ってたけど!!!他の演目でもぜひぜひ見てみたい役者さんになりました。
【アンジョルラス:相葉裕樹さん】
・アンジョルラスって、あんまりしっかりしすぎてる人が演じると、うっかり革命が成功しちゃいそうですが、相葉さんはカリスマ性を感じさせつつ未熟さもまだまだある、「若気の至りで革命起こしちゃった」感じがあって、私の中のアンジョルラスのイメージにぴったりでした。
・元々戦隊モノに出演されていたらしく、何となく納得しました。すごく華のある俳優さん。歌も上手かったし、今年レミゼデビューとは、言われなければわからんレベルでした。海宝マリウスと並ぶと、顔面偏差値の高さで革命起こせそうでした。
【テナルディエ夫妻:橋本じゅんさん、谷口ゆうなさん】
・劇中のコミカルなパートを全て請け負ってるので、地味に大変そうなお2人。
・Mr. テナルディエの橋本さんが、ちょいちょいアドリブっぽい小芝居やセリフを挟んでたのが面白かったです。ジャベールに向かって「すみませんっすみませんっっ」って早口&小声で謝ってるの笑ったなぁ…。笑
・マダムテナルディエの谷口さんは、ちびコゼットに対する当たりが強すぎて怖かったです。
最高のキャスト陣で観られた、人生初の「レ・ミゼラブル」でした。