Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.6.8 劇団四季「ゴースト&レディ」マチネ公演:大好評の作品ですが…

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「バケモノの子」以来の劇団四季発オリジナルミュージカル。同名マンガを舞台化して、大好評を博している「ゴースト&レディ」を、開幕から少し経った頃に観劇しました。

 

そもそも上演が発表されたときはそんなに興味を持てず。でも「バケモノの子」(未見)よりは興味が持てたので1回は観にいこうか…と思い、7月中旬にチケットを取ってました。

 

が、ゲネプロの動画を見て「もしかしたらわりと好きなタイプの作品かも…?」と感じたため、チケットを探し直してMy初日を前倒ししました。

 

自分のタイプの作品かも?と思ったポイントは2つありました。

 

①何もかも相反する者同士のバディストーリー

②ゴシック&ダークな世界観


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で、初見の感想としては…びっくりするくらい刺さらなかったーーーーー!!!!!

 

面白い作品だなとは思ったんですが、自分の感情を動かされる部分が全然なくて逆にびっくりしました。もう一回観たいか…と言われると非常に微妙で、このあと千穐楽の配信がありましたが、結局見ずに東京公演が終わりました。SNSでは観た人ほぼ全員絶賛してるんじゃなかろうか…と思うくらいの好評っぷりなので、多分私の感性がバグってるんだな(真顔)

 

個人的にいいなと思ったところ。

 

・世界観や演出は、予想通りわりと好きでした。特に演出はマンガを忠実に再現するためか、イリュージョンのような仕掛けを使ってるシーンもあり、まるでマジックショーを見てるかのようなワクワク感がありました。

 

劇中にある幽体離脱のシーン、仕掛けは本当にシンプルなものだと思うんですが、いきなりあれを見せられたら「え、本当に離脱した…!?」って錯覚するレベルで自然な演出でした。

 

フローが天に召された後、無数のランタンが劇場の天井いっぱいに浮かんでるのも、とても幻想的で美しくてインパクトがありました

 

終盤のゴースト同士(グレイとデオン)が戦うときのフライングは…すごいなとは思ったものの、ちょっと不自然さもあったかな…。

 

・舞台セットもなかなか凝ってました。劇場の舞台の上にさらに劇場があるって、すごく夢のあるセットだな(?)あと開演前に幕を写真で撮ったら、ものすごく不思議な質感に見えました(↓こちらです)


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・デオンのキャラ設定。まさか男装の麗人だったなんて…!推し役者さんの宮田デオンがとにかくかっこよくて、2幕は終始うはうはしてました(やめなさい)

 

逆にあまりハマれなかったところ。

 

・フローとグレイの関係の深め方。最後にグレイがフローをかばって消えてしまうシーンで全然グッとこなかったのは、関係性の描き方にそこまでの深みを感じなかったからだと思います。

 

これは私の感性の問題な気がしますが、もっともっと2人の関係性にフォーカスしても良かったのでは…。どちらかというとフローが看護の世界で奮闘するのを、グレイがずっと見守ってる、って感じだったので。

 

あと悪役はジョン・ホールとデオンで分けたからなのか、ヴィランとしてはデオンのインパクトが強くて、ジョン・ホールはなんだか心の狭いおっさんみたいな印象だったんだけどそれで良かったんだろうか…。

 

・音楽。なぜか1曲も印象に残らなかった…。もうこれは個人の好みだからなぁ…。ミュージカルは、内容がアレでも曲が良きゃなんとかなると思ってる乱暴なヲタクなので…。

 

・エイミーとボブって、この作品に必要だったかな…。ちゃっかり2人結婚しててなんで…ってなっちゃいました。

 

ちょっと期待してただけに、自分の好みに合わなくてしょんぼりしてしまった3時間でした。

2024.5.25 劇団四季「オペラ座の怪人」マチネ公演:はじめまして!岩城ファントム

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今期3回目の「オペラ座の怪人」、2021年の秋劇場からずっと清水ファントムしか観てなかったので、岩城ファントムも観たいなと思ってたらちょうど登板週に当たりました(ガッツポーズ)


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座席は3階席の最後列センターブロック通路側。一番後ろ&通路側なので、のーんびり楽しめました。

 

なぜか中学生くらいの子たちが結構たくさんいて(私服だったけど学校団体だったのかな…?)、1つ前の列にもその子たちがズラッと並んでおりましたが、とってもマナーが良かったです。幕間は作品の感想や気づきを、みんなでわいわい話し合ってていいなぁと思いました。あの年齢でミュージカルに出会ってたら良かったのになぁと思うこと、たまにあるんですよね…。

 

未見だった岩城ファントムに注目して観た回だったので、藤原クリス&岸ラウルの細かい感想は省きますが、一見するとちょっと歳の差があるように見えるこのペア(というか、実際かなりの歳の差なのでは)、お芝居の相性が良いなと感じました

 

あとオーケストラとカンパニーの息が合ってきた気が…!開幕週に観たときは全体的にスローな感じでしたが、今回はその違和感がなく、しっかり役者さんの息に合ってたように聞こえました。


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キャスト別感想は岩城ファントムのみ。

 

オペラ座の怪人:岩城雄太さん】

・私の中のデフォルトが清水ファントムなので、終始「!?」ってなりながら観劇してました。

 

演じる人によって同じキャラクターでもやや変化する、というのは、それなりに観劇してきてもう百も承知なのですが「このキャラの、こういう側面を出したお芝居もありなんだなぁ」と、改めて「お芝居」の奥深さを感じました。

 

・岩城ファントムの印象:クリスティーガチ恋同担拒否オタク

(各方面から怒られそう)

 

別にこれ、面白がってこう書いてるわけではなく、岩城ファントムから受ける全体の印象を私が持つ語彙で表現するとこうなりました。

 

なんというか…クリスティーヌに恋をしてるのはもちろんなんですが、『男女間の恋愛感情』というよりは、オタクがアイドルを崇拝するような、自分の理想を汚されたくない・神聖であってほしい、という気持ちが強いような印象を受けました。

 

というのも、ちょいちょい「オタク仕草」みたいなのが見え隠れしてたんですよね。例えば1幕、自分のマントを気絶したクリスティーヌにかけてあげた岩城ファントムが、彼女の顔を見下ろしながら「お、推しが目の前に…!」みたいに、両手を口元に当てて感無量の表情してたんてす。それ、オタクがやるやつなんよ(ヲタクより)

 

2幕でも、再びクリスを地下室に連れてきて花嫁のベールをかぶせた岩城ファントムが、「ウワッ……ぼくの推しかわいすぎん?」みたいに、また両手を口元に当てて感無量の表情してたので、さすがにちょっと笑っちゃいました(身に覚えがありすぎるヲタク)

 

・ラウルに対しても、「自分の好きな人を横取りしようとする男」というよりは「自分の美しい偶像を汚す俗世にまみれた男」みたいに嫌悪して、クリスティーヌから引き離そうとする印象でした。嫉妬…と言われればまぁそうなんですが、いわゆる三角関係のそれとはちょっと感覚が違ったような…。

 

・歌声は思った以上に軽い声質で、あまり声での制圧力は感じませんでした。一歩間違えたらコメディになりかねないような声で表現されていて、不気味さがありました。

 

・笑い方が独特で、全部の笑い始めになぜか「ヌ」が入るので\ヌワッッハッハッハッ/みたいな感じに聞こえました。全体的にクセ強ファントム…?

 

・2幕の地下室シーン、首に縄をかけたポーズをしながら歌う岩城ファントム、質が悪すぎる…!そういう煽り方もあるんですね勉強になります(?)

 

・クリスにキスされた後の時差びっくり、岩城ファントムもやってたからあれはやっぱり時差びっくりなんだな(??)

 

・2幕のラスト、ベールを抱きしめながらずっと「アイラブユー」って呟いてたんですが、あそこのお芝居は各ファントムに任されてるんですか!?「クリスティーヌ」って呟くのがデフォルトだと思ってました…!

 

・かなり面白い役作りではありましたが、個人的に好みかと言われると…………でした(察してください)

 

・岩城ファントムを観て、「あ、あれは清水ファントムならではの芝居だったんだな」と気づいたところメモ。

① 1幕でクリスティーヌに仮面をはがされるシーン、♪醜くゆがんだ私の顔~♪で、なぜか右手だけ使ってほふく前進する。

(岩城ファントムは両足使ってたので、クリスティーヌに近寄るスピード早かったです)

 

② 2幕の♪わが身を閉ざすのはなぜなのか♪でクリスティーヌの手首を掴んで♪すべての苦しみは醜い顔にある~♪で、クリスティーヌの手を自分の頬に触れさせる

(岩城ファントムは、クリスティーヌの手首をつかむのはやってたけど、そのあと特になにもせず掴んだままでした)

 

③ 2幕の地下室シーンでめちゃくちゃ挙動不審

(岩城ファントムもまぁ挙動不審ではあったんですが、やたら動きが多いのは清水ファントムに軍配が上がりそうでした)

 

いや~「オペラ座の怪人」っておもしろいですね!!!!!!!!!!!!!!!(ヲタクの叫び)

2024.5.24 ミュージカル「この世界の片隅に」マチネ公演:日本語だからできた表現

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この世界の片隅に」、周作さん以外のWキャストをもう1つの組み合わせで観ました。

 

前回は座席が2階席後方のサブセンターブロック、今回は1階席前方下手の壁席でしたが、圧倒的に2階席の方が良かったです。

 

特に1幕の前半にある呉の空襲のシーンは、2階席からだとものすごく印象的でした。というのも、赤い照明が劇場の天井に反射して、まるで客席も燃えてるかのようなシーンになってたんです。日生劇場の天井は、平面ではなくうねうねしてるんですが、それがうまい具合に「燃える」照明との相性がぴったりでした。

 

あと壁席は、舞台正面に向かって斜めを向かないとまともに観られず、本当に首が痛かったです…。

 

そしてもう一つ、隣に座ってた恐らく私と同じ役者さんのファンの方、リピーターなのか何なのか知りませんが、冒頭から延々泣いてるし、お目当ての役者さんが出てくるとオペラグラスを激しく上げ下げするし、曲に合わせて縦ノリするしで、最悪でした。同じ役者さんを応援する身として恥ずかしすぎます。ここあなたの家じゃないんですけど!?

 

組み合わせ的にも前回の方が好みでした。リンさんはWキャストどちらも方向性が全然違ってて、いいなと思ったんですけど…。

 

楽曲は、戦時中に開かれたお花見で歌われる曲がすごく好きでした。おそらくあのメロディーラインに切なさを感じるのって、日本人特有な気がするんですよね。特に音楽詳しいわけじゃないので邪推ですが。

 

歌詞も♪花びら ひらり ひらり♪のように、日本語ならではの擬音を使ってて、日本発のオリジナルミュージカルだからこそできた曲だなと思いました。


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昆さんのすずさん、あえて映画やドラマのすずさんのイメージの踏襲を避けてるのかな?と思うような役作りに感じました。

 

素朴な出で立ちは、大原すずよりはしっくりきてましたし、歌の安定感だったら昆すずかなと思ったんですが、観ていて感情を揺さぶられたのは大原すずだったかな…。

 

すずさんが醸し出すのんびりとしたオーラは、少なくとも大原すずの方が個人的には好きでした。昆すずは大原すずと比較すると、もう少ししっかりしてそうだったな…。

 

海宝周作は、共演回数の多い昆すずとの回だったからか、前回よりもやわらかい雰囲気をまとってるような印象でした。なので「周作さん」としてのキャラクターであれば、前回の大原すずとの組み合わせが好きだったかな…。

 

この2人は過去作であまりにも多く組んでるので、ファンから支持されてるのはすごくよくわかるんですが、正直私はちょっと食傷気味だったり…。2人とも、もっと別の役者さんと組んでる姿を観てみたいです。

 

Wキャストどっちもいいな!って思ったのはリン役のお二人。

 

平野さんは早熟な女の子&色気駄々洩れで、すずさんとはそれほど歳が離れていないけど、遊女としてあれこれ乗り越えてきた分の人間力がついて、お姉さんに見えるリンさん。

 

一方桜井リンさんは、結構あっけらかんとしたオーラをまとっていました。これまでの苦労は決して人には見せず、一見カラッとした雰囲気を持っていて、すずさんと歳が離れていないんだなというのも、見た目や言動からわかりました。どちらもとっても魅力的なリンさんでした!

 

水原役の小野塚さんもなかなか素敵でした。ぶっきらぼうで不器用な感じが、表情とちょっとした仕草から伝わってきました。

 

音月径子さんの熱演っぷりには、この回も心を打たれました…。♪自由の色♪ラストの表情は、哀しさと「すずさんと和解できた」少しの安堵感が入り混じった、なんともいえない泣きそうな表情をされててグッときました。

 

他にシングルキャストで素敵だなと思ったのは、すずさんの妹役の小向さん。今回初めて知った役者さんなんですが、聞きやすい声質で、とてもかわいらしい雰囲気をまとった役者さんでした。今後の活躍をチェックしたい…!

(と思っていたら、『next to normal』のナタリーに小向さんが抜擢されました!嬉しい!)

2024.5.22 ミュージカル「この世界の片隅に」マチネ公演:何度も描かれるべき物語

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この世界の片隅に」は2018年のTBSドラマと映画、2つの映像化を見ていて、いい作品ではあるけれど、どうしたって悲しくなるし何回も見るものではないなぁと思ってたので、ミュージカル化が発表されたときは正直「え、ミュージカルになるの?」としか思えず。海宝さんが出演するならWキャストで1回ずつは観るか、くらいの低めのテンションで臨みました。

 

実際観てもこの気持ちはあまり変わらず、1回の観劇でも十分だったかなと。いい作品ですし、あらゆる形で語られるべき話かもしませんが…。

 

個人的にはドラマが1番良かったです。そりゃ3ヶ月かけて丁寧にじっくり描くので、3時間にすべてを収めなきゃいけないミュージカルとは比べちゃダメな気もしますが…。

 

役者さんはみなさんポテンシャルの高い方ばかりで、見ごたえがありました。そしてアンサンブルキャストに川口竜也さんがいらっしゃってびっくり。「レ・ミゼラブル」「ノートルダムの鐘」ではプリンシパルキャストでしたが、あそこまでのベテラン役者さんになっても、アンサンブルさんを引き受けることもあるんだなぁ。

 

ドラマと映画でこの作品に触れたことがあったので個人的には問題なかったんですが、構成がかなり微妙だったかも…?1幕は手を失った状態の今のすずさんと、過去の回想がいったりきたりするので、ミュージカルで初めてこの作品に触れた人は「?」になる気がしました。冒頭だけ現代シーンにして、あとは普通に過去から順に描いていけば良かったのでは…?

 

あと1幕が昼ドラの修羅場みたいな場面で終わったの、あれでいいんか?(真顔)

 

楽曲はどこかノスタルジックで曲のジャンルもさまざま。何より日本語で紡がれる歌詞がとても美しかったです。はじめから日本語で制作される強みを感じました。

 

ただしメロディが残るのはメインテーマくらいでした(※個人感)あと隣組の歌がやたら長くてまだやるんか…ってなっちゃったし、少なくとも2幕にあの曲を使うのは、コミカルなメロディとシリアスな場面のギャップを狙ったのかもしれませんが、個人的にはあんまり好みではなかったです。


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大原櫻子ちゃんのすずさん、映画のすずさんにそっくり!広島弁でのーんびり話すトーンと、感情むき出しの強い歌声のギャップが印象的でした。

 

元々ポップスシンガーなだけあって、歌うときの節回しなのか、声の操り方にいい意味で「大原節」を感じて、唯一無二のすずさんを作ってるなと。戦時中の格好をしてても、ビジュアルがとっても華やかな方なので(顔がちっちゃくて目がおっきくてキラキラしとる…!)、若干垢抜けすぎてる感はあったかもしれません。

 

周作さんに遠回しにデート誘われたときの「しみじみニヤニヤしとるんじゃ〜!」の言い方と、妹のすみちゃんとのほっこりした会話での、ほんわかした雰囲気のお芝居が特に好きでした。かわいすぎてこっちまでニコニコしちゃう…!

 

周作役の海宝さん、華やかな役もこういった朴訥とした役も似合うよなぁ…。出番はそこそこ、ソロはなしという、ファンとしては微妙な感じではありましたが、お芝居がしっかり見られたのは良かったです。あんなに歌わない役、朗読劇を除いたら「道」以来では?

 

周作さんは基本的に何を考えてるかわからんポーカーフェイスキャラですが、海宝周作は徐々にすずさんを見つめる瞳に熱がこもっていってて、「レ・ミゼラブル」のマリウスみたいにわかりやすく恋に落ちるのもいいけど、秘めた想いをふつふつと高ぶらせていくのもいいですよね(誰)

 

平日マチネが12時45分にも関わらず、8時に出社して12時にあがって爆速で日生劇場に駆けつけた理由が、せっかくだから四季退団後の小林唯さんと海宝さんの共演を見たかったからなんですけど(長文)、彼も歌は少なかったものの、さすが四季でいくつものプリンシパルを担った役者さんといえるパフォーマンスでした。

 

絵を書くことに夢中になってるすずさんを愛おしそうに見つめて、すずさんが自分の方を向きそうになるとぷいっとそっぽ向いちゃう姿に悶絶(やめなさい)

 

平野綾さんのリンさんもめちゃくちゃ良かった…!すずさんとあまり変わらない年齢(という設定)なのに、すでに世の中の酸いも甘いも噛み分けてしまった早熟な女の子、という雰囲気が、色気と混じってすごい魅力的に見えました。あんな子が自分の旦那の元カノです〜って出てこられたらそりゃ病みますわ(真顔)

 

音月桂さんの径子さん!2幕の1番つらいシーン、あれを1日2回も演じてるなんて信じられません。悲痛な叫びのあと、到底お芝居とは思えない嗚咽を漏らす声に思わずもらい泣きしました。

 

2024.5.11 劇団四季「オペラ座の怪人」マチネ公演:KAATの天井席から眺めるオペラ座

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月曜日のキャスト変更で「清水ファントム×海沼クリスティーヌ」の組み合わせが来たので週末の立見席を買ったら、前日の夜に海沼クリスから藤原クリスにキャス変…(Oh…)でも代わりに(?)岸ラウルが戻ってきてくれたので(週半ばまで宇都宮ラウルでした)結果的に観られて良かったです!

 

開幕週は妙に全体がおとなしく感じたのは私の錯覚だったのか、それともやっぱりラウルが新キャストさんだったからなのか、今回は秋劇場のときのボルテージがちょっと戻ったかなと感じられる回でした。2023年のオペラ座大阪公演は観劇していませんが、この3人の組み合わせはちょいちょいあったようなので…。

 

岸ラウルが大人なラウル(?)なので、清水ファントムがかなり容赦ない感じになってて「これこれー!」でした。やっぱり宇都宮ラウル相手だとまだどう出ていくかが定まってなかったのかも…?(藤原クリスも同じく)

 

ものすごーーーく久々に立ち見で観劇しましたが、舞台から1番遠い位置の立ち見だったこともあり、自分の右隣には誰もいなかったので、思ったよりも楽に観劇できました。

 

ファントムが出てないシーンは座ろうかと思ってましたが、結局全編立ったまま観ました。もちろん立ちっぱなしは疲れましたが、許容範囲内の疲労ではあったかな…。ちなみに靴はぺたんこのフラットシューズでした。

 

舞台下手端っこが完全に見切れる位置だったので、例えば♪POTO♪の「歌え、私の音楽の天使よ!」の2人はほとんど見えなかったです。

 

ペガサス像から出てきて歌うファントムは意外と見えたんですが、墓場のファントムは胸元から下しか見えず、冒頭のオークションでのオークショナー(?)も全く見えずでした。あと♪POTO♪の地下室へ向かう階段上のファントム&クリスティーヌも見えなかったかな?

 

でもその他のシーンは問題なく楽しめましたし、前に人がいない分全体が見渡せました。舞台上とマエストロとのやり取りや、マエストロの指揮も見えたので、初見でなけれこの席はかなりコスパいいなと思いました。土曜マチネで5,500円だもの…。


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 以下、キャスト別感想です。

オペラ座の怪人清水大星さん】

・1幕は前回とあまり変わらない印象でしたが、2幕の芝居のテンションは明らかに前回よりも上がってました。秋劇場でのデビュー直後の清水ファントムを感じる瞬間が何回かあって、圧倒的に前回の演じ方よりも好きでした。きっと歌とお芝居の比重をいろいろ試してるんだろうなぁ…。

 

・座席の位置のせいなのか、鏡の中で待機する清水ファントムの姿がチラ見えしてたので凝視しました(こら)

 

・♪POTO♪の♪いとしーいーひーーとよーーー こーーよーーいもーーーーー♪を聴いた瞬間、1週間の仕事の疲れが吹っ飛び、チケット取って良かったぁぁぁぁぁって拳を天に向かって突き上げたくなります(落ち着け)

 

・1幕ラスト、2幕ラストと、クリスとラウルのデュエットパート→ファントムのパートになりますが、それぞれクリスとラウルは全く同じことを歌っているのに、それを受けてのファントムの反応はまるで違ってるのが、クリスの「愛」を受ける前後の比較としてうまく作用してるなぁ…と、ALW御大の天才っぷりにまた一つ気づきました。

 

・2幕の♪PONR♪からラストまで、清水ファントムの歌もお芝居も超絶良かった~~~~~~~~~~!

 

・♪PONR♪は、本当に一度でいいので黒装束なしの芝居を見てみたい…。あのフードの下でどんな顔してるんだろう清水ファントム…。

 

・♪PONR♪は顔が見えないので手を眺めるしかないんですが、手の仕草がスーパーセクシーすぎて困ります(?)

 

・クリスに仮面を剥がされた後、一瞬戸惑ってちょっと周りを見渡す清水ファントムの表情がなぜか印象的でした。そこまで追いつめられることが今までなかったから、不意を突かれたような顔をしていたような…。

 

・クリスを再び地下室に連れ去るボートの中で、清水ファントムが藤原クリスの手を強引につかんで♪すべての苦しみは醜い顔にある♪で自分の顔に触れさせてて…。もはや自分の外見も内面も、醜い部分はすべて見せてしまおうとするの、悲しすぎます…。

 

・♪人殺しを捕まえろ♪というコーラスが聴こえてきて怯えたような表情になるのは、秋劇場から変わってなくて好きなポイントです。その後の「クリスティーヌなぜ…なぜだ!」の言い方は、以前は怒ってる印象でしたが、今回は嘆きの感情が強かったです。

 

・クリスを地下室に連れてくるとき、めちゃくちゃ唸り声あげてて怖かった…。そんな乱暴に突き飛ばしたら藤原クリスすっ飛んでしまう…。

 

・♪血に呪われた運命 醜くゆがんだこの顔 それが私をこうした…♪は、フレーズごとに「怒」から「哀」にシームレスに変化する声色がお見事でした(拍手)このフレーズの後だったか、クリスに顔を背けられてものすごく傷ついた顔してて切なすぎました…

 

・藤原クリスの必殺技:ド直球正論(♪醜さは~顔にはないわ~~♪)を投げられた清水ファントムの狼狽っぷりがかわいすぎる件。絵にかいたような挙動不審っぷりに、全然笑うシーンではないけどなんか「ふふっ」ってなってしまいます(こら)

 

そしてそんな清水ファントムとなんとか目を合わせようと、彼の瞳の動きをずーっと追いかける健気な藤原クリス…。ここで「あ、この組み合わせも素敵だな」と思えました。1幕と2幕ラストでの力関係の逆転という点でいうと、ものすごくギャップを感じました。

 

 

・地下室シーンでの岸ラウルへの煽り方が「それ秋劇場でも観たやつー!!!!!」ってニコニコしてしまいました(満面の笑み)

 

・クリスからのキスに時差でびっくりする表情、今回もありました。やっぱりあれは驚きが遅れて来てる反応ってことなのかな…?

 

・カーテンコールでは、藤原さんと顔を見合わせてニコニコ、岸さんとも顔を見合わせてニコニコしてたのでハッピーエンドでした!!!!!

 

【クリスティーヌ・ダーエ:藤原遙香さん】

・緊急登板なはずの藤原クリス、なぜか前回より今回の方が断然良かったです…!

 

前回観たときは「素敵だけど個人的には海沼クリス一択だな~」と思ってたのが、完全にひっくり返されました。確かに私の好みとしては海沼クリスなんですが、藤原クリスも負けず劣らず素晴らしいなと思えました。

 

・声の厚みが増してませんでしたか!?前回観たときは、高音にいけばいくほどか細い声になってるなぁと感じたんですが、今回はきちんと天井席まで声が伸びる印象を受けました。

 

・これは前回も「いいな」と思ったポイントでしたが、クリスティーヌというキャラクターが物語を通して「成長してる」と感じられるのは、藤原クリスの良いところだと思います。

 

登場時はふわふわして現実を生きていないような女の子だったのに、2幕ラストの地下室で、ファントムに対してまっすぐ向き合う姿を見せてくれるので、クリスティーヌが「2人の男の間でふらふらと揺れ動くヒロイン」ではなくて、「守られるヒロインから守るヒロイン」へと変化していることをうまく表現されてるなと。お芝居がものすっごく細かい印象は正直あまりないんですが、元々持っている雰囲気でそれを表現できてるんだろうと思います。

 

・あとやっぱり「父」の存在が、なぜか藤原クリスだと大きく感じます。

 

前回と今回観て、クリスティーヌが言う「パパが天国から遣わしてくれたエンジェルオブミュージック」って、よくよく考えたら変な話だよなと。クリスのお父さんは、一体何を根拠に「自分が亡くなった後、音楽を教えてくれる人物をもたらす」なんて自分の娘に伝えたんでしょうか…。

 

生前すでにファントムと出会っていて、自分の代わりに見守ってほしいと頼んだのかな(で、見守っているうちにファントムはクリスに恋心を抱いてしまったとか?)

 

「自分が亡くなっても、天国からお前を見守ってるよ」とかならわかるんですが、誰かを遣わすなんて普通は言わない気が…。このあたりはもしかしたら原作小説を読めばわかるのかもしれないですね。

 

・♪PONR♪の藤原クリス、まじで良すぎる~~~~~~~~!!!!!!!山本クリスの♪PONR♪大好きマンなので、同じ雰囲気を感じさせてくれて最高です。お顔立ちは小動物っぽくてかわいらしいのに、一挙に色気満点になるのでにこにこしながら観てしまいます(変態)

 

【ラウル:岸佳宏さん】

・お、大人だ~~~~~~~~!!!!!!!(?)

 

・ラウルは光田さん→加藤さん→宇都宮さんと観てきて、岸さんが4人目のラウルでした。一番物腰がやわらかく頼りがいのありそうなラウルでした。

 

・恐らくベテランの域に入る役者さんってこともあってなのか、歌もお芝居も安定していました。

 

・♪マスカレード♪のダンスが超キレッキレ!元々はダンサーさんなのでしょうか?

 

・大人なラウルではあったものの、「クリスに危害を加えるものには容赦しねぇ!」という圧もあり、ただただ優しいだけじゃない一面があるのも良き。海沼クリスとの組み合わせもぜひ見てみたいです…!