Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.5.24 ミュージカル「この世界の片隅に」マチネ公演:日本語だからできた表現

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この世界の片隅に」、周作さん以外のWキャストをもう1つの組み合わせで観ました。

 

前回は座席が2階席後方のサブセンターブロック、今回は1階席前方下手の壁席でしたが、圧倒的に2階席の方が良かったです。

 

特に1幕の前半にある呉の空襲のシーンは、2階席からだとものすごく印象的でした。というのも、赤い照明が劇場の天井に反射して、まるで客席も燃えてるかのようなシーンになってたんです。日生劇場の天井は、平面ではなくうねうねしてるんですが、それがうまい具合に「燃える」照明との相性がぴったりでした。

 

あと壁席は、舞台正面に向かって斜めを向かないとまともに観られず、本当に首が痛かったです…。

 

そしてもう一つ、隣に座ってた恐らく私と同じ役者さんのファンの方、リピーターなのか何なのか知りませんが、冒頭から延々泣いてるし、お目当ての役者さんが出てくるとオペラグラスを激しく上げ下げするし、曲に合わせて縦ノリするしで、最悪でした。同じ役者さんを応援する身として恥ずかしすぎます。ここあなたの家じゃないんですけど!?

 

組み合わせ的にも前回の方が好みでした。リンさんはWキャストどちらも方向性が全然違ってて、いいなと思ったんですけど…。

 

楽曲は、戦時中に開かれたお花見で歌われる曲がすごく好きでした。おそらくあのメロディーラインに切なさを感じるのって、日本人特有な気がするんですよね。特に音楽詳しいわけじゃないので邪推ですが。

 

歌詞も♪花びら ひらり ひらり♪のように、日本語ならではの擬音を使ってて、日本発のオリジナルミュージカルだからこそできた曲だなと思いました。


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昆さんのすずさん、あえて映画やドラマのすずさんのイメージの踏襲を避けてるのかな?と思うような役作りに感じました。

 

素朴な出で立ちは、大原すずよりはしっくりきてましたし、歌の安定感だったら昆すずかなと思ったんですが、観ていて感情を揺さぶられたのは大原すずだったかな…。

 

すずさんが醸し出すのんびりとしたオーラは、少なくとも大原すずの方が個人的には好きでした。昆すずは大原すずと比較すると、もう少ししっかりしてそうだったな…。

 

海宝周作は、共演回数の多い昆すずとの回だったからか、前回よりもやわらかい雰囲気をまとってるような印象でした。なので「周作さん」としてのキャラクターであれば、前回の大原すずとの組み合わせが好きだったかな…。

 

この2人は過去作であまりにも多く組んでるので、ファンから支持されてるのはすごくよくわかるんですが、正直私はちょっと食傷気味だったり…。2人とも、もっと別の役者さんと組んでる姿を観てみたいです。

 

Wキャストどっちもいいな!って思ったのはリン役のお二人。

 

平野さんは早熟な女の子&色気駄々洩れで、すずさんとはそれほど歳が離れていないけど、遊女としてあれこれ乗り越えてきた分の人間力がついて、お姉さんに見えるリンさん。

 

一方桜井リンさんは、結構あっけらかんとしたオーラをまとっていました。これまでの苦労は決して人には見せず、一見カラッとした雰囲気を持っていて、すずさんと歳が離れていないんだなというのも、見た目や言動からわかりました。どちらもとっても魅力的なリンさんでした!

 

水原役の小野塚さんもなかなか素敵でした。ぶっきらぼうで不器用な感じが、表情とちょっとした仕草から伝わってきました。

 

音月径子さんの熱演っぷりには、この回も心を打たれました…。♪自由の色♪ラストの表情は、哀しさと「すずさんと和解できた」少しの安堵感が入り混じった、なんともいえない泣きそうな表情をされててグッときました。

 

他にシングルキャストで素敵だなと思ったのは、すずさんの妹役の小向さん。今回初めて知った役者さんなんですが、聞きやすい声質で、とてもかわいらしい雰囲気をまとった役者さんでした。今後の活躍をチェックしたい…!

(と思っていたら、『next to normal』のナタリーに小向さんが抜擢されました!嬉しい!)