Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.5.11 劇団四季「オペラ座の怪人」マチネ公演:KAATの天井席から眺めるオペラ座

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月曜日のキャスト変更で「清水ファントム×海沼クリスティーヌ」の組み合わせが来たので週末の立見席を買ったら、前日の夜に海沼クリスから藤原クリスにキャス変…(Oh…)でも代わりに(?)岸ラウルが戻ってきてくれたので(週半ばまで宇都宮ラウルでした)結果的に観られて良かったです!

 

開幕週は妙に全体がおとなしく感じたのは私の錯覚だったのか、それともやっぱりラウルが新キャストさんだったからなのか、今回は秋劇場のときのボルテージがちょっと戻ったかなと感じられる回でした。2023年のオペラ座大阪公演は観劇していませんが、この3人の組み合わせはちょいちょいあったようなので…。

 

岸ラウルが大人なラウル(?)なので、清水ファントムがかなり容赦ない感じになってて「これこれー!」でした。やっぱり宇都宮ラウル相手だとまだどう出ていくかが定まってなかったのかも…?(藤原クリスも同じく)

 

ものすごーーーく久々に立ち見で観劇しましたが、舞台から1番遠い位置の立ち見だったこともあり、自分の右隣には誰もいなかったので、思ったよりも楽に観劇できました。

 

ファントムが出てないシーンは座ろうかと思ってましたが、結局全編立ったまま観ました。もちろん立ちっぱなしは疲れましたが、許容範囲内の疲労ではあったかな…。ちなみに靴はぺたんこのフラットシューズでした。

 

舞台下手端っこが完全に見切れる位置だったので、例えば♪POTO♪の「歌え、私の音楽の天使よ!」の2人はほとんど見えなかったです。

 

ペガサス像から出てきて歌うファントムは意外と見えたんですが、墓場のファントムは胸元から下しか見えず、冒頭のオークションでのオークショナー(?)も全く見えずでした。あと♪POTO♪の地下室へ向かう階段上のファントム&クリスティーヌも見えなかったかな?

 

でもその他のシーンは問題なく楽しめましたし、前に人がいない分全体が見渡せました。舞台上とマエストロとのやり取りや、マエストロの指揮も見えたので、初見でなけれこの席はかなりコスパいいなと思いました。土曜マチネで5,500円だもの…。


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 以下、キャスト別感想です。

オペラ座の怪人清水大星さん】

・1幕は前回とあまり変わらない印象でしたが、2幕の芝居のテンションは明らかに前回よりも上がってました。秋劇場でのデビュー直後の清水ファントムを感じる瞬間が何回かあって、圧倒的に前回の演じ方よりも好きでした。きっと歌とお芝居の比重をいろいろ試してるんだろうなぁ…。

 

・座席の位置のせいなのか、鏡の中で待機する清水ファントムの姿がチラ見えしてたので凝視しました(こら)

 

・♪POTO♪の♪いとしーいーひーーとよーーー こーーよーーいもーーーーー♪を聴いた瞬間、1週間の仕事の疲れが吹っ飛び、チケット取って良かったぁぁぁぁぁって拳を天に向かって突き上げたくなります(落ち着け)

 

・1幕ラスト、2幕ラストと、クリスとラウルのデュエットパート→ファントムのパートになりますが、それぞれクリスとラウルは全く同じことを歌っているのに、それを受けてのファントムの反応はまるで違ってるのが、クリスの「愛」を受ける前後の比較としてうまく作用してるなぁ…と、ALW御大の天才っぷりにまた一つ気づきました。

 

・2幕の♪PONR♪からラストまで、清水ファントムの歌もお芝居も超絶良かった~~~~~~~~~~!

 

・♪PONR♪は、本当に一度でいいので黒装束なしの芝居を見てみたい…。あのフードの下でどんな顔してるんだろう清水ファントム…。

 

・♪PONR♪は顔が見えないので手を眺めるしかないんですが、手の仕草がスーパーセクシーすぎて困ります(?)

 

・クリスに仮面を剥がされた後、一瞬戸惑ってちょっと周りを見渡す清水ファントムの表情がなぜか印象的でした。そこまで追いつめられることが今までなかったから、不意を突かれたような顔をしていたような…。

 

・クリスを再び地下室に連れ去るボートの中で、清水ファントムが藤原クリスの手を強引につかんで♪すべての苦しみは醜い顔にある♪で自分の顔に触れさせてて…。もはや自分の外見も内面も、醜い部分はすべて見せてしまおうとするの、悲しすぎます…。

 

・♪人殺しを捕まえろ♪というコーラスが聴こえてきて怯えたような表情になるのは、秋劇場から変わってなくて好きなポイントです。その後の「クリスティーヌなぜ…なぜだ!」の言い方は、以前は怒ってる印象でしたが、今回は嘆きの感情が強かったです。

 

・クリスを地下室に連れてくるとき、めちゃくちゃ唸り声あげてて怖かった…。そんな乱暴に突き飛ばしたら藤原クリスすっ飛んでしまう…。

 

・♪血に呪われた運命 醜くゆがんだこの顔 それが私をこうした…♪は、フレーズごとに「怒」から「哀」にシームレスに変化する声色がお見事でした(拍手)このフレーズの後だったか、クリスに顔を背けられてものすごく傷ついた顔してて切なすぎました…

 

・藤原クリスの必殺技:ド直球正論(♪醜さは~顔にはないわ~~♪)を投げられた清水ファントムの狼狽っぷりがかわいすぎる件。絵にかいたような挙動不審っぷりに、全然笑うシーンではないけどなんか「ふふっ」ってなってしまいます(こら)

 

そしてそんな清水ファントムとなんとか目を合わせようと、彼の瞳の動きをずーっと追いかける健気な藤原クリス…。ここで「あ、この組み合わせも素敵だな」と思えました。1幕と2幕ラストでの力関係の逆転という点でいうと、ものすごくギャップを感じました。

 

 

・地下室シーンでの岸ラウルへの煽り方が「それ秋劇場でも観たやつー!!!!!」ってニコニコしてしまいました(満面の笑み)

 

・クリスからのキスに時差でびっくりする表情、今回もありました。やっぱりあれは驚きが遅れて来てる反応ってことなのかな…?

 

・カーテンコールでは、藤原さんと顔を見合わせてニコニコ、岸さんとも顔を見合わせてニコニコしてたのでハッピーエンドでした!!!!!

 

【クリスティーヌ・ダーエ:藤原遙香さん】

・緊急登板なはずの藤原クリス、なぜか前回より今回の方が断然良かったです…!

 

前回観たときは「素敵だけど個人的には海沼クリス一択だな~」と思ってたのが、完全にひっくり返されました。確かに私の好みとしては海沼クリスなんですが、藤原クリスも負けず劣らず素晴らしいなと思えました。

 

・声の厚みが増してませんでしたか!?前回観たときは、高音にいけばいくほどか細い声になってるなぁと感じたんですが、今回はきちんと天井席まで声が伸びる印象を受けました。

 

・これは前回も「いいな」と思ったポイントでしたが、クリスティーヌというキャラクターが物語を通して「成長してる」と感じられるのは、藤原クリスの良いところだと思います。

 

登場時はふわふわして現実を生きていないような女の子だったのに、2幕ラストの地下室で、ファントムに対してまっすぐ向き合う姿を見せてくれるので、クリスティーヌが「2人の男の間でふらふらと揺れ動くヒロイン」ではなくて、「守られるヒロインから守るヒロイン」へと変化していることをうまく表現されてるなと。お芝居がものすっごく細かい印象は正直あまりないんですが、元々持っている雰囲気でそれを表現できてるんだろうと思います。

 

・あとやっぱり「父」の存在が、なぜか藤原クリスだと大きく感じます。

 

前回と今回観て、クリスティーヌが言う「パパが天国から遣わしてくれたエンジェルオブミュージック」って、よくよく考えたら変な話だよなと。クリスのお父さんは、一体何を根拠に「自分が亡くなった後、音楽を教えてくれる人物をもたらす」なんて自分の娘に伝えたんでしょうか…。

 

生前すでにファントムと出会っていて、自分の代わりに見守ってほしいと頼んだのかな(で、見守っているうちにファントムはクリスに恋心を抱いてしまったとか?)

 

「自分が亡くなっても、天国からお前を見守ってるよ」とかならわかるんですが、誰かを遣わすなんて普通は言わない気が…。このあたりはもしかしたら原作小説を読めばわかるのかもしれないですね。

 

・♪PONR♪の藤原クリス、まじで良すぎる~~~~~~~~!!!!!!!山本クリスの♪PONR♪大好きマンなので、同じ雰囲気を感じさせてくれて最高です。お顔立ちは小動物っぽくてかわいらしいのに、一挙に色気満点になるのでにこにこしながら観てしまいます(変態)

 

【ラウル:岸佳宏さん】

・お、大人だ~~~~~~~~!!!!!!!(?)

 

・ラウルは光田さん→加藤さん→宇都宮さんと観てきて、岸さんが4人目のラウルでした。一番物腰がやわらかく頼りがいのありそうなラウルでした。

 

・恐らくベテランの域に入る役者さんってこともあってなのか、歌もお芝居も安定していました。

 

・♪マスカレード♪のダンスが超キレッキレ!元々はダンサーさんなのでしょうか?

 

・大人なラウルではあったものの、「クリスに危害を加えるものには容赦しねぇ!」という圧もあり、ただただ優しいだけじゃない一面があるのも良き。海沼クリスとの組み合わせもぜひ見てみたいです…!