Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2022.2.11 「シラノ・ド・ベルジュラック」マチネ公演:言葉の刃を自分に向けて

シラノ・ド・ベルジュラック」2回目の観劇。

 

プレイハウスはこれまで何度も足を運んでる劇場ですが、今回初めて2階席に座りました。2019年1月の「グレート・コメット(以下略)」の時も2階席でしたが、あのときはサイドの立ち見だったので…。

 

2階センターブロックの最前ど真ん中でしたが、他劇場でよくある「手すりが邪魔」問題も一切なく、ステージが隅から隅まで死角なく見渡せる席でした。舞台との距離感はそこそこありましたが、役者さんの表情はおおまかであれば肉眼でぎりぎり確認できたので、満足度120%でした。

 

初見で気になっていた音響(というかマイクの音量)は、前回より改善されているように聞こえましたが、私が2回目の観劇で慣れたからなのか、2階席だから聞こえ方が違ったのか、本当に改善されてたのかはよくわからなかったです…。

 

以下雑感メモ。

 

・初見レポで書き漏らしてたんですが、冒頭の演出が謎…。役者さんが何人か出てきて1列に横並びになって「ここは…劇場です」「僕たちはこれから観客を演じます」みたいなセリフをきっかけに、キャラクター紹介のラップが始まるんですが、普通にラップから始まっても良いのでは…?と個人的には思いました。

 

・シラノ登場後の古川さんのラップがキレッキレ!初日よりも圧倒的に「怒り」の感情がこもっててかっこよかったです。観劇前に読んでいたインタビュー記事で、「シラノの原動力は【怒り】」と古川さんがおっしゃっていたのがとても腑に落ちました。

 

・シラノ登場シーン、痛快で好きなんですが、いくら役者が気に入らないからって舞台をぶち壊しにくるシラノ、端的に言ってやばすぎる(真顔)

 

・ル・ブレ役の章平さんは、あのカンパニーの中でも特によく声が通る方でした。危なっかしいことばかりするシラノを、なんだかんだで見守ってきた雰囲気を醸し出していて素敵!「天保十二年のシェイクスピア」でも、マクベスならぬ幕兵衛役が素晴らしかったなと懐かしい気持ちになりました。

 

ロクサーヌを見つめる古川シラノの視線~~~~~~~~ロクサーヌめっちゃ愛されてる~~~~~~~~~~気づけ~~~~~~~~(心の叫び)

 

・基本的にロクサーヌには全然共感できませんが、クリスチャンとの仲を取り持ってもらうようシラノにお願いして、シラノがOKしてくれた時に「ありがと!」って言いながらシラノの頭ぽんぽんするロクサーヌはかわいくて好きです。「シラノありがと大好きキスしてあげる!」のセリフの無自覚さには呆れるけど…(その程度の冗談を言えるくらい、彼女はシラノに心を許している、と同時にシラノは恋愛対象には一切入っていないという残酷さ)(まぁ従兄弟だからなぁ…あまりにも身近すぎたんだろうなぁ…)

 

ちなみに仲を取り持つことについて、全然OKそうじゃないのに親指をぴっと立てて「OK!」って言っちゃう古川シラノがかわいそうでかわいい(複雑)

 

ロクサーヌは才女で頭の回転も速いけど、あの時代は女性に「そういう要素」は現代よりもさらに求められていなかったんだと思います。となると、結局いたるところで「女の武器」を使ってしまうロクサーヌもまた、ある意味でかわいそうな人なのかもしれないと思いました。自分の知性じゃなくて、顔や体が一番の武器になることもわかってたんだろうな…。生まれる時代が違ってたら、全然違う生き方ができた女性だったかもしれません。

 

ただ相手に求めるものがあまりにも多すぎるし、自分が一目惚れしたくせにありのままのクリスチャンを愛せないのはどうかと思うけど。

 

・終盤のシーン、ロクサーヌがケガをしてるシラノの顔を見ても、途中まで何とも言わないのは、彼女がお酒を飲んでるからなのかなと思いましたが(酔っぱらってて認知力が落ちてるとか)、そもそもシラノの顔によくも悪くも関心がなかったのかなと。幼い頃から一緒にいたようなので、別にシラノの鼻がどうとか気にすることもなかったのかもしれません。それはシラノにとってはありがたいことなんでしょうけど(彼の顔に嫌悪感を持たず接してくれる唯一の女性だったわけですし)、もろもろ通り越して「無関心」になっちゃってたのかな…。

 

・古川シラノの「俺は敵を作らないと生きていけない」的なスピーチ(???)のシーンのセリフ回し、すごく良かった…!

 

・自分の武勇伝語りをクリスチャンに邪魔される古川シラノをず~〜〜っとオペラグラスで見てたら楽しかったです。表情筋すごいなぁ(小並感)

 

・クリスチャンがシラノの鼻を揶揄しても、殺されるどころか「親友だ!」と言われてるのを見た他の人たちが、「え、じゃあシラノの鼻いじり解禁なの?」って雰囲気になって、続々と悪口言いまくるシーンしんどすぎる…。最初はへらへら笑ってた古川シラノの顔が、途中でふと曇るのが悲しすぎました。

 

・浜中クリスチャン「アナタダイスキデス」(古川シラノの太ももにハグ)

古川シラノ「気持ち悪いからやめろ」(真顔)

浜中クリスチャンのコミカルなお芝居も良きですね…。

 

・シラノがクリスチャンの背後でロクサーヌへの告白を吹き込んでるシーンも面白かった…!シラノが関西弁でクリスチャンのフリするのが、初見ではよくわかんなかったんですが、恐らく浜中さんが関西出身だからですね。ちなみに前回、クリスチャンの背後に近づきすぎた古川シラノが、浜中クリスチャンの髪の毛を食べちゃってて、慌てて口ぬぐってたので笑いました(マイクカメラでドアップなので全部映っちゃってるんですよね…笑)

 

・クリスチャンがシラノにキスしたとき、シラノが突き放すとかの仕草ではなく、なんか受け入れてない!?って仕草をしてたので、どういうことやねん!?!?ってなりました。

(古川シラノが浜中クリスチャンの腰に手を回して引き寄せてるように見えたんですが幻覚かな…?)

 

ロクサーヌへの告白シーン、そういえばちょっとだけ歌ってた古川シラノ。歌も「言葉」を伝える手段の一種だし、別にアリだと思うけど、それはミュージカルでやってくれ…(※個人感)

 

ロクサーヌにド・ギーシュの足止めを頼まれたシラノが、へらへらしながら「俺はド・ギーシュを足止めする役目なんだ~」ってひとしきりラップで語った後に、「こんなに辛いなんて…」ってめそめそし始めるので、かわいそうすぎて床に大の字になりたかったです(真顔)でも一応シラノが自分で蒔いた種だからな…。

 

・シラノのロクサーヌへの告白の後、そのしんみりした空気をぶったぎって出てくるド・ギーシュ、最高に最悪(ラップが妙にうまいのも若干腹立たしかったり…笑)

 

・前回は最後のロクサーヌとのシーンで、シラノ切ないなぁって思ってたんですが、今回見てたら心底哀れな人に思えて、切ないというよりはかわいそうな人、という印象が強かったです。

 

自分自身の容姿を一番貶めているのは誰でもないシラノ自身ですし、そのことを必要以上に気にしすぎるのと、プライドが高すぎるがゆえに1人の女性に想いを伝えることも、固まった関係性を一歩前に進めることもできず、憶病な人だなぁと思ってしまいました。「君以外に僕とまともに口をきいてくれる女性はいなかったんだ」ってセリフ、ロクサーヌにとっては正直「だから何!?」では…?

 

演出に関してはときどき「?」になる作品ですが、なにせ物語自体が好きなのと、それぞれの人物視点で観るといろいろ考えられて面白いので、総じて好きな作品です。