Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.3.19 劇団四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」ソワレ公演:友情ストーリーとしてのJCS

※うっかり先に「カムフロムアウェイ」「千と千尋の神隠し」の記録を書いてしまったため、順番前後しております。


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2024年自由劇場JCSのMy楽でした。

 

最終週は新ペアが出てくるかな?と思いきや、加藤ジーザス×佐久間ユダでした。結局佐久間ユダ、ほぼ全公演出てましたね…?吉岡ユダは私が観たデビュー回の翌週は佐久間ユダと交互出演していて、その後から出なくなってしまったような…?ちなみに唯一守山マリアを観られなかったのが心残りです…。

 

後述しますが、加藤ジーザスがすっっっごく良くなっていて、今期初見で感じた物足りなさやユダとの熱量の差は薄まってました。少しですが神永ジーザスをなぞっているような部分も(私は)感じたものの、基本的には加藤さんならではのジーザスを土台として作っている印象でした。


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座席は2階席センターブロックの上手側通路席だったので、ユダ堪能席でした(ガッツポーズ)♪彼らの心は天国に♪と♪スーパースター♪でがっつり佐久間ユダの目線いただきましたごちそうさまでした!(?)

 

この回の加藤ジーザス&佐久間ユダは、あくまでも私の主観ではありますが、あの物語の前日譚、ジーザスとユダがかつてどう友情を育んできたかがなんとなく透けて見えるようだったので、お二人のお芝居の呼吸が前回よりも断然噛み合ってるように感じました。

 

加藤ジーザスは歌唱にゆとりがあるおかげでお芝居に熱量が入るようになっており、佐久間ユダはほんの少しだけど、加藤ジーザスの熱量に沿ったお芝居をされてたような印象でした。

 

正義感がありあまるためにすぐ頭にカッと来てしまい、周りとトラブルを起こす佐久間ユダと、それをあのふわっとした笑顔でなだめる加藤ジーザス。

 

それが信徒が増えてジーザスが崇められるようになり、「奇跡を起こす男」が「神の子」と呼ばれるようになり、ユダがいくら怒ってもジーザスが昔のように彼をなだめてくれることもなくなり…みたいな流れから、あの冒頭に繋がるんだなと。

 

なので佐久間ユダは、対神永ジーザスだと「愛」だけど、対加藤ジーザスだと「友情」に感じられました。

 

JCSは特に、日本語訳にしたときの情報の少なさが際立ってますが、それでも♪スーパースター♪の訳詞は本当にすごいなと思います。♪昔のイスラエルじゃテレビもないしさー!♪とか、♪そちらじゃ皆さんどうです?お釈迦様はお元気で♪とか、メロディーにおさめつつ煽るような表現にして、なおかつインパクトのある日本語訳にできるって神業すぎる…。

 

以下、キャスト別感想です。

 

ジーザス・クライスト:加藤迪さん】 

・ほぼ1ヶ月ぶりに観たら超絶素晴らしかったです。ものすごく真面目でストイックそうな方なので、きっとめちゃくちゃ練習したんだろうなぁ(※ヲタクの勝手な妄想)

 

・柔和でやさしげな印象は変わらずありつつ、今回見たら「昭和の頑固親父」のような意志の固さを感じました。

 

ケンカしたらある程度までの譲歩はしてくれそうですが、自分がこだわる部分に関しては絶対に譲ってくれないし、そこを譲るくらいなら死んだほうがマシって思ってそうです。前回観たときもなぜか反抗心多めに感じたんですが、今回よりその要素が強く感じられた。

 

・第一声から前回とはまるで違ってて最高でした。とにかく前回は印象が薄くて…。歌声はキレイなんですが、どこかジーザスっぽくないというか…(これは私の基準が神永ジーザスだからということもあるんですが)

 

高音はまだまだもう少しいけそうですが、前回に比べたら厚みが増して聴きやすくなってました。

 

・1番印象的だったのは、最後の晩餐後にユダが去ってしまった直後のうなだれ方。

 

ジーザス本人の気持ちとしては「ユダにいてほしい」なんですが、神の意志に従うのであればジーザスはユダが裏切るのを止めることはできず、「ゆけすぐに去れ」と言わざるを得なかったんだろうな…と。

 

最後までユダに対しては「神の子」スタイルを崩さないジーザスですが、彼が去った後に地面に一段と深く崩れ落ちてしまう加藤ジーザスを観ると、あれが彼の「本音」だったんだろうと思いました。

 

ユダの裏切りのときに発した「ユダ、見捨てるのか。お前は」がすごく優しくて寂しそうで、あんな風に言われたらいたたまれなくなるよな~~~~!

 

・今回加藤ジーザス観てて思ったんですが、ジーザスはユダが自ら命を絶ったことを知ってたんでしょうか…。それとも知らずに磔になったのかな…。

 

加藤ジーザスの場合は、ユダが自ら命を絶ったと聞いたら、自責の念で後追いしそうだなと感じました。

 

・加藤さんと佐久間さんって、お二人とも「ノートルダムの鐘」でフィーバス隊長だった以外になんか接点あったっけ?と、しばらく思い出せなかったんですが、そういえば2人とも猫でしたね。そして江畑さんも猫なので、この回はジーユダマリアの前世が猫な組み合わせでした。

 

・ところで加藤ジーザスのウィッグが横にもさっと広がっちゃうのはなんでだろう…。神永ジーザスはあんなに広がってるの見たことないんですが…。完全に梅雨の私の髪の毛のシルエットだったので、全然笑うところじゃないのにちょっと面白かったです(こら)

 

イスカリオテのユダ:佐久間仁さん】

・前回は「怒」120%でしたが、今回はその要素はありつつも「ずっとジーザスを諭し続けてるけど、そろそろ疲れちゃったので裏切って全部終わらせました」みたいな佐久間ユダでした。聞く耳を持たないジーザスに対するやるせなさを感じました。

 

・やっぱりあのちょっとザラっとした耳ざわりの声質がJCSエルサレムバージョンにぴったりですし、もっと言うとオリジナル版(と私が呼んでるWE版)みたいなロック色強めなサウンドでの歌唱を、佐久間ユダで聴いてみたいです。

 

・発音がやや甘いのは前回と同じくでしたが、歌唱に関しては前回よりも良かったと思います。というか、あの歌い方で喉つぶさないのが不思議すぎる…。

 

・♪序曲♪でジーザスの鞭打ちシーンと同じメロディーが繰り返される部分。あれはずっと「ジーザスの身にこれから起こることを、ユダが予見してる」のかと思ってたんですが、この回の佐久間ユダを観てたらなんとなく「群衆に崇められるほど、ユダから離れていくジーザス」という図式にも見えるなと思いました。群衆がジーザスに手を伸ばすタイミングと、ユダが痛みに悶えるタイミングが合ってたので。

 

・この回のユダの最期のシーン、今まで観た中で一番「死にたくなさそう」でした。沈んでいく過程で両手を地面に置いて、必死に穴から抜け出そうとするような諦めの悪さを初めて観ました。

 

\マイガっ!/で斜面をゴロゴロするときも、舞台中央に転げるたびに何かにおびえるように身を縮めていて、今までこんなお芝居してたっけ?と。

 

ちなみに落ちていく穴から立ち位置がズレたようで、お芝居しながら「あっ…」みたいに位置を直してたの、ちょっとかわいかったです…。笑

 

・前々からSNSで見かけてたんですが、佐久間ユダが初めて「助けて」って呟いてるのを聞いて私の情緒がめちゃくちゃになりました(真顔)

 

・♪スーパースター♪のラスト、暗転直前の佐久間ユダがものすごい目つきをしてることに気づいてしまった…。やっぱりすごい怒ってるなぁ…って感じの、ものすごく鋭い視線でした。

 

また次回の再演が楽しみになるJCSでした!