Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.2.25 劇団四季「ジーザス・クライスト=スーパースター」マチネ公演:祝!新ユダデビュー回


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「今日はJCS観劇で初の1階前方席だし、センターブロック上手の通路側だからユダ堪能席だし、佐久間ユダをガン見する回にしよ〜!」って意気込みながら、開演15分前に自由劇場に足を踏み入れたところ、吉岡ユダのデビュー回になってた私の話をしてもいいですか???????????????

 

翌日が休演日のタイミングでデビューなんてこともあるんですね!?当日10時頃に突如決まったらしいのですが、全く何も知らずに劇場に入ったので、キャストボードの前でしばしきょとんとしておりました(きょとん)

 

正直「え、佐久間ユダを近くで観たかった…」という気持ちが半分、「いやいや、新ユダデビュー回に偶然当たるなんてラッキーすぎん!?」という気持ちが半分ありました。情緒不安定か…!

 

ということで、まずは全体の感想メモ。

 

ジーザスとユダの関係性は、加藤ジーザス&佐久間ユダだった前回ほどの熱量の差は感じなかったです(※個人感)

 

ただ吉岡ユダのジーザスへの感情が「LOVE」よりも「RESPECT」の気持ちが強そうで…。吉岡ユダは「ジーザスって最近ぼんやりしてるし娼婦にお世話されてるし、なんか人間っぽくなってきてない…!?俺たちの神でいてくれよ…!」みたいに思ってそうでした。あまりよくない表現ですが、「自らの理想を押しつける厄介ヲタク」みたいな印象。ユダは「あなたの片腕」を自称するけど、吉岡ユダの場合だと、ジーザスにはそこまでの人と認識されていなさそう…。

 

この印象は、役作りがそういう方向性だった、というよりかは、単純に【年上・先輩の神永さん】対【年下・後輩の吉岡さん】だからなのかもしれないなと。

 

カーテンコールでも

吉岡さんが隣にいる神永さんを見る

神永さんが視線を感じて吉岡さんを見る…けど、特に微笑みかけるとかうなずいてあげるとかもなく、ただただ見つめる

数秒見つめ合う2人

みたいになっていて、わりとまだ距離感ありそうに感じました(※これも個人感)

 

・そういえば神永さん、自分より年下のユダってもしかして初なのでは…?芝ユダは言わずもがな、佐久間ユダは確か歳は1つ上だったような(あと2人がとても仲良しなことは、某SNSを見たらわかります)

 

個人的に気になったのは、アンサンブルキャストのまとまりがなんとなーーーく弱いこと。こちらも新キャストが多めなんだと思うんですが、例えばジーザスに病める群衆がわーっと集まるシーン。「1人の男に無数の人たちが群がっている恐怖感」があんまり感じられませんでした。全体的に歌唱や動きに、熱量がもう少し欲しいなぁと感じる部分がありました。

 

・とはいえ、前方席センターブロックで観る鞭打ちの刑のシーンは、思わず目をそらしたくなるくらいリアルかつ残酷で…。今回の座席は4列目だったんですが、間近で観るとあんなに生々しいのか…とちょっと衝撃でした。磔にされたジーザスの手からこぼれ落ちていく血が肉眼で見えるのもまた然り。

 

以下はキャスト別感想です。

 

イスカリオテのユダ:吉岡慈夢さん】

・名前はちょいちょい見かけていたものの、実際に舞台で観るのは今回が初めてでした。元はバレエダンサーとのこと、声楽も学んで四季に入ってきた役者さんだそうです。

 

やっぱりこの役って「バリバリ声楽だけやってきました!」ではない役者さんに任せる方針なのでしょうか?

 

・ビジュアルは、全体的にやや細身になった佐久間ユダという感じで、ワイルドな髪型やメイク、衣装はかなり似合ってました。身長は神永さんと同じくらい…?180cmはありそうでしたが、何せ下から見上げるような位置の席だったのでよくわからず…。

 

♪スーパースター♪の衣装はちょっと着られてる感があったんですが、どなたか過去キャストの衣装を着まわしてるんでしょうか。横幅がかなり余ってそうに見えました。

 

・歌声の質はわりとまっすぐきれいめな声。佐久間ユダに慣れた耳には荒々しさが足りないかなと思いつつ、ミュージカルとして観るなら吉岡ユダの方が聴きやすいのかな…?

 

・以下、あくまでも「デビュー初日である」ということを前提に置いた感想です。

 

歌に関しては、特に♪Heaven on Their Minds♪はとりあえず譜面どおりに…という印象を受けました。

 

そして序盤からしばらくはそんな感じだったんですが、最後の晩餐のシーンでの、ジーザスとの掛け合いで急にガーっとシャウトしてて、個人的には良いなぁと感じました。

 

ユダのキャラクターとしての心情の流れも考えると、やっとあそこでジーザスに対して本音を出せた感じもあって(♪Heaven~♪はあくまでも彼の心の叫びであって、ジーザスに直接進言してるわけじゃないですし…)キャラとしても役者としても、殻を1つやぶれたのかなと思えました。

 

・もう少し葛藤が観たかったのは最期のシーン。佐久間ユダがあのシーンがあまりにもハマりすぎてるから、というのもあるんですが、もっと強烈にがんじがらめになってズタズタになる姿が見たい…!もっと乱れてほしい…!!最後もあっさり渦に呑み込まれてる感じだったので…

(伸ばした指先がとてもきれいなのも、バレエダンサーならではなのかもしれないけど、もっとなりふり構わず醜く堕ちて行ってほしい…!)

(でもこれは私の個人的な願望なので…!←)

 

・♪スーパースター♪も、終盤のアレンジパートは「事前に考えてきたアレンジで歌ってます!」感があって、あの場で湧いた感情を即興で歌ってるという感じではなかったんですが、そういえばこの部分、佐久間ユダってどうだったんだろう…。毎回違ったのかな…(何回も観たのに…)

 

ラストの♪ジ~~~~~ザァァァァァァ↑↑↑↑↑ス♪でオクターブ上げて歌っていて「古川トートじゃん!」ってなりました(突然の黄泉の世界)めちゃくちゃかっこよかったので、あれは絶対毎回やってほしいです(わがまま)

 

ちなみに十字架を担いで登場したジーザスのことを全然見てなかった気がしたんですが、やっぱり「あなたには神の子であってほしい」という気持ちがあるからなのでしょうか…(YOASOBIの「アイドル」2番の歌詞みたいな…)(例えが下手)

 

・カヤパとアンナスへの密告シーン、お金をつかんで倒れ込んだ吉岡ユダが、密告してる間全然まばたきしてなくて怖かったです(あそこは佐久間ユダも怖いですが…)

 

ちなみに密告に向かうシーン、楽曲のテンポが速くなるところでユダが「は…!」と何かに気づく顔になる理由がこれまでよくわからなかったんですが、この日の吉岡ユダを見てたら急に「あ、この人本当に意識なくここまで来たんか!?」と、神の意志によって勝手に導かれたんだろうなって思えました。

 

ジーザスへのハグとキスが優しすぎるんじゃ…………(CV:千鳥ノブ)

 

・カーテンコール後に舞台から捌けるとき、口パクで何度も「ありがとうございました」とつぶやいてたのも印象的でした。きっとデビューにこぎつけるまで大変だったと思いますが、これから役を深めていってくれそうなユダだったので、今後がかなり楽しみです!

(そして2019年・2023年と1人でユダを背負ってきた佐久間さん、本当にお疲れさまです!)

 

ジーザス・クライスト:神永東吾さん】

・何度観ても『神々しい』の一言に尽きるくらい、神永さんのハマり役ですよね。本当にあのチャラいフィーバス隊長(from「ノートルダムの鐘」)と同じ人なのか?と思ってしまいます…w

 

この回は前方で観たからか、ジーザスの弱い部分がダイレクトに伝わってきて、♪ゲッセマネ♪で泣きました。弟子たちには決して見せないであろう、なりふり構わない激しさで、「父なる神」に懸命に問いかける姿に心打たれました。

 

最後の晩餐のシーンでも、ユダに立ち去るように告げた後、舞台上手側にしゃがみこんじゃうんですが、全身が震えていて、その背中を吉岡ユダがじっと見つめている構図がなんとも切なかったです。

 

・この回の神永ジーザスは、視線が印象的でもありました。

 

民衆に担がれてるときに、周りで自分のことをもてはやす民衆を見る鋭い視線や、裏切りの報酬としてお金を受け取ったユダを見つめる視線など。あの目で見られたら「あなたのために」ってなんでもしちゃいそうな瞳でした。

 

・相変わらずあの突き刺すようなハイトーンは、聴いていて苦しくもあり爽快感もあり。何度観ても素晴らしいと感じます。

 

<その他のキャスト感想>

・この日の司祭1はなんと佐野正幸さん…!歌パート少なすぎてもったいない…!佐野司祭の♪カヤパさま~~~♪からの、高井カヤパの♪やぁ〜みなさ~~~~~ん♪があまりにも美声リレーすぎて最高でした。だってファントムからファントムへの歌い継ぐんですよ…あの2パートで、チケット代以上のものが聴けたなと思えました。

 

・高井さん、カーテンコールがあいかわらず愉快(舞台前方でお辞儀したあと、ぴょこんって跳ねて後方に向かっていきましたw)

 

・北澤ヘロデ、なんと2018年の松戸公演以来、6年ぶりにお目にかかりました!劉ヘロデほどのコミカルさはなく、どちらかというと贅の限りを尽くした高貴なお方。ジーザスに対しても「一時のおもちゃ」扱いをしてるような印象でした。

 

自分の期待に応えてくれないジーザスに対し、ヘロデが終盤キレますが、♪へいっ!どうした~♪の直前、なんか\キエエエエエエ/みたいな奇声あげてませんでした…?お上品オーラを一気に崩してきたのでめちゃくちゃ笑いましたw今期のヘロデ、どっちも好きだなぁ。

 

・山田ピラトは「罪なき人を裁くことへの葛藤」ではなく、「あの夢が本当だったら、私も酷い目に遭うよなあ」という不安から、ジーザスを救いたいと考えている、わりと自分の保身のみに走ってそうな人間くさいピラトでした。村ピラトみたいな葛藤が見える方が好みではありますが、その気持ちわかるな…と思ったのは山田ピラトでした。

 

<その他雑感>

・吉岡ユダを観てて思ったんですが、佐久間ユダのジーザスへの感情ってあまりにも壮大すぎません?マリアに対する感情が、吉岡ユダは嫉妬というより「このレベルの人間とつるまないでほしい。だってあなた神でしょ?こっちのレベルまで落ちてこないでよ!」で、佐久間ユダは「俺がいるのにどうしてそんな女と!!!!!!!!!!!!」という【ザ・嫉妬】(※やっぱり個人の感想)

 

ちなみにやっと1973年の映画版JCSも見ましたが、映画版もわりとジーザスとユダの関係性にフォーカスしていました。

(マリアがジーザスに香油を塗る→ユダがそれをたしなめるシーンで、ジーザスを諭すユダの手をジーザスが握っていて、マリアは完全に蚊帳の外だったので)

 

あと太宰治の「駈込み訴え」は完全に佐久間ユダです(真顔)好きで好きで好きすぎて愛しすぎて、愛するあの人が誰かに殺されるくらいならいっそ私が殺しますという、煮詰めすぎてドロドロになった愛情。

 

・旧ジーザスと新ユダの組み合わせの方が色々やりやすそう…というか、ジーザスがユダの感情を受け止めて芝居しやすいのかなと思いました(説明がむずかしい!)加藤ジーザス・佐久間ユダはお芝居のキャッチボールがアンバランスに感じたんですよね…。加藤ジーザス、ユダの言葉一個も聞いてなさそうだったし…。

 

でもジーザスは、役として完成するまでに何年もかかりそうですし(今や定番ジーザスになった神永さんも、すでに10年くらい演じられてるので)、時間をかけて役者さん自身が噛み砕いていくんでしょうね…。

 

いや~~JCSって本当に楽しいなぁ!!!!!!!!!!!!(大声)