「ジーザス・クライスト=スーパースター」エルサレムver、5年ぶりの上演!
今回は自由劇場での公演の後に全国ツアーも控えてるからか、新たなキャストが続々と加入。残念ながら推しの清水ジーザスは入らなかったんですが、「オペラ座の怪人」ラウル役で何度も拝見した加藤迪さんがジーザス役としてキャスティングされてびっくりでした…!
アンサンブルさんも含め、基本的にほぼWキャストで新しい役者さんがキャスティングされたんじゃないかと思います。プリンシパルキャストさんに関しては、ざっと見た限りでは他作品でもプリンシパルを担当されてる方がほとんどだったような。
唯一シモン役の柴田さんだけは、2023年のJCSジャポネスクverで大八車を担当されてた=当時研究生で、大抜擢された若手の星らしいです。まだ大学を出て2年目なんだとか…すごすぎる…。
座席は1階席最後列の最下手。
ジャポネスクverのときも2回連続最下手でしたし、JCSは毎回チケットは取れますが、見やすい席には恵まれない印象が…。それでも自由劇場だから全然問題ないんですけど。あの狭くて濃密な空間で観るのがやっぱり最高です。
この回は開幕してちょうど1週間。経験者と新キャストとでやや熱量に差があるような雰囲気や、少しパンチが足りない(?)のが気になりましたが、5年ぶりに観たからか、「あれ、こんな感じだったっけ?」という場面もちらほらあり、新鮮に楽しめました。
そういえば…司祭2が群衆にまぎれてカヤパ様のスパイ的な役目を果たしていることに、この日初めて気づきました(遅)司祭って全員小ぎれいな恰好してるものだと記憶が改ざんされてて(?)「え、あの人なんか1人だけ群衆と同じ格好しとるわ」って思っていたら…なるほどそういうことなのか…(今まで何を観ていたんだろうか。笑)
全体としては、私の初JCSでの清水ジーザスと芝ユダの関係性を思い出すような加藤ジーザスと佐久間ユダの関係性でした。
あの当時も、デビュー間もない清水ジーザスと、何年もユダを背負ってきた芝ユダの組み合わせだったので、正直芝ユダが出す熱量に清水ジーザスが追いつけてなかったというか…。清水ジーザス単体で観ると好みだったものの、芝ユダの圧を受け取れるだけの余裕はまだなかったよなぁと思い返してました。今回も全く同じ現象が起きてたので面白いなと思ったり、清水ジーザスとほぼ同じ時期にデビューしていた佐久間ユダが、もうそこまでキャラクターを極めたんだなと思って感慨深くなったり。
以下、ジーザス、ユダ、マリア、その他印象的だったプリンシパルキャストの感想メモです。
【ジーザス・クライスト:加藤迪さん】
・真面目&爽やか&穏やかそうなイメージがあるので、神と対話し感情を爆発させるジーザスとの親和性があるのか…という点で、期待半分・不安半分だった加藤ジーザス。
やはり開幕してわりとすぐだったので、歌うことにいっぱいいっぱいな印象をちょっと感じました。
・キャラクター像も、輪郭がぼやっとしてつかみどころがないというか…まだまだ決められた動きに従ってる印象が強かったです。加藤さんってなんでもそつなくこなすイメージでしたが、さすがにジーザスはそうはいかなかったのかな…。
・最初からネガティブな感情を内に秘めたジーザスに感じました。民を癒すことに疲れ、「こんなはずじゃなかったのに」と自分の秘めた力を発揮してしまったことを後悔してそうなジーザス。きっと最初はとても朗らかで明るいお兄さんとして慕われてたんだろうと思うと切なくなるので、そのあたりのバックグラウンドがわかるようなお芝居があるとより良くなりそうでした。
あとなんかすごく「死にたくなさそうなジーザスだなぁ」と、十字架にかけられた後にぽつぽつと話すセリフ回しを聞いてて思いました。
・ジーザス役はそれがすべてというわけではないものの、神永ジーザスに慣れてしまった身としては、ハイトーンの歌唱が少し弱かったのも、今後進化していけるといいなと思った点です。
あとは佐久間ユダの激重感情を受け取れるだけの余裕と、同じくらいの激重感情を返す加藤ジーザスが観たい…!この回の加藤ジーザスは、ユダからの感情を「いやそんな言われても…」みたいに受け流してしまってる気がしたので。
・ネガティブな感想が多めで申し訳ないですが、加藤さんなら今後絶対に役を深めて磨いてくると思うので、またちょっと期間空けてから観たいなと感じました。
【イスカリオテのユダ:佐久間仁さん】
・気づけば2019年エルサレム・2023年ジャポネスクと、ユダを1人で背負い続けてきた佐久間さん。
神永ジーザス以外のジーザスと対峙する姿は初めて観ましたが、佐久間ユダが持つ、あの行き場のない大きな愛を受け止めて、同じくらいの感情をぶつけ返すことができるのは神永ジーザスだからなんだと、この日気づきました。
加藤ジーザス相手だと、ものすごくひとりよがりな愛をぶつけてる印象で、加藤ジーザスはユダからの感情を疎ましく思ってすらいそうでした。佐久間ユダはこの回の組み合わせだと、全体的にやや浮いてたかな…(テンションから歌唱まで)
・カヤパとアンナスに密告してるときの佐久間ユダ、目の焦点が全然定まってなくてめちゃくちゃ怖かったです…。ユダの本心からの行動ではないってことなのかな…(神がユダを利用してる…?)
・今期も絶好調すぎる断末魔(しんどい)
・2019年公演では「スンっ…」って顔でカテコは踊ってた気がしたんですが、この日はときどき思い出したようににやっ…にやっ…ってしてて、その不器用な感じが大変良きでした!
・そして佐久間さん、どんなシーンでも一生ビジュアルがいい(真顔)
・個人的には海外公演のマリアを彷彿とさせる江畑マリアは結構好きです。佐久間ユダの激重感情に対峙できるくらいの気の強さがあるので。
・群衆と一緒にいるとき、ジーザスと2人きりでいるとき、どちらも「母」のような顔をしてるんですが、1人で♪私はイエスがわからない♪を歌うときは、自分の恋心に戸惑う女性の顔をするのが素敵でした!
<その他キャスト>
・一和さんをアラジン役で観る前にアンナス役で観てしまった…。顔のしわの書き込みがもはやギャグレベルでしたが、吉賀アンナスあんなだったっけ…?
・司祭2の顔に見覚えがあると思ったらエリック王子だった件(玉木さん…!)
・柴田シモンは少し小柄なのと、本城シモンほど劇場を支配するような鋭い声質ではなく、わりとマイルドな声でした。でも大抜擢にきちんと応えられてると思います!
・田島ピラトはまだ演じ慣れてなさそうでしたが、「見た目の威厳のわりに、心根がやさしすぎて臆病な男」という雰囲気がすごく出ていたので、私の大好きな村ピラトに続いてほしいです(?)
・劉ヘロデ、私の笑いのツボを刺激してくるヘロデで、笑いすぎてしんどかったです(?)顔立ちがとっても整っているので、あの仰々しい衣装とメイクがとんでもなく映えてたんですが、見た目が美しいのに行動が\ヒャッハー/テンションなのでそのギャップで醸し出される未知の面白さがたまりませんでした(?)