Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2024.3.25 舞台「千と千尋の神隠し」ソワレ公演:再び、トンネルの向こうのあの世界へ

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千と千尋の神隠し」再演も無事にチケット争奪戦を勝ち取りました!(ガッツポーズ)

 

初演で環奈ちゃん千尋を観たので、今回は萌音ちゃん千尋!その他のキャストはあまり気にせずこの回にしましたが、メインキャラは初演とほぼ別キャストでした。

 

初演は2年前に1度しか観てないですし、あの時はB席だったので、めちゃくちゃ明瞭な記憶があるわけではないんですが、受ける印象としては初演と再演はほぼ同じでした。

 

何回も観てる人に言わせると、再演より初演の方が良かったらしいんですが、この作品はチケット取るのも難しかったですし、実際そこまでリピート客いなかったんじゃないかな…。どちらかというと、普段舞台を観ない人たちが観に来る作品だと思うので。

 

念のため、初演のときの自分の観劇記録を読み返しましたが、再演もほぼ同じ感想だったので全体として特筆して書くことがなかったかな…。今回もとても素晴らしかったですし、ジブリファンでも「千と千尋の神隠し」ファンでもない私が、なぜこの作品に惹かれるかというと、あのアナログ感満載の作り方だからだなぁと改めて思いました。

 

強いて言うのであれば「こんなに間延びした感じだったっけ?」ていうのはちょっと思いました。物語の流れがゆ~~~っくりしすぎてる感じ。でも元の映画もわりとそんな印象だったかなとも思ったので、それを再現しているのかも…。


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印象に残ったキャストのみ感想メモ。

 

千尋上白石萌音ちゃん】

・「環奈ちゃんと萌音ちゃん、どっちの千尋が良かったか」というのはかなり愚問だと思いつつ、やはりお芝居でいったら萌音ちゃんが強いなと思いました。環奈ちゃんも10歳にしか見えないなと思ったけど、萌音ちゃんはそれ以上でした。

 

・とにかく声の使い方がうまい…!声は終始「甘やかされて育った女の子の、地に足がついていないようなふわふわした喋り方」で、聞いてるこちらが不安になるようなトーン。

 

滑舌も、本当はもっと明瞭に話せる役者さんのはずなのに、10歳の子供であればこう話すであろうという舌っ足らずな感じでした。でも彼女がすごいのは、その舌っ足らずな話し方でも何を話しているかはしっかりとこちらに伝わること。

 

萌音ちゃんは、最初から最後まで一貫して同じ話し方で通してたんですが、物語が進むにつれて、声にこもる覇気というか、ほんの少しですがふわふわとした甘ったるい話し方の中に、千尋の意志を感じさせる響きを持たせていてました。千尋は基本的には冒頭の千尋のままで元の世界に戻っていくけれど、冒頭の千尋とはほんの少しだけ変わったことを表現してるのかなと感じました。

 

・あとは泣きのお芝居、特にハクにおにぎりをもらって食べるあの名シーンに関しては、萌音ちゃん千尋は抜群に良かったです。

 

「大変なことを乗り越えた人が、ふと一息ついたときに出る涙」だったので、私もグッときましたし、周りにももらい泣きしてる人がわりといました。

 

・やはり舞台慣れしてると強いな~~と思いつつも、初演の環奈ちゃんの「演劇の右も左もよくわからん女の子が、帝劇の舞台に放り込まれて立ってる」感も、ものすごく千尋っぽさを感じたので、本当に最高のWキャストだったと思います。

 

【ハク:増子敦貴さん】

・顔立ちがとてもシャープでクールな印象なので、ハクが持つやさしさをビジュアルで感じさせるのはちょっと難しそうでした。特に、千尋に声をかけるシーンはもう少し表情をやわらげても良さそうだったかも?

 

でも声やセリフ回しはかなり良かった…!最初の方は、やや滑舌が甘く聞こえる部分もありましたが、本当に最初だけでした。

 

何より声がとても聞きやすく、耳ざわりも良かったです。増子ハクなら千尋も安心して頼れるよな…と。

 

【リン/千尋の母:妃海風さん】

・初演の咲妃リンも素晴らしかったけど、妃海リンもすんんんばらしすぎて…!妃海リンの方がさらにドスがきいてたかな?元宝塚娘役とは思えないくらいのガサツさ(*褒めてる)があって、ぶっきらぼうな一面も姉御肌な優しい一面も、めちゃくちゃ再現度高かったです。

 

【湯婆婆/銭婆:朴璐美さん】

・朴湯婆婆はさすが声優さんで、とにかく声量が人一倍すごくて迫力がありました。彼女の声量があるからこそ、この作品における湯婆婆の存在感がさらに増してた印象です。特に怒鳴るシーンは、帝劇が改修前に壊れるんじゃないかと思うレベルのド迫力でした

 

一方、プリンシパルキャストの中で正直一番セリフが聞き取りにくい人でもありました。湯婆婆を演じるにはまだ少しお若いからか、声を作らないと湯婆婆っぽさが抜けてしまうようで、それを維持することに若干意識を持っていかれているのでは…と感じる部分もありました。

 

再再演はおそらくしばらくはないんじゃないかと思いますが、また遠い未来にもし上演されるのであれば、その時は観に行きたいなと思います。