Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

初めての観劇遠征(滞在5時間)

昨日、大阪の梅田芸術劇場にて大千秋楽を迎えたミュージカル「モーツァルト!」

 

ミュージカルを本格的に観始めて4、5年経ちますが、今回生まれて初めて観劇のために遠征しました。

 


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ただ状況が状況なだけに、本当に直行直帰にせねばと思い、現地ではコンビニで軽食を買ったのと、新大阪駅でカフェに行ったのみ、お好み焼きやたこ焼きが食べられなかったのが残念…。

 

公演自体はとても素晴らしく、本当に行くかどうか最後まで迷いましたが、行って良かったです。

 

こちらの公演の感想もそのうち。

 

大阪は意外と近いな〜と感じたので、もう少し状況が落ち着けば、地方公演も積極的に行ってみようかと思います。

(遠征までして観たい作品、今のところ「エリザベート」と「モーツァルト!」だけなんですけどね。笑)

 

2020.12.26 「チョコレートドーナツ」:2020年観劇納め

2020年の観劇納めは「チョコレートドーナツ」。

 

2019年も、年末最後に観たのが「キレイ〜神様と待ち合わせた女〜」だったので、ミュージカルではない演目での納めが2年続きました。

 

ちなみに数えてみたところ、2020年は【16作品・20公演】観劇してました。2019年は18作品だったので、観劇回数はコロナの影響で少なかった割に、作品としては去年とさほど変わらない数を観られたことにびっくり&ありがたみを感じました。

 

「チョコレートドーナツ」は、映画(洋画)ファンの間ではかなり有名な、2014年に日本で公開された作品です。映画館で見ましたが、見に行く直前に、当時通っていた専門学校のクラスメートが「私先に見たんだけどさ〜!」とネタバレしやがったことは一生忘れない(あの人苦手だったな~~~~)(どうでもいい情報)

 

と、結末を知って見たからかもしれませんが、ルディやポールが受ける仕打ちに対する怒りが本当に強くなってしまい、全く泣けませんでした。あのお話を「お涙頂戴モノ」として宣伝したり見たりするのって、なんか違うんじゃないかな…という違和感もあったり。映画として素晴らしい作品ではありました(ルディ役のアラン・カミングが良すぎた…)

 

さて今回の日本版。全体的には映画に忠実で、上演時間も比較的すっきりしていて観やすかったとは思いますが、個人的には「オリジナル(映画)が至高すぎて……」という印象が否めませんでした。

 

全体的な構成として、ショーのシーンはあんなにたくさん要らなかったと思いますし、その場面に時間を割くならルディとポールの出会いや、ルディがマルコに愛情を深めていくシーンを、もっと丁寧に描いてほしかったです。あまりにもささ~っとお話がスピーディに進みすぎな気がしました。題材は文句なしに良いので、構成や演出を少し変えて再上演してほしいです。

 

舞台版で良かったのは、カーテンコールがあること。映画だとルディの熱い想いが詰まった歌唱シーンで終わって、それはそれで良いのですが、舞台版だとカーテンコールでマルコ役の子がにこにこ笑顔で出てきてくれて、ある意味マルコが望む「ハッピーエンド」なのかなと思えました。

 

マルコ役は、実際にダウン症の高橋永くんという子役が演じてましたが、もうとにかくカーテンコールでの高橋くんが癒しで…!お芝居の段取りやセリフをしっかり覚えて、お客さんの前で堂々とパフォーマンスしているだけでもすごいのに、それ以上に全然物おじしない舞台度胸に驚きました。

 

カーテンコールでは誰よりも楽しそうに客席に手をぶんぶん振ったり、全力で投げキッスしたり、ルディ役の東山さんの元にすっ飛んで行ったり(笑)、人前でお芝居できて嬉しい!って気持ちが伝わってきて良かったです。

 

カーテンコールでは、高畑淳子さんの表情もすごく印象的でした。この作品は、本来であれば12月7日から開幕でしたが、出演者の中にコロナ陽性者が出てしまった関係で、19日まで中止、20日にやっと幕が上がり、それからおそらく毎日戦々恐々で続けてきたんだと思います。

 

毎公演無事に始まって終わる、それが今どんなに奇跡的なことなのか、高畑さんが心底ほっとした顔で挨拶されているのを見て思いました。舞台に立っている人たちは、それが仕事だから仕方ないとはいえ、毎日どれだけのストレスにさらされてパフォーマンスしてるんだろうと思うと、本当に胸が痛いです。

 

「千秋楽を迎えられる」というのが「奇跡」と言われなくなる日が、一刻も早く来るよう、願わずにはいられませんてした。

映画「ユダヤ人を救った動物園」:夫婦の愛が救った命

ユダヤ人を救った動物園」

監督:ニキ・カーロ

出演:ジェシカ・チャステイン、ヨハン・ヘルデンベルグダニエル・ブリュール、マイケル・マケルハットン、他

 

<あらすじ>

1939年、ポーランドワルシャワ

ヤン(ヨハン・ヘルデンベルグ)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)夫妻は、ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいた。

しかし第二次世界大戦が勃発し、動物園の存続も危うくなる。そんな中、アントニーナはヤンから「この動物園をユダヤ人たちの隠れ家にする」という驚くべき提案をされる。

 

<感想>

可もなく不可もなく、よくできた実話ベースの映画でした。

 

あと良かったところと「ん?」なところがはっきりした作品でもありました。


良かったところ。

まず動物たちの「演技」が本当に素晴らしかったです。CGかと疑うレベルのお芝居でした。赤ちゃんゾウとかはさすがにCGとか、よくできたロボットとかなのでしょうけども…。

 

恐らく動物のトレーナーさんがとても優秀な方々だったんだろうなぁ…。だからこそ、動物園の爆撃シーンとか、動物たちが園外に逃げ出さないよう射殺されるシーンはものすごく心が痛かったです。


役者陣もみんな素晴らしくて、特にジェシカ・チャステインは、本当に何の役やっても様になりますし、1つ1つの役柄を自分のものにしてるなーと。「女神の見えざる手では、あんなにクールな女性だったのに、今回は母性愛に満ちた天使のような女性で、振れ幅の広さに改めて驚きました。

 

アントニーナの夫・ヤン役のヨハン・ヘルデンベルグは、正直ビジュアルがあまりパッとしないんですが(失礼←)アントニーナ同様、とても愛に溢れた人なんだなと、お芝居で伝わってきました。

 

そしてヘック役のダニエル・ブリュール!!「ラッシュ プライドと友情」で初めて見てから、いろいろな出演作を見てる役者さんです。彼は悪役を演じていても、最後の最後で人間味が溢れてしまうイメージ。今回もそんな感じでした(ネタバレになるので自重)


そしてイマイチだったところ。

1番気になったのは、物語をやたら端折りすぎてたこと。特にビビったのは、いきなり妊婦になって30秒後に出産してたアントニーナ。特に後半は結構さっさと進んでたように思えて、前半との物語のスピードの感じ方に大きな差がありました。

 

あと本当にあったことなら仕方ないのですが、後半とあることがきっかけで、アントニーナがヘックに色仕掛けするシーンがあり、「そ、そんなことしたら家族の命までねらわれない!?」と思ってしまいました…。


でも概ね良い映画でした!こういう勇気ある人たちがいたことを知るきっかけとして見るのは勉強になります。

趣味キャパオーバー

 

5/28〜:映画「クルエラ」公開中

昨日〜:映画「るろうに剣心 The Beginning」公開中

本日:レミゼ観劇

明日:M!配信見る

明後日:M!大千秋楽観劇

8日:M!大千秋楽アーカイブ配信見る

9日:ディズニープラス「ロキ」配信開始

11日:海宝さん配信コンサート

12日:ロミジュリ前楽観劇

13日:ロミジュリ千秋楽観劇

 

+仕事

 

…私があと2人くらい必要な週になりそうです(嬉しい悲鳴)

 

2020.11.28 ミュージカル「NINE」:彼の創造の源は愛

地味に楽しみにしてた「NINE」。


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映画は、フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」も、ロブ・マーシャル監督の「NINE」も、長らく見てみたいと思いつつ、未だ見たことがありません。

 

なぜか「NINE」の楽曲は、ケイト・ハドソンが歌い踊る映画版オリジナルの♪Cinema Italiano♪と、ファーギーが歌う♪Be Italian♪の2つだけは知っていて、どちらも結構好みでした。

 

映画ではダニエル・デイ=ルイスが演じていた映画監督・グイドを城田さんが、演出を「ジャージーボーイズ」「天保十二年のシェイクスピア」「VIOLET」などを手掛けた藤田さんが担当。映画を見ていなかったため、特にイメージもついてなかったですし、何より藤田さんの演出は、今までいくつかの作品を観てきて好きだったので、そういう意味でも楽しみにしてました。

 

以下、全体的な感想です。

 

まず、こんなに内省的な話とは思わず、だいぶ困惑しました…。完全にグイドの脳内に投入されていた2時間半。物語はほとんどあってないようなもので、新作のアイデアが浮かばないグイドの元にたくさんの女性が来ては去り…といった流れでした。

 

ねじまき鳥クロニクル」みたいに「お話が全くわからん!」ではなくて、「グイドの気持ちが全然わからん!!」でした。主人公にあそこまで共感できなかったの、観劇趣味を始めてから初だった気が…。

 

グイドは、いくらビジュアルが城田さんでも、あれでは愛想尽かされちゃいますね…。仮に私がルイザだったら、確実に1幕途中でグイドのこと見捨ててます(短気)(というか、そもそもグイドと恋に落ちない気が)

 

演出は、藤田さんらしいな~と思う箇所が多々見受けられました。舞台上でカメラを操り、リアルタイムで役者さんを写したり、客席降りができないからか、代わりに舞台上にいる役者さんがお客さんと絡む時間を設けたり、客席の様子が映るような半透明の幕(?)を使ってその幕に字幕が映るようにしていたり。これ「ジャージーボーイズ」や「天保〜」「VIOLET」でも見たなぁという仕掛けを使ってました。真ん中の大きな盆舞台も、「ジャージー・ボーイズ」っぽかったですし。人によって解釈変わりそうですが、あそこはグイドの脳内なんじゃないかと思いつつ観てました。グイドの、とりとめのない思考の迷宮に放り込まれたような気分で終始観ていたので…。

 

シーンとして好きなところは結構ありました。

1番意外性があったのは、カルラの登場シーン。そのシーンの前で、セットにあるソファや棚に、上から垂らしたピアノ線がくっついていたため、「なんで?」って思ってたんですが、カルラが舞台下(奈落)から登場すると、家具がピアノ線に吊られてふわ~っと浮き上がる仕掛けになってました。

 

楽曲はおおむねBW版(=映画版?)を踏襲してた…のかな?開幕直前に、♪Cinema Italiano♪がカットされたと聞いてちょっとがっかりしたんですが、実際に見てみたら、確かにあの流れのどこに入れるつもりだったんだ…って思うくらい、入る余地がなかったです。むしろ当初はどのシーンに入れてたのか知りたいです。

 

 

以下、キャスト別感想。

 

【グイド:城田優さん】

・心の中に9歳の少年の自分を残したまま、身体だけ大きくなってしまったグイド。城田さんって、こういう「成長しきれていない大人」の役がすごくハマりますよね。「ピピン」や「ファントム」でも同じことを思いました。

 

・グイドが女性に翻弄されるお話なのかと思ってましたが、城田グイドだとグイドがすべての中心で、周りの女性たちが人生まるごと翻弄されちゃってる印象でした。

 

・グイドは呆れるほどどうしようもないキャラクターなんですが、弱ってる姿を見ると思わず手を差し伸べたくなるオーラを放ってて、周りの女性陣が離れられなくなっちゃうのはよくわかりました。庇護欲をかきたてられますね…頭よしよしってしたくなる(けど背伸びしても多分城田さんの頭のてっぺんに届かない)(身長158cmなので)

 

・個人的にグイドは好きになれないけど、映画を作るためのアイデアを話すシーンのキラキラとした表情は、男としてというより人間として非常に魅力的に見えました。女たらしというより、人たらし。

 

・映画だとダニエル・デイ=ルイスが演じてるのに、城田さんじゃ若々しすぎない?って思ってましたが、おひげビジュアルでなるほどな~と。おひげも似合ってたので、どこからどう見てもイタリアの伊達男でした。きっとご本人はあんまり言われたくないと思うんですが、彼がハーフであることは、強力な武器の1つだよなぁと改めて思いました。

 

・歌は、一部シーンで披露していたオペラ風の歌唱にびっくり。訓練すれば本当にオペラ歌えちゃいそうな迫力でした。

 

【ルイザ:咲妃みゆさん】

・劇中登場するキャラクターの中では、唯一ルイザには何となく共感できました。というか、いくら仕事のためとはいえ、夫婦のプライベートをそのまんま思いっきり映画のプロットに使われたら腹立つわ…。クライマックスでルイザがイタリア語でがんがんまくしたてて、グイドにブチ切れる爆発っぷりには、正直スカッとしました。

 

・思いのままに感情をぶちまけるときの咲妃さんの歌唱がとても好きなので、「シャボン玉〜」のお佳代ちゃんみたいな、激情的な役柄でまた見てみたいです。

 

メイン2人以外は簡単に。

 

・カルラ役の土井ケイトさん。個人的には「天保~」の時の役の方が好きでした。カルラは、グイドが自分の方を見てくれないってわかると死のうとする面倒な女性で、でも土井さんはビジュアルが強めなので、あまりそういう風には見えませんでした…。

 

・1番インパクトがあったのは、屋比久知奈ちゃんのサラギーナ!メインの登場時間としては、ほんの5分あるかないかでしたが、グイドの人生をまるっきり変えてしまったキーパーソン。グイドにとっては母の存在と同じくらい大きくて、2幕は役としては一切登場しないんですが、セットの後ろの方で、グイドのお母さんと同じ立ち位置でグイドを見下ろしてました。

 

これまでの屋比久ちゃんのイメージとは真逆の、本能のままに欲を貪る娼婦。他の俳優さんに比べるとかなり小柄なので、ビジュアルだけだと舞台映えはあんまりしない気がしましたが(お顔もとても小さいので、あのボリューミーなウィッグにお顔が埋もれてましたし…)、身体と表情をめいっぱい使った妖艶なお芝居と、惹きつけられるパワフルな歌唱が素晴らしかったです。

 

・ラ・フルール役の前田美波里さん。いい意味で年齢に全くそぐわない美しすぎるスタイルで、かなりインパクトがありました。彼女がメインになるシーンが、いるのかいらないのかはちょっと謎でしたが(個人的にはいらない派)すらりと伸びる美脚を思わずまじまじと見つめてしまいました。

 

・リトル・グイド役の大前優樹くん。去年の「ファントム」でも少年エリック役で見ていましたが、出演時間としてはこちらの方が長かったような?美しすぎるボーイソプラノに心が洗われました。ところでこの演目、ただでさえ難解なのに、子役さんたちにはどうやって説明してるんだろう…サラギーナとのシーンなんて特に説明しづらそうだよなぁと、その辺りちょっと気になりました。

 

グイド役を演じられそうなのが、今のミュージカル界だと城田さんくらいしか思いつかないので、再演がまた城田さん主演だったら行こうかなと思ってます。「ファントム」の時みたいに、彼自身が演出を手掛けても面白そうです。