「太平洋序曲」、開幕1週間後にMy初日でした。
開幕直前に、公式ではない媒体の記事でまさかの「105分1幕モノであること」が判明した本作。ほとんどの人が2幕あると思い込んでいたがためにSNS上でプチ炎上してしまい、なぜかアンサンブルで出演される役者さんが「なぜ1幕モノになったのか」を(個人の見解も含むと提示した上で)弁明されるという謎展開に。公式…しっかりしてくれ…。
「ジーザス・クライスト=スーパースター」や「スリル・ミー」も1幕モノですし、個人的には別に気にならなかったんですが、あらかじめこの作品について調べて楽しみにしていた方にとっては「海外で上演されたときは基本的に2幕あったじゃん!曲が削られるってこと!?」となるのは当然で、それはごもっともなお怒りがあちこちで噴出しておりました。
というわけで、そもそも前段階からいろいろありすぎてどうにもこうにも乗り気じゃなかったんですが、作品自体もどちらかというと「Not for me」でした。舞台セットや演出は面白かったり美しかったんですが、いかんせん物語と楽曲が私には合わなかったです。
物語はいたってシンプル。幕末に何が起こったのか、おおまかに知っていれば特に分かりづらい話でもありませんでした。
でもかなり淡々と進んでいくので、正直面白くはなかったかな…。ドラマチックさにもだいぶ欠けてる印象で、盛り上がるシーンがどこなのかよくわかりませんでした(※個人感)
楽曲にハマれない上に「やたら長いな…」という楽曲もちらほらあって、半人前の芸者たち(?)がアメリカ人をもてなそうと準備する歌とか、諸外国が日本に開国を迫る歌とか、あんなに長くなくて良くない…?って思いながら聴いてました。
(ということで、これ1幕のみで正解なのでは?)
あとあの終わり方は一体……?起承転結の【結】になった途端、「終わらせ方わからんから適当に投げとこ」みたいな雑さを感じました。香山が外国かぶれになるのも、万次郎が武士道に走るのも、何がきっかけでそうなるのかがよくわからず。「内」にいた人が外の世界に触れて憧れを持ったのと、「内」から「外」に出た人が「内」に再び触れてその良さに感化されたって解釈でいいのかな…?
人の感情を描くよりも、様式美や舞台の魅せ方に囚われてる印象だったのも、ハマれなかった理由の1つかもしれません。
唯一救いだったのは、カンパニー全員の歌のクオリティが抜群に良かったことでした。難曲ぞろいと言われるソンドハイム楽曲を、あれだけ歌いこなすのはかなり大変そうでしたが、難曲と思わせない歌い方になっていました。
いつだったか、同じく日生劇場で上演された「イントゥ・ザ・ウッズ」は、なぜかミュージカル初心者な役者さんばかりを集めてしまい、それはそれは悪夢のようだったらしいので(震)
深掘れば面白い作品なんだと思うのですが、いかんせん深掘りたいと思えるほど興味を持てず、楽しむこともできなかったです…。