情報解禁時、全ミュージカルファンが腰を抜かしたと言われる(?)豪華キャストを集めた「ベートーヴェン」。なにせこのメンバー(↑ポスター参照)なのでチケット確保は激戦を極め、なんとか2回確保できたのでまずは1回目を観てきました。
「エリザベート」や「モーツァルト!」を創り上げたクンツェ&リーヴァイコンビが、構想に7年ほどかけて完成させた久々の新作、と銘打って、2023年に韓国で初演が上演されたそうですが、役者さんはともかく作品自体に関してはかなり酷評が多かったようで…。ブラッシュアップさせてすぐに再演したという話も聞いていたので、正直内容は全く期待せず、このキャスト陣が織りなすパフォーマンスを楽しむことを目的に観てみました。
実際に観た感想としては、全体的にものすごく豪華なのになんでこんなにインパクトがないんだろう…?と不思議に思うくらい、印象の薄い作品でした(※個人感)褒められるところが役者陣の歌唱&お芝居と、豪華な舞台セットくらいだったな…(※個人感)
以下、全体的な感想と役者さんのちょこっと感想。
・私自身が特にベートーヴェンの楽曲に詳しくないからだと思いますが、歌われる楽曲に全然惹かれなかったのはなぜ…。
この作品オリジナル楽曲は、2幕に花總さん演じるトニが歌う♪千のナイフ♪のみ。あとは基本的にベートーヴェンの楽曲をアレンジして歌詞を乗せて歌われていました。
元の楽曲からどの程度アレンジされてたかは、恐らくクラシックに詳しい人ならわかると思いますが、きっとメロディーラインとかは守られてるはず…。元々「歌うために作られたメロディー」ではないからだと思いますが、とにかく全然ハマりませんでした。
唯一はっきりと「これ、♪エリーゼのために♪じゃん」ってなった曲はベッティーナ役の晴香ちゃんが歌ってましたが、なんか歌うの難しそうだなぁとだけ感じました。
♪運命♪とか♪歓喜の歌♪とか、なんとなくこれかな…?みたいなフレーズはあったけど、クラシック無知な私にはよくわからなかったです。
・ポスターからなんとなく察してはいましたが、とにかくルートヴィヒとトニだけにほとんど焦点が当たった物語。これだけの役者を集めたにもかかわらず、この2人以外の出番はかなり限られてました。ヨハンナ役の実咲さんにいたっては歌ってた記憶がないんですけど、歌ってたっけ…?
少なくとも作品目当てではなく「芳雄さん・花總さん以外に好きな役者さんが出ている」という目的で観に行くと、かなり痛い目にあいそうでした。ちなみに私は、これに関しては事前情報で聞いてたので、むしろ「海宝さん意外と出てくるじゃん」とは思いました(ただし2幕は本当にたった1シーン出てきたのみで唖然としましたが…)
肝心の物語自体も、正直そんなに面白いとは思えず、「これわざわざベートーヴェンを主人公に立ててやる必要ある?」みたいな話でした(超絶悪口)
幼少期から父に虐待ともいえる仕打ちを受けてきて、頑固で誰にも心を開かなかったルートヴィヒが、貴族の集まりで自分を擁護してくれたトニに惹かれていき、トニも愛のない結婚生活から逃れてルートヴィヒに惹かれていく…みたいな流れなんですが、そもそも全然共感できない(真顔)そのうえなぜか2人が恋に落ちていく過程もよくわからず、会って熱烈にキスを交わしたかと思いきや、次のシーンではトニからの手紙に「もう会わないでおきましょう」と書いてあって、またその次のシーンではルートヴィヒがトニに会いに行ってトニが喜んで、次のシーンではトニがまたルートヴィヒを拒絶して…というのが延々続き、「あれ、私もしかしたら途中で寝てた?」と思ってしまうくらい、2人の感情の流れが見えづらかったです。これは決して役者さんのせいではなく、話の構造に難ありかと…。
・「なんで素直にベートーヴェンの音楽家としての生涯に焦点を当てなかったんだろう」って思ったんですが、クンツェ&リーヴァイコンビはすでに「モーツァルト!」でそれやっちゃってるしなぁ…(別に二番煎じでも良いと思うけど…)
韓国ミュージカル×ベートーヴェンだと、先に「ルートヴィヒ」が上演されていて、奇しくも日本版は2022年に中村倫也さん主演ですでに上演されていました。緩急なくて疲れる作品ではあったけど、作品としてはあちらの方が楽しめました。
(感想をさかのぼって読もうとしたら、うっかり書き忘れてたようでなんと白紙のままという衝撃の事実)
・役者陣はとにかく全員超素晴らしかったです。このちぐはぐな作品をなんとか最後まで楽しめたのは、明らかにキャスト陣のおかげかと。
ただ皆さん「上手い!」以外の感想が特に持てなかったので、やっぱりまずは作品自体に魅力を感じられないとなかなか難しいなと感じました。