Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

ドラマ「カンパニー~逆転のスワン~」:みんなは1人のために 1人はみんなのために

 

NHK BSプレミアムにて年明けから放送されていたドラマ「カンパニー~逆転のスワン~」最終回まで見終えました。

 

www2.nhk.or.jp

 

我が家はBSプレミアムが見られない環境ですが、オンデマンドで放送翌日にはネット配信されておりました(1話220円・税抜)

さらに1か月見放題プランであれば、990円(税抜)で、配信されているNHKの番組がいつでも見放題という、なかなかお得なプランでした。

ちなみに私は「岸辺露伴は動かない」がお目当てだったんですけどね…。このドラマはついでに見てみようという感じではありました。

 

「カンパニー~逆転のスワン~」は、古川雄大さんが本格的にバレエに挑戦する!ということで興味を持ちました。バレエを題材にしたドラマというのもなかなか珍しいですし、何よりバレエに関してはほぼ無知な私でも知っている、熊川哲也さんがバレエシーンの監修をされていることや、プロのバレエダンサーの方が俳優として出演されることなどなど、地上波ではお目にかかれないような要素があったので、そこを楽しみに見ました。

 

最終回まで見て…正直脚本とドラマ全体のトーンが好きになれず、最終回にいたっては「ドラマ部分のドタバタいらないんですけど!?」というくらい、本格的な公演シーンが素晴らしかったので、ドラマ自体は個人的にはあまり好みではありませんでした。

 

問題発生→誰かが逃亡or機嫌悪くなる→青柳さん頑張る→問題解決、というエンドレスループで、毎回あまり新鮮味を感じられず、物語の中だるみが結構あったような…。

(あとあの会社ヤバすぎないですか…??上司のキャラクターが無茶苦茶すぎて「半沢〇樹」みたいだった…。笑)

(ちゃんと見ていなかった私も悪いんですが、敷島バレエ団は一応プロダンサーの集まり…だったんですよね?そのわりにダンサーさんたちしょっちゅう飲みに行っていたような…)

 

「ミュージカルを題材にしたドラマがあればいいのに~」とずっと思っていたのですが、このドラマを見て、「芸術」をテーマにしたドラマは、非常に難しいことがわかりました。

 

同じような「スポンサー企業と団体競技」を題材にした「ノーサイドゲーム」や「陸王」は結構好きなドラマなのですが、あれは「勝ち負けが明確にあるスポーツ」だから作りやすかったんだろうなと。

 

バレエとなると、基本的に勝ち負けではなく、強いて言えば「公演を成功させること」が勝ちになるとは思いますが、スポーツの勝負とは違ったカタルシスになりますし、もし勝ち負けを作るとしたらバレエ団の中のオーディションの話とか(これは3話か4話あたりでやってましたが)、全国コンクールを勝ち上がる話とかになるので、そもそも団体をメインに書くことが難しいんですよね。

 

もう少しお話が面白ければなぁ…というのが率直な感想です。

 

ただ出演者はかなりの好演で、特に「本業ではない分野に挑戦した方々」にはスタンディングオベーションで拍手を送りたいくらいでした。

(ちなみに非常に言いづらいですが、主役の方のお芝居はあまり…でした)

 

普段はバレエダンサーとしてご活躍されている高野悠役の宮尾俊太郎さんや、有明紗良役の小林美奈さん。宮尾さんはいくつかテレビドラマに出演されている経験もあるようですが(「下町ロケット」出てたんですね………)、お2人ともおそらくあまり慣れない「言葉(セリフ)」での表現も全く違和感なく、素晴らしかったです。

 

高野も紗良も、ダンサーとしてのプライドがものすごく高く、気に入らないことがあるとすぐに機嫌を損ねてしまうようなキャラクターで、ドラマ前半は全く良い印象を持てなかったのですが、徐々に「ダンサー以前に1人の人間である」部分が見えてきて、最終的に2人ともとても魅力的なキャラクターになっていました。

小林さんはおそらくドラマ出演は初めてだったと思いますが、泣くお芝居が上手でびっくりでした。

 

一方普段は俳優だけど、今回本格的なバレエに挑戦した水上那由多役の古川さんと、高崎美波役の織田梨沙さん。どちらもバレエ経験者ですが、もちろんプロではありません。プロのダンサーさんに混じって踊ってもあまり遜色ないレベルに持っていくのは、本当に並大抵の努力では難しいと思います。

 

練習シーンも何度かありましたが、2人ががっつり踊っていたのは、最終回の本公演の場面がメイン。おそらく特に上手に踊れている部分を編集で抜き出したり、カメラワークでうまく見せている部分もあったかと思います。でも普通だったらプロに混じれば多少は浮いてしまうと思うのですが、2人とも全くそんなことなく、俳優ではなくダンサーとして舞台に立っていました。那由多と美波がペアで踊るシーンも非常に美しく、公演シーンをフルサイズで観たい!と思ったのも、この2人が踊っているシーンをもっと見たいと思ったからです。

 

古川さんはこのドラマのために5か月を費やし、バレエを徹底的に特訓したとの記事を読みました。ミュージカルで見たときに、手や足の動かし方がしなやかで美しいなと思っていましたが、今後さらに磨きがかかりそうで楽しみです。4月からの「モーツァルト!」では、残念ながらバレエを披露するようなシーンはないですが…(どこかしらのシーンでアドリブでちょっと踊ってもいいんですよ?笑)

 

織田梨沙さんは、実は映画「秘密~TOP SECRET~」の悪役として拝見したときに、お芝居があまりにもアレすぎて良い印象がなかったのですが、今回改めて見て、役者さんとしてものすごく成長されたんだなと感じました(年齢相応なキャラクターだったのも良かったのかも)

 

ドジっ子なコンビニ店員としてのあどけない表情から、最終回ぶっつけ本番で妖艶な黒鳥・オディール役を演じる色気のある表情まで、幅広いお芝居を見ることができました。今後の活躍を注目したい役者さんになりました!

 

このドラマを見て、バレエ自体にも興味が湧きました。

幼い頃ほんの少しだけ習っていたんですよね~引っ越し先の近所に教室がなくてやめてしまったのですが、バレエダンサーの方のスタイルや姿勢の美しさには、今でもあこがれがあるので、あのとき続けていればな~と後悔しております…。

 

3月下旬にKバレエカンパニーの「白鳥の湖」の公演があるとのこと。しかも配信されるようなので、スケジュールが合えば配信を見てみようかなと思っています!