Der Lezte Tanz

観劇、映画鑑賞、読書のキロク。たまにひとりごと。

2018.5.27 劇団四季「ノートルダムの鐘」:はるばる来たぜ、横浜のパリ

1年1か月ぶりの「ノートルダムの鐘」を観に、初めてKAATまで行きました。

中華街が近いので、観光がてら行けちゃうのが良いですね。家族や友人を連れてきても喜ばれそうでした。

 

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そして「ノートルダムの鐘」、やっぱり最高です。何度見ても素晴らしい。1年ぶりに観ると、なおさら感動しました。この時期はアグラバーに通い詰めていて(というほどでもないけど)、ハッピーエンドに慣れすぎてたため、ビンタ食らった感じはありました。10回に1回くらいディズニー映画版エンドにしません??????

 

座席は1階席上手サイドバルコニーの2列目。

見切れることはありませんでしたが、ずっと斜めを向かねばならず、終わるころには首が痛かった…。あと手すりが完全に舞台とかぶってて常に視界に入ってたので、よほどのことが無い限りもうあそこには座りたくないです。座るなら1列目の方がまだ良さそう。

 


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以下、キャスト別感想。

 

【カジモド:飯田達郎さん】

・すごかった…完全にカジモドでした…(語彙力)「飯田さんが演じてるカジモド」じゃなくて、カジモドが憑いてました。飯田さんはカジモドを演じることが本当に楽しいようで、その気持ちが客席にも伝わってきました。自分が演じている役への愛を感じられるお芝居って素敵!

 

・「東京公演に比べるとお芝居があざとくなってる?」という感想も事前に耳にしていましたが、個人的にはラストとの対比にもなるので、あのくらいかわいいオーラを出しても良いのでは…と。映画でもカジモド可愛いですし。

 

・カジモドのセリフの声と歌声の切り替えもすごくスムーズになっていて、セリフの声は極端にしゃがれていて、歌声はより美しくなっていました。その分ギャップがすごかったです。カジモドが現実から自分が思い描く空想の世界に入り込んだことが、よりわかりやすくなっていました。

 

・宮田エスメラルダとのお芝居の相性がとても良いな~と、♪世界の頂上で♪前後の飯田カジの演技を見て思いました。

  

・♪陽ざしの中へ♪の対局にあるような、♪石になろう♪。カジモドが状況を打破できずにもがき苦しむ歌なのですが、飯田カジモドの歌声が空気を切り裂くようなすさまじさで圧倒されました。一体どんな声帯を持ったらあんな声が出るんだ…。ガーゴイル1人1人への当たりも強く、ガーゴイル役を次々と降りていくアンサンブルさんたちを、降りた後もキッとにらみつけてました。

 

・飯田カジモドの見せ場は、個人的には♪フィナーレ♪だと思います。火あぶりにされるエスメラルダを見て絶叫するところからクライマックスまで、1ミクロンの隙もない素晴らしい演技と歌です。

 

・最後にカジモドの「その後」を話す時シーン。東京公演を見たときは、カジモド役者さん3人とも、淡々と事実関係を述べている印象でした。今回の飯田カジモドは、観客1人1人に語って伝えているような、すごくあたたかみを感じる話し方をしていました。もちろんバッドエンドではありますが、カジモドは愛する人の側に最期まで寄り添えたし、ハッピーエンドとも言えるのかな…と、少し希望を持てるような終わり方ですごく良かったです。

 

  

エスメラルダ:宮田愛さん】

・もうねぇ………大好きです(フロロー化する私←)

 

エスメラルダに関しては(この時点で未見の松山さん、相原さんは置いておいて)岡村さんと宮田さん、どちらも素晴らしくて歌や踊りといった技術的な面では選べません。でもどちらが好きかと言われたら宮田エスメラルダです。

 

・なんといってもあの魅惑のダンス…!本当に一挙手一投足、全く目が離せないダンスをされるんですよ…。ダンスの上手さとか全然わからん私でも魅了されるんだからすごいです。

 

・東京公演より、いい意味でいやらしさが増してた気がします。フロローが軽蔑するのもこれならわかるなぁと。あからさまに誘惑してる雰囲気を感じました。宮田エスメラルダガチ勢の私はというと、5月分のお給料をすべて彼女のタンバリンにお布施として入れておきました(心の中で)

 

・あと宮田エスメの喋る声と喋り方が、私の想像するエスメラルダそのものなところも好きなポイント。岡村エスメラルダだともう少しお姉さんで落ち着いた声ですが、宮田エスメラルダはいい意味で小生意気な声質と喋り方で、でもフロローと話す時には賢さも感じさせる…というのがイメージ通りです。自由に生きる一匹狼の小娘感が良きかな…。

  

そんな妖しげな雰囲気から一転、♪神よ 弱き者を救いたまえ♪は、歌い出しからすごく必死に祈り、神に訴えかける印象が強く、仲間を想うエスメラルダの優しさと、自分は平気だからと強がるけなげさを感じました。

 

・飯田カジモドと宮田エスメラルダのお芝居の相性が良く見えた理由の1つは、2人とも結構豪快に声に出して笑うからかもしれません。社会のつまはじき者な2人が、お互い素直な気持ちを表せる関係なのがよく分かりました。

 

・対フロローとの応酬は、東京公演では反抗して必死に言い返してる感じが強かったですが、今回は冷静に自分の考えを伝えている印象でした。逆にフロローに物事の真理を教えてるような、諭すような感じも受けました。

 

・酒場のソロダンスは動画に収めて販売すべき(宮田エスメガチ勢より)

 

・宮田エスメは、悲鳴がもはやお芝居でなく本気で悲鳴あげてる風にしか聞こえないため、牢獄の対フロローのシーンは何度見ても背筋が凍ります。ところで宮田さんと野中さんって、「美女と野獣」のベルとガストンですよね。共演したことあるのかなぁ。



【フロロー:野中万寿夫さん】

・東京公演では頭のてっぺんからつま先までお堅くて、融通がきかなくて、カジモドへの愛をあまり感じられなかった野中フロロー。今回は人としての柔らかさ、弱さが感じられました。


・フロローの弟・ジェアンを演じていた佐藤圭一さんが、松岡修造並みの熱血漢ジェアンで、野中フロローはおろおろしながらひたすらジェアンに手を焼いてる印象でした。きっとこの時にしっかり弟のことを制御できなかった後悔もあって、カジモドにあれほど厳しく当たるんだろうなぁと。

 

・飯田カジモドがフロロー大好きっ子のため、野中フロローとの組み合わせだと、より一層「ペットとご主人様」に見えて辛かったです。野中フロローが後ろを見ずにずんずん歩いていく後ろを、飯田カジモドは一生懸命ついていく…みたいな。


・♪地獄の炎♪で歌っているときの身振り手振りがすごく興味深くて見入ってしまいました。特に♪私を追い込む♪ですーっとどこかに手を伸ばしかけて、♪罪の道へ♪でカジモドが自分を罰するときのように、伸ばした手を逆の手でばっとつかんで引き戻す、みたいなアクションが、映画版フロローみたいで印象的。♪私は悪くない!♪からのセリフっぽい歌い方も良かったです。


・野中フロローは、本当に根っこから真面目な人が、真面目なまんま狂っていく様が怖すぎます。エスメラルダに惹かれている自分を否定して、最後まで彼女のことを悪魔だと信じて疑わないところとか。エスメに言われた「あなたがしてほしいって思うことを、あなたも人にしてあげたらどうかしら」という言葉を、真面目に額面通り受け取って、牢獄でのエスメに対するあの行動に繋がってる可能性もあるのかな…って思うとゾッとします。



【フィーバス:光田健一さん】

・今回唯一の初めましてキャストだった光田フィーバス。他のプリンシパルが全員初演組だったからか、彼だけやたらカチコチに見えてしまって、作品の空気感にまだうまく馴染めていないのかなと感じました。

 

・正直「かっこいい」と「歌がうまい」以外の印象がなく、もう少し光田フィーバスならではの特徴があると良いなと思いました。あと♪いつか♪で崩れ落ちるエスメを全然支える気がなさそうなのはちょっとなぁ…。「オペラ座の怪人」のラウルの時もそうでしたが、ヒロインをしっかり支えてあげてほしいです。

  

 

【クロパン:阿部よしつぐさん】

・もはや「プロのクロパン」(?)とお呼びしたいくらい、キャラクターにハマっている阿部クロパン。連投中にもかかわらず大変パワフルなお芝居でした。

 

エスメに「ルールが守れないならこの街を出て行ってもらうからな!」ってドスをきかせたあと、宮田エスメがふふん♪って笑いながら去るんですが、そこでちょっとうつむいてふっ…と微笑む阿部クロパンがかっこよすぎました。

 

・「今度こそ何年かは落ち着いていられると思ったのに…」が本当にがっくりきてる感じでかわいそうになってしまいました…クロパンも苦労してるんや…。